日本を、取り戻す。 – Wikipedia

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日本を、取り戻す。」(にほんをとりもどす)は、2012年から安倍晋三と自由民主党が使ったキャッチコピーの一つである。2012年の第46回衆議院議員総選挙と2013年の第23回参議院議員通常選挙で自民党のキャッチコピーとして使われた[1][2]。同衆院選の自民党政権公約の題名でもあった[3]。両選挙に先立って自民党の安倍晋三が2012年自由民主党総裁選挙でこのフレーズを使った[4][5]

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このスローガンの下で自民党が2012年に第46回衆議院議員総選挙を大勝したことについて、東京女子大学現代教養学部の李津娥はこのフレーズが「有権者それぞれが思い描く「日本の良かった時」」を想起させ[6]、「長期自民党政権で経済も好調だった「あの時代」に戻りたいという有権者の願望」に合致した結果ではないかとした[7]。一橋大学大学院社会学研究科の稲葉哲郎は、40歳以上の自民党支持者に響くフレーズだったと分析した[6]。赤木智弘は、バブル崩壊後に社会に出、バブル時代を経験し損った世代が「取り戻す」という表現に共鳴したと分析した[8]。関西学院大学の阿部潔は、2011年の東日本大震災によって「多数の日本人が物理的のみならず心理的に傷を負っていた」(”many Japanese people were damaged, not only physically but also psychologically”)ために「取り戻す」という表現が魅力的に聞こえたのではないかと分析した[9]

意図・解釈[編集]

  • 安倍晋三は2013年の著書でこの言葉について「これは単に民主党政権から日本を取り戻すという意味ではありません。敢えて言うなら、これは戦後の歴史から、日本という国を日本国民の手に取り戻す戦いであります」と説明した[10][11]
  • 石破茂は、2013年3月に「日本を、取り戻す。」の対象として「いまからだいたい20年くらい前の日本をイメージしている」と述べ[12]、同年6月には「過去のどこかの時点の日本を取り戻すということではありません」と述べた[13]
  • 現代史研究家の山崎雅弘は、安倍の支持勢力である日本会議の思想と関連させて次のように述べている[15]
安倍首相と日本会議は、大日本帝国時代の日本の国家体制、とりわけ明治や大正期よりも「国家神道」の政治思想が国民と指導者の心を支配した昭和初期の日本を、良く言うことはあっても、悪く言うことはまずありません。(略)そして、先に紹介した新保祐司のように、一九四五年の敗戦より後の日本は「本来の輝きを失った」と見なします。(略)安倍首相と日本会議が「取り戻したい」と考えるところの「輝かしい日本」とは、昭和初期の日本、戦前・戦中の日本であるという以外の「答え」を導きだすことは困難です。 — 山崎雅弘『日本会議―戦前回帰への情念』集英社、2016年7月15日、109-110頁。

テレビCMで安倍晋三が「取り戻す」と話すときの発音が「トリモロス」に聞こえるとしてネット掲示板で話題になった[16]。選挙プランナーの野沢高一は安倍の滑舌の悪さはかえって「親しみやすさ」や「一生懸命さを印象付け」、CMの視聴者に好印象を与えたのではないかと推測した[6]

関連項目[編集]

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