鉄道事業者 – Wikipedia

鉄道事業者(てつどうじぎょうしゃ)は、日本の鉄道事業法において鉄道事業の許可を受けた者をいう(鉄道事業法第7条)。

鉄道事業法では、鉄道事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けることとされている(鉄道事業法第3条)[1]。鉄道事業の許可は、事業者単位ではなく、路線及び鉄道事業の種別単位ごとに行われる[1]

国土交通省が所管する法律には鉄道事業法のほかに軌道法がある[1]。鉄道事業法上の鉄道事業者と軌道法上の軌道経営者を総称して「鉄軌道事業者」という[2]

鉄道事業法上の鉄道と軌道法上の軌道では敷設位置に違いがあり(軌道は道路に敷設されるのに対し、鉄道は原則として道路には敷設できない)、車両長や速度制限にも大きな違いがある[1]。ただし、鉄道・軌道の両路線を兼営していて鉄道事業法上の鉄道事業者と軌道法上の軌道経営者の双方にあたる事業者も多い[2]。また、新交通システムのように同一の路線に鉄道事業法上の適用区間と軌道法上の適用区間が混在しているケースもある[1]。軌道法による軌道経営者については「軌道法」を参照されたい。

鉄道事業の区分[編集]

鉄道事業法第2条により、第一種鉄道事業(上下一体方式)、第二種鉄道事業(上下分離方式で運送・経営のみ)、第三種鉄道事業(上下分離方式で施設の整備・保有のみ)に分けられる[1]

第一種鉄道事業[編集]

鉄道による旅客または貨物の運送(列車の運行)を行う事業であるもの。

鉄道施設一式を保有するとともに列車の運行も行う。ほとんどの鉄道事業者が該当する。

なお、鉄道事業法第59条第1項の規定により鉄道建設・運輸施設整備支援機構と日本高速道路保有・債務返済機構が行う第三種鉄道事業に該当する業務については、同法の規定が適用除外されており、これらから鉄道施設を借り受けて列車の運行を行う事業は、第一種鉄道事業とみなされる(鉄道事業法第59条第2項)ことになっている。

第二種鉄道事業[編集]

自らが敷設した鉄道線路以外の、(第一種や第三種鉄道事業者が保有する)鉄道線路を使用(借用)して、旅客または貨物の運送を行う事業である。

ただし、他事業者線への直通運転や、運転業務の受託など、他事業者の線路に列車を走らせていても第二種鉄道事業としていない(即ち自らの営業路線としていない)、もしくは第二種鉄道事業を廃止しても、直通運転などの形で引き続き同様の運行形態をとっている鉄道事業者もいる。

第二種鉄道事業者の路線のうち、施設保有事業者が第一種鉄道事業者であるのは以下の例がある。施設保有事業者が第三種鉄道事業者の例は第三種鉄道事業者の節の表を参照。

第三種鉄道事業[編集]

鉄道線路を第一種鉄道事業を経営する者に譲渡する目的をもって敷設する事業、及び鉄道線路を敷設して該当鉄道線路を第二種鉄道事業を経営する者に専ら使用させる事業。

北総線の小室以東の千葉ニュータウン鉄道や神戸高速鉄道のほかに、新線建設の際に鉄道施設の建設・保有を行う第三種鉄道事業者として設立される事業者が該当する。後者の例としてはJR東西線の施設を保有する関西高速鉄道や、既設貨物線を旅客線化した区間を含むおおさか東線の施設を保有する大阪外環状鉄道があり、この2例は実際の運行を行うJR西日本が第二種鉄道事業者である。

神戸高速鉄道は鉄道事業法成立以前から施設のみ保有する形で阪急電鉄・阪神電気鉄道・山陽電気鉄道・神戸電鉄が乗り入れてくる形を取っていた。同法成立以後は神戸高速鉄道が第三種鉄道事業者、乗り入れ各社が重複して第二種鉄道事業者となっていたが、後に整理されて山陽は全線の、阪急は新開地以西の第二種事業を廃止している。駅営業は神戸高速鉄道が逆委託される形で行っていたが、これも整理以後阪急レールウェイサービスへの委託となった。神戸高速鉄道はこのほか北神線を北神急行電鉄から譲渡されて各々第三種・第二種鉄道事業者となっていた(北神線は2020年6月に神戸市交通局に譲渡され神戸市営地下鉄北神線となった)。

上下分離方式を取るに当たって地方自治体が第三種鉄道事業者としてインフラを保有する事例もある。

鉄道事業の許可[編集]

鉄道事業の許可を受けようとする者は、予定する路線、経営しようとする鉄道事業の種別(第一種鉄道事業、第二種鉄道事業、第三種鉄道事業)、事業基本計画等の必要な申請書を国土交通大臣に提出しなければならない(鉄道事業法4条)[1]

  • 第一種鉄道事業及び第二種鉄道事業の許可は、業務の範囲を旅客運送又は貨物運送に限定して行うことができる(鉄道事業法3条3項)。
  • 一時的な需要のための鉄道事業の許可は、期間を限定して行うことができる(鉄道事業法3条4項)。

なお、第三種鉄道事業の許可は、当該事業により敷設される鉄道線路に係る第一種鉄道事業又は第二種鉄道事業の許可と同時に行われる(鉄道事業法5条3項)。

鉄道事業の許可基準[編集]

国土交通大臣は、鉄道事業の許可をしようとするときは、次の基準に適合するかどうかを審査する(鉄道事業法5条1項)[1]

  1. その事業の計画が経営上適切なものであること。
  2. その事業の計画が輸送の安全上適切なものであること。
  3. 前二号に掲げるもののほか、その事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
  4. その事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。

