ゴースト・イン・ザ・シェル (映画) – Wikipedia

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ゴースト・イン・ザ・シェル』(Ghost in the Shell)は、2017年のアメリカ合衆国のSF映画。士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作とし、ルパート・サンダースが監督を務め、ジェイミー・モス英語版とウィリアム・ウィーラー、アーレン・クルーガーが脚本を手掛けている。アメリカでは3月31日[5]、日本では4月7日より公開された[5]

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Table of Contents

ストーリー[編集]

ネットに直接アクセスする電脳技術が発達すると共に、人々が自らの身体を義体化(=サイボーグ化)することを選ぶようになった近未来。脳以外は全て義体化された少佐率いるエリート捜査組織「公安9課」は、サイバー犯罪やテロ行為を取り締まるべく、日夜任務を遂行していた。そんな中、ハンカ・ロボティックス社の推し進めるサイバー技術の破壊をもくろんだテロ組織による事件を解決すべく、少佐は同僚のバトーらと共に捜査にあたるが、事件を調べていくにつれ、自分の記憶が何者かによって操作されていたことに気付く。やがて、真の自分の記憶を取り戻していく少佐は、自身の驚くべき過去と向き合うことになる[6][7][8][9]

キャスト[編集]

少佐役のヨハンソンは、オファーを受けるまで映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のことを知らず、実際に観てかなり恐ろしいと感じたが、同時にすごく魅力も感じたという。また、荒巻大輔役の北野には敬意をもって接し、彼の撮影時には日本語カンペを持ってあげていたという[10]

また、主要人物の日本語吹き替え版キャストには、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』やテレビアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(S.A.C.)シリーズと同じ声優が起用されている[11]

※括弧内は日本語吹き替え[12][13]

2008年にドリームワークスとスティーヴン・スピルバーグが映画化権を取得。脚本はジェイミー・モスが担当するとされたが、2009年にレータ・カログリディスに変更された[15]。その後、しばらく続報は無かったが、2014年になってウィリアム・ウィーラーが脚本、ルパート・サンダースが監督を務めると発表された[16]。2015年にはジョナサン・ハーマンが新たに脚本を引き継いだ。最終的にはモスとハーマンが脚本にクレジットされた。

アメリカでは当初、ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズが2017年4月14日に配給を予定していた。しかし、ドリームワークスとディズニーの提携終了に伴い、公開日を3月31日に改めたうえでパラマウント映画に配給が変更された[17]

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2016年11月13日には、日本での劇場公開開始日が2017年4月に決定したことや最新版トレーラー映像が公開され、東京都内で開催されたエクスクルーシブイベントにヨハンソン、荒巻大輔役の北野武、監督のサンダースが登壇した[10]

アニメ映画『攻殻機動隊』で舞台のモチーフ[18][19]になった香港の他、ニュージーランドと上海などでロケーション撮影を行い[20]、香港の撮影現場にはアニメ映画の監督押井守やテレビアニメシリーズの神山健治監督も訪れた[21]

映画制作中、西洋世界のソーシャルメディア上で、アジア人キャラクターの草薙素子役に白人女性のスカーレット・ヨハンソンをキャスティングしていることに対し、激しい議論が起こり、人種的不適当、非白人の役を白人が演じるホワイトウォッシングであるという批判が起こった[22][23][24]

在米日本人・日系アメリカ人など、ハリウッド事情を知る立場からも、多くがホワイトウォッシングの人種差別性に批判的であったが[25][26][27]、日本では、多くの人がハリウッド映画では白人が主役を演じるだろうと考えており、西洋での激しい議論は驚きをもって迎えられた[24]

押井守はインタビューで、ヨハンソンの起用は「考えられる最良のキャスティング」であり、そもそも少佐の体も「草薙素子」という名前も生まれつきのものではなく、たとえ少佐がもともと日本人であったとしても、アジア人の女性が演じなければいけないという主張に根拠はない。違う人種の役を演じるのは映画界の慣習であると答えた[28]。Production I.Gの社長石川光久も、「実写版の攻殻が日本発でなくて良かった」「日本で作っていたら少佐役はスカーレット・ヨハンソンにはならなかった」としている[29]

そのヨハンソン擁護とは矛盾して、過去の押井発言、士郎正宗の原作設定では、肉体に依存する草薙素子のアイデンティティを明かしている。

「素子って、実体は脳みそのレベルで実在するんだよ。「ネットと融合した」とかさ「身体を失くした」とかさ「身体のない女」とかみんな平気で言ってるけどさ」[30]

