本作品とほぼ同時期に描かれた『ヘンドリッキエ・ストッフェルドホテル・ヤーヘルの肖像』。ナショナル・ギャラリー所蔵。 『水浴する女』(蘭: Badende vrouw, 英: A woman bathing in a stream)は、オランダ黄金時代の巨匠レンブラント・ファン・レインが1654年に制作した絵画である。油彩。レンブラントを代表する作品の1つで、モデルはしばしば画家の若い愛人ヘンドリッキエ・ストッフェルドホテル・ヤーヘル(英語版)と考えられているが、主題については諸説あって一致を見ない。バテシバや[1]スザンナといった『旧約聖書』のヒロインとする説のほかに[2]、ギリシア神話の女神アルテミス(ローマ神話のディアナ)[3] あるいはカリストとする説もある[4]。これらの聖書や神話の女性はいずれも水浴するエピーソードを持っているため、本作品の主題となった可能性はあるが確証はない。 現在はロンドンのナショナル・ギャラリーに所蔵されており、同美術館の初期のコレクション形成において重要な貢献を果たしたウィリアム・ホルウェル・カー(英語版)の35点の絵画コレクションに由来している。 白いシフトドレス(英語版)をまとった女性が小川の中に立っている。彼女は濡れないようにドレスの裾をつかんでたくし上げているので、両脚が水面に映し出されている。その仕草は無防備であり、画家と親密な関係にあることを思わせる。前に歩いたのだろう、小さな波が足元の水面に立ち、水を感じた彼女は微笑みながら下を見つめている。右からの穏やかな光が彼女のふくよかな身体を照らしている。彼女は髪をバックでまとめ、ほつれた巻き毛と小さなイヤリングが頬をくすぐっている。胸元が開けたシフトドレスは彼女の胸をほとんど露わにしており、今にも肩から滑り落ちそうに見える。背後の岸辺には彼女のものと思われる豪奢な深紅と金のブロケード(英語版)が折り重なるように置かれている。レンブラントはシフトドレスを厚いストロークとすばやいタッチでペイントしている[5]。また衣装の裾、右腕、左肩などいくつかの部分は未完成に見えるが、レンブラントは画面左下に署名し日付を記している[6]。 主題[編集] 主題は不明である。女性の背後に豪奢な織物の衣服が置かれていることから、神話または聖書に登場するヒロインを描いた絵画の素描または習作であることが示唆されている。しかしレンブラントは絵画の中に女性の属性を明示するアットリビュートや物語の場面を特定できるものを描いていない。最も可能性が高いのは『旧約聖書』「サムエル記」で語られているバテシバを描いた傑作『ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴』(Bathseba met de brief van
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