特定目的鉄道事業[編集]

景観の鑑賞、遊戯施設への移動その他の観光の目的を有する旅客の運送を専ら行うもの。

鉄道事業法第5条第2項で「特定の目的を有する旅客の運送を行うもの」として規定されている鉄道事業で、具体的には鉄道事業法施行規則第6条の2に規定されている。遊園地への客の送迎のための鉄道など、公共性の低いものについてより簡略化された手続きで鉄道事業が行えるようにしたものである。通常の鉄道事業の許可権限は国土交通大臣にあるが、特定目的鉄道事業については地方運輸局長に委任される。

2000年3月の鉄道事業法改正によって新設された区分である。最初の適用例は、2005年に2005年日本国際博覧会の会場内で運行された2005年日本国際博覧会協会愛・地球博線である[3]。しかし、これは経営期間が博覧会の会期中に限定されたIMTSによる路線であった。

2009年4月26日、福岡県北九州市の門司港レトロ地区内の門司港 – 和布刈公園間で平成筑豊鉄道が第二種鉄道事業者、北九州市が第三種鉄道事業者として運行する門司港レトロ観光線(やまぎんレトロライン)がこの区分の適用を受ける初の普通鉄道の路線・常設路線として開業した。

このほかに1997年に廃止された信越本線横川 – 軽井沢間(碓氷峠)の一部で、「園内遊具」として鉄道車両を運行させている碓氷峠交流記念財団が、横川 – 軽井沢間の全区間について特定目的鉄道事業の申請を予定している(詳しくは「碓氷峠」・「碓氷峠鉄道文化むら」を参照)。

なお、これらと同様に観光目的でトロッコ列車を運行している嵯峨野観光鉄道、黒部峡谷鉄道はそれぞれ単なる第二種鉄道事業者、第一種鉄道事業者であり、特定目的鉄道事業者ではない。なお、黒部峡谷鉄道は親会社である関西電力が資材輸送のために敷設した専用鉄道を起源としており、現在もなおその使命を有している。

鉄軌道事業者の経営形態[編集]

鉄道事業者の経営形態は以下のとおり区分される(以下には軌道経営者の許可も受けている事業者を含む。また、便宜的に軌道経営者の許可のみを受けている事業者を含む)。

株式会社[編集]

日本の鉄道事業者のほとんどが株式会社であり、このうち25社が株式公開(上場)をしている。なお、大手鉄道事業者がその系列鉄道事業者の株式を保有し子会社化している例は多く、完全子会社化しているケースと、そうではなく一定比率の株式を有しているにすぎない場合に分かれる。

上場企業[編集]

公営企業[編集]

地方公営企業(交通局。公営交通の一形態)、あるいは地方公共団体が直接経営する企業形態で、次の18事業者がある。

戦後、鉄軌道事業を行っていたものの、現在では廃止した公営事業者は

大都市(政令指定都市)の地下鉄が公営企業によって経営されているのは、地下高速鉄道整備事業費補助制度に基づく地下鉄建設費の補助金が、原則として地方公共団体及び旧営団だけに支給されたためである。

特殊法人[編集]

現在、鉄道(軌道)事業を行う事業者に「独立行政法人等登記令(旧特殊法人登記令)」の別表に掲げる法人に含まれる狭義の特殊法人は存在しないが、新設・目的の変更・廃止が総務省による審査の対象となる広義の特殊法人に次の特殊会社(株式会社)が含まれる。

過去に鉄道(軌道)事業を行っていた次の特殊法人があった。

次のJR3社は、改正JR会社法公布前日の2001年6月21日まで特殊会社であった。

また、JR九州は、改正JR会社法公布前日の2016年3月31日まで特殊会社であった。

  • 九州旅客鉄道(2016年10月25日に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の保有株式を売却し完全民営化)

財団法人[編集]

なお、過去に期間限定免許を受け、鉄道(軌道)事業を行った次の博覧会協会も、財団法人である。

その他の経営形態[編集]

過去に以下の経営形態で鉄道(軌道)事業を行っていた事業者があった。

このほか、昭和初期(1920年代)までの時代には、個人経営(人車軌道など)や合名会社、合資会社、協同組合(協業組合)の小規模な鉄道事業者も存在した。

JRと私鉄、第三セクターの区分[編集]

1987年3月31日まで、法的に国鉄私鉄という二つの区分が存在した。国鉄は、日本国有鉄道法に基づき公社としての日本国有鉄道が経営した鉄道である。これに対し地方鉄道法または軌道法に基づき民間企業および公営企業が経営した国鉄以外の鉄道・軌道を私鉄(または民鉄)と呼び、私鉄の路線は会社線社線)と呼んだ。

国鉄の分割民営化により、すべての鉄道事業者が鉄道事業法および軌道法に管轄されることになった。JRグループ)は一般的には私鉄(民鉄)とは呼ばないが、JR東日本・西日本・東海・九州に関しては完全民営化された「民間企業」のため、実際は私鉄(民鉄)の一種であるといえる[注 1]。また、それ以外のJRグループ各社は「公私合同企業」である。「会社線」という呼称についても、JRの乗車券に例えば「東日本会社線」のように書かれてはいるものの、今でも単に「会社線」「社線」と呼ぶ場合は、JR以外の路線をさして使われる場合が多い。

旧国鉄の特定地方交通線の転換または整備新幹線開業に際して経営分離された並行在来線の受け皿として、また日本鉄道建設公団(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の地方AB線(地方開発線・地方幹線)の経営主体として設立された第三セクターの