「攻殻機動隊は草薙素子が肉体から解き放たれた話ではなく、(略) オリジナルの脳に対する依存度は持続している」[31]

「当物語世界では、自分の若かった頃の姿に似せた義体を好む実年層や、年齢相応の自然な義体を好むのが一般的であるとしておく。」[32]

  • 第12回ハリウッド・プロフェッショナル・アソシエーション(HPA)アワード 最優秀カラーグレーディング賞(長編映画)
  • アメリカの公開は封切り後2か月足らずで終了。Box Office Mojoによれば国内興収は4千万ドルとされ、5月末までの国外興収は1億3千万ドルというデータがある。また攻殻機動隊映画シリーズ最大の興行収入作品ともなった。
  • 日本では、2017年4月7日に劇場公開、4月8日-9日の土日2日間の映画動員ランキングは、動員17万1000人、興収2億7300万円をあげ、初登場3位でスタートした[33]

Blu-ray・DVD[編集]

  • 【Blu-ray】 『ゴースト・イン・ザ・シェル』 & 『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』 ブルーレイツインパック+ボーナスブルーレイセット <数量限定生産>[34]、発売日:2017年8月23日
  • 【Blu-ray】 ゴースト・イン・ザ・シェル 3Dブルーレイ+ブルーレイセット[34]、発売日:2017年8月23日
  • 【Blu-ray】 ゴースト・イン・ザ・シェル 4K ULTRA HD+Blu-rayセット[34]、発売日:2017年8月23日
  • 【Blu-ray】 ゴースト・イン・ザ・シェル ブルーレイ+DVD+ボーナスブルーレイセット <初回限定生産>[34]、発売日:2017年8月23日

※販売DVDランキング(8月21日~8月27日)は、『ゴースト・イン・ザ・シェル』が首位[35]

