フィリオクェ問題 – Wikipedia
フィリオクェ問題(フィリオクェもんだい)とは、ニカイア・コンスタンティノポリス信条の解釈・翻訳を巡る問題である。 キリスト教の神学上、最大の論争のひとつで、カトリック教会と正教会の分離、いわゆる大シスマ(東西分裂)の主因となった。 西方教会で言う聖霊すなわち正教会でいう聖神は、父なる神と、子にして神であり人でもあるイエス・キリストとともに、三位一体を構成する。 問題は、正教会では「聖神は父より発する」とされるが、カトリック教会では「聖霊は父より、子からも発する」とされる点の相違である。 フィリオクェ[編集] 「フィリオクェ」という語はラテン語で「また子より」を意味する “Filioque” の音写である。 「Filioque」 とは、「子」を意味する名詞 filius の奪格 filio に、「~もまた」を意味する接尾辞的接続詞 -que が附加されたものである。 古典ラテン語の発音から言うと「フィーリオークェ」とするのが最も原音に近いが、ラテン語を日本語に写す際には長音は省かれることが多く、また教会ラテン語では長母音と短母音との区別がないため、一般に「フィリオクェ」と読まれる。 また、表記の違いにより「フィリオケ問題」や「フィリオクエ問題」とも呼ばれる。 この時期のキリスト教では、東地中海沿岸ではギリシア語(コイネー、中世ギリシア語)が、西地中海沿岸ではラテン語(教会ラテン語)が主に用いられていた。教義は主に東地中海で理論的発展を見たため、神学理論の著述もギリシア語が主であった。 『新約聖書』は原文がギリシア語で書かれており、公会議(正教会では全地公会議という)で採択されたいくつかの信条もギリシア語を原文としている。ローマ教会をはじめとするラテン語地域では、聖書や信条といった宗教文書をラテン語に訳して用いていた。
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