在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律 – Wikipedia

在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(ざいがいこうかんのめいしょうおよびいちならびにざいがいこうかんにきんむするがいむこうむいんのきゅうよにかんするほうりつ)は、在外公館の日本語の名称及び位置について定め、加えて、そこに勤務する外務公務員の俸給及び在勤手当などについて、物価水準や生活水準といった特殊性を考慮して特別職の職員の給与に関する法律及び一般職の職員の給与に関する法律に関する特例について定める日本の法律である。法令番号は昭和27年法律第93号、1952年(昭和27年)4月21日に公布された。略称は在外公館名称位置給与法名称位置法[1]など。

  • 第1条(在外公館の名称及び位置)
  • 第2条(在外職員の給与)
  • 第3条(給与の支払)
  • 第4条(給与の支給方法)
  • 第5条(在勤手当)
  • 第6条(在勤手当の種類)
  • 第7条(調査報告書)
  • 第8条(在勤手当の額の改訂)
  • 第9条(在勤手当の額の臨時の改訂又は設定)
  • 第9条の2(戦争等による特別事態の際の在勤手当)
  • 第10条(在勤基本手当の支給額)
  • 第11条(在勤基本手当の支給期間)
  • 第12条(住居手当の支給額)
  • 第12条の2(住居手当の支給期間等)
  • 第13条(配偶者手当の支給額)
  • 第14条(配偶者手当の支給期間)
  • 第15条(配偶者手当を受ける在外職員の扶養手当)
  • 第15条の2(子女教育手当の支給額)
  • 第15条の3(子女教育手当の支給期間)
  • 第16条(館長代理手当の支給額)
  • 第17条(館長代理手当の支給期間)
  • 第18条(特殊語学手当)
  • 第19条(研修員手当の支給額)
  • 第20条(研修員手当の支給期間)
  • 第21条(給与の端数計算)
  • 第22条(罰則)
  • 第23条(国外犯罪)
  • 附則
  • 別表第一 在外公館の名称及び位置(第一条関係)
  • 別表第二 在勤基本手当の基準額(第十条関係)
  • 別表第三 研修員手当(第十九条関係)

1952年(昭和27年)に、サンフランシスコ平和条約の発効に先駆けて在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律という題名で制定された。この法律に記載されている21大使館、18公使館、11総領事館および6領事館が、戦後初となる日本の在外公館である[2]

1971年(昭和46年)に、これまで在外公館の名称と位置を定めていた外務省設置法の別表を盛り込んだため、現在の題名に改められた。

2017年(平成29年) – 平成29年法律第7号[3]

  • ブラジルのレシフェに在レシフェ日本国総領事館を、アフリカ連合の本部があるエチオピアのアディスアベバにアフリカ連合日本政府代表部を、それぞれ新設する(政令で定める日(平成30年1月1日)施行)。
  • 在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定する(平成29年4月1日施行)。

2018年(平成30年) – 平成30年法律第2号[4]

別表第一(国名)[編集]

本法の別表第一(以下「別表1」)「在外公館の名称及び位置」は日本語による各国の名称(外名)について網羅的に明示しており、事実上この別表1が日本国政府による国名の日本語標準表記の根拠とされている[5]

外務省の実務において国名の基準とされているのは、大臣官房総務課が内規として定める『国名表』であるが[6]、この『国名表』は一般公開されておらず、市販の文献では2007年(平成19年)まで外務省監修協力(1967年 – 1998年度版は編集)で発行されていた、財団法人世界の動き社『世界の国一覧表』に掲載された国名が原則として『国名表』によるものとされていた。

ただし『国名表』では別表1で用いる「法文上の表記」以外に「選択表記」と言う形で公文書に別名を使用することを認めているため『世界の国一覧表』では「法文上の表記」が一般に余り使用されていないような場合は、この「選択表記」の方が採用される場合もあった。

『世界の国一覧表』廃刊後は外務省のウェブサイトに掲載された国名が前述の『国名表』に基づくものとみなされているが、サイトの表記と別表1の記述は『世界の国一覧表』と同様に必ずしも一致していない(「選択表記」の方が使用されている)場合もある。

なお、1989年(平成元年)に「ビルマ」が「ミャンマー」に改称した事例や1997年(平成9年)に「西サモア」が「サモア独立国」に改称した事例など、国連に対して政体の変革等の理由で国名の変更が届け出られた場合に関しては別表1の改正がその都度ごとに行われている。

日本語国名表記の変更例[編集]

2003年(平成15年)の別表1改正では1991年(平成3年)の内閣告示『外来語の表記』を反映させると共に、改正時点では余り使用されなくなっていた「法文上の表記」をそれまでは「選択表記」として認めていた一般的な表記に近付ける形で抜本的な改正が行われた(国名に含まれる「王国」「共和国」などの政体に関する部分は、同名の国との識別等の事情がある場合を除き省略)[7]

この際に行われた見直しの大部分は”Ti”をそれまでの「ティ」から慣用として確立されている「チ」に変更する、”V+子音”を「ヴァ〜ヴォ」から「バ〜ボ」に変更する、過剰な中点や長音の除去、促音の整理など表記ゆれの範疇に収まるものだが、中には”Cyprus”を英語読みした「サイプラス」からギリシャ語に基づく「キプロス」に変更したり、フランス語の”Côte d’Ivoire“を意訳した「象牙海岸」を音韻転写の「コートジボワール」に変更するなどの特殊な事例も見られる。

2015年(平成27年)には、それまでロシア語由来(異説あり)の外名で「グルジア」と呼ばれていたジョージア政府からこの外名の使用取りやめを要請されたことを受け、別表1の改正が行われた[5]

2019年(平成31年)の改正により、名称変更の宣言を受けてスワジランドから「エスワティニ」へ変更。また、セントクリストファー・ネーヴィスとカーボヴェルデをそれぞれ「セントクリストファー・ネイビス」と「カーボルデ」に変更し、「ヴ」は使用されないこととなった[8][9]

関連項目[編集]