  1. ^ Ghost in the Shell (2017) – Internet Movie Database
  2. ^ なぜ? ハリウッド版「攻殻機動隊」、ビートたけしだけ日本語しゃべる「謎」の真相 – ITmedia NEWS”. ITmedia (2017年4月24日). 2017年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月2日閲覧。
  3. ^ The Ghost in the Shell (2017)”. Box Office Mojo. 2017年5月26日閲覧。
  4. ^ 『キネマ旬報』2018年3月下旬 映画業界決算特別号 p.32
  5. ^ a b Ghost in the Shell (2017) – Release InfoInternet Movie Database, 2017年3月22日閲覧。
  6. ^ Ghost in the Shell (2017)”. Screen Rant. 2017年3月22日閲覧。
  7. ^ 『攻殻機動隊』ハリウッド実写版、初ビジュアルが公開”. クランクイン! (2016年4月15日). 2017年3月22日閲覧。
  8. ^ ゴースト・イン・ザ・シェル:作品情報”. 映画.com. 2017年3月22日閲覧。
  9. ^ 「ゴースト・イン・ザ・シェル」特集”. 映画ナタリー. 2017年3月22日閲覧。
  10. ^ a b 実写版「攻殻」スカヨハ&ビートたけしが互いを賞賛、同時にトレーラーも解禁”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2016年11月13日). 2016年11月14日閲覧。
  11. ^ “押井守版アニメ「攻殻機動隊」の声優陣、ハリウッド版の吹替キャストに決定”. コミックナタリー (株式会社ナターシャ). (2017年3月10日). https://natalie.mu/comic/news/223925 2017年3月10日閲覧。 
  12. ^ VOICE CAST”. 映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイト (2017年4月4日). 2017年4月4日閲覧。
  13. ^ ゴースト・イン・ザ・シェル”. ふきカエル大作戦!! (2017年4月7日). 2017年4月7日閲覧。
  14. ^ PARAMOUNT PICTURES AND DREAMWORKS PICTURES’ “GHOST IN THE SHELL” IS IN PRODUCTION IN NEW ZEALAND – PARAMOUNT PICTURES·FRIDAY, APRIL 15, 2016
  15. ^ Siegel, Tatiana (2009年10月22日). “Kalogridis to adapt ‘Ghost in the Shell’”. Variety. https://variety.com/article/VR1118010309?refCatId=13 2011年11月9日閲覧。 
  16. ^ Bishop, Bryan (2014年1月25日). “Live-action ‘Ghost in the Shell’ movie signs the director of ‘Snow White and the Huntsman’”. The Verge. 2014年3月3日閲覧。
  17. ^ Stedman, Alex (2016年1月25日). “’Ghost in the Shell’ Moves to Paramount From Disney” (英語). Variety. https://variety.com/2016/film/news/ghost-in-the-shell-release-date-paramount-disney-1201688478/ 2016年1月26日閲覧。 
  18. ^ Redmond, Sean (2004). Liquid Metal: The Science Fiction Film Reader. Wallflower Press. pp. 101–112.
  19. ^ “Production Report”. Ghost in the Shell (DVD). DVD Extra: Production I.G. 1996.
  20. ^ “【編集部推薦映画】ゴースト・イン・ザ・シェルをハリウッドで実写化”. Risvel. (2017年3月14日). https://www.risvel.com/news/3666 2018年2月28日閲覧。 
  21. ^ “「攻殻の実写化、日本発じゃなくて良かった」Production I.G 石川社長インタビュー。『ゴースト・イン・ザ・シェル』製作総指揮が語る真意は”. Engadget. (2017年3月14日). https://japanese.engadget.com/jp-2017-03-14-production-i-g.html 2018年2月28日閲覧。 
  22. ^ 【独占記事】時代劇漫画『子連れ狼』、ハリウッドで実写版リメイク映画化が決定”. ヴァラエティ・ジャパン (2016年6月29日). 2016年7月1日閲覧。
  23. ^ “DreamWorks accused of ‘whitewashing’ Ghost in the Shell by casting Scarlett Johansson” (英語). ガーディアン. (2016年4月14日). https://www.theguardian.com/film/2015/jan/16/dreamworks-scarlett-johansson-ghost-in-the-shell-whitewashing 
  24. ^ a b Gavin J. Blair (2016年4月19日). “Scarlett Johansson in ‘Ghost in the Shell’: Japanese Industry, Fans Surprised by “Whitewashing” Outrage”. Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/scarlett-johansson-ghost-shell-japanese-885462 
  25. ^ 【イマ旬!ハリレポ】『ゴースト・イン・ザ・シェル』の足を引っ張った“ホワイトウォッシュ”批判ってナニ?” (日本語). cinemacafe.net. 2019年1月10日閲覧。
  26. ^ ハリウッドの白人偏重「ホワイトウォッシング」は変えられるか?” (日本語). Newsweek日本版 (2017年11月9日). 2019年1月10日閲覧。
  27. ^ ‘Ghost in the Shell’: 4 Japanese Actresses Dissect the Movie and Its Whitewashing Twist” (英語). The Hollywood Reporter. 2019年1月10日閲覧。
  28. ^ “実写版「ゴースト・イン・ザ・シェル」に対する押井守監督のインタビュー”. IGN JAPAN. (2017年3月22日). https://jp.ign.com/ghost-in-the-shell-live-action-movie/12278/news/ 
  29. ^ 「攻殻の実写化、日本発じゃなくて良かった」Production I.G 石川社長インタビュー。『ゴースト・イン・ザ・シェル』製作総指揮が語る真意は – Engadget 日本版
  30. ^ 押井守「イノセンスが終わったあとに」『CONTINUE SPECIAL』太田出版、東京、2005年6月19日、87頁。ISBN 4872339568。OCLC 676220336
  31. ^ Masamune., Shirō,『攻殻機動隊データ+α』青心社〈PIECES Gem01〉、大阪、2014年11月13日、16頁。ISBN 9784878923968。OCLC 896815677
  32. ^ 士郎正宗 (2001-06-28). 攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE. 講談社 
  33. ^ 『SING/シング』が4週連続1位を達成!新作2本『ゴースト・イン・ザ・シェル』『夜は短し歩けよ乙女』がランクイン(4月8日-4月9日)(2017.04.10)興行通信社(2017年4月10日). 2017年4月10日閲覧。
  34. ^ a b c d 映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』DVD公式サイト” (日本語). 映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』DVD公式サイト。2017年8月23日(水)ブルーレイ&DVDリリース、レンタル同時開始。2017年7月19日(水)デジタルセル、8月2日(水)デジタルレンタル先行配信。. 2020年1月20日閲覧。
  35. ^ 【TSUTAYA・販売DVDランキング】ビートたけし出演の『ゴースト・イン・ザ・シェル』が初登場首位! T-SITEニュース(2017年8月28日), 2017年8月28日閲覧。

外部リンク[編集]


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