シネマ・チュプキ・タバタ – Wikipedia

シネマ・チュプキ・タバタは、東京都北区にあるミニシアターである。2016年(平成28年)9月開館。日本初[1]のバリアフリー映画館(ユニバーサルシアター)である。「チュプキ」とはアイヌ語で「自然の光」を意味する。東京都北区唯一の映画館である[2][3]

アートスペース・チュプキ[編集]

2001年(平成13年)4月に設立されたバリアフリー映画鑑賞推進団体「シティ・ライツ」は、かねてより視覚的な情報を補う音声ガイド普及の取り組みを進めていた。配給会社から請け負った音声ガイド製作費を元手に、2014年(平成26年)11月22日には東京都北区の上中里駅前のビルに上映スペース「アートスペース・チュプキ」をオープンさせた。吹き抜けの空間に20席が設けられ、120インチのスクリーンと、FM電波を使用した音声ガイドの設備を整えた[4][2]。入場料にはドリンク代が含まれ、上映後に観客がハーブティーを飲みながら感想を語り合える場を目指したが、興行場法の規定により上映回数は一か月に4回までと制限された。建物オーナー側の事情もあり、「アートスペース・チュプキ」は2016年2月に閉館となった[5]

シネマ・チュプキ・タバタ[編集]

法令に適合した新たな常設映画館開設をめざしてクラウドファンディングが行われ、約1880万円の募金が寄せられた[6]。田端駅から徒歩5分ほどのテナントビルを借り受けることができ、1階を改装して2016年(平成28年)9月1日に「シネマ・チュプキ・タバタ」を開館した。初上映作品はチャールズ・チャップリン監督・主演作品の『街の灯』で、浮浪者と盲目の花売り娘との物語を描くサイレント映画であるが、配給元の許諾を得て座席備え付けのイヤホンから場面の解説が流された[7]。なお『街の灯』の原題である『City Lights』は、母体となった団体名の由来である。

2019年(令和元年)8月1日に刊行された『夢のユニバーサルシアター』(平塚千穂子(「シティ・ライツ」代表) 著、読書工房 出版、ISBN 978-4-902666-37-3)では、本劇場について第1章の「シネマ・チュプキ・タバタができるまで」で述べられている。

スクリーンサイズは120インチ[8]。音響は11.1chのドルビーアトモス&DTS-X対応で、音響監督の岩浪美和が監修した[9]。固定座席15席・車いす席3席を有し、補助席を出して最大25席と座席数は小規模である。

音声ガイドシステムは、従来のFM方式ではノイズが入るため有線式に改められ、各座席にイヤホンジャックが取り付けられた。イヤホンは音量調節が可能で、音声ガイドを聴くことができるだけでなく、映画本編の音声を増幅することも可能である。日本映画を上映する際にも、日本語字幕をつけて上映する。音声ガイドの一部は、声優の小野大輔が声をあてており、視覚障碍の方だけでない健常者も楽しんでもらえるようにしてある[10]

後部に親子鑑賞室があり、幼児連れや発達障害等で集団での観賞が困難な人でも楽しめる配慮がなされており、上映中に赤ちゃんが泣いてしまったり、子供がぐずってしまった時でも、鑑賞室に移動して映画を鑑賞できる。親子鑑賞室は、完全防音構造で、スクリーンの見える窓と、映画の音が流れるスピーカーを設置している[11]

外部リンク[編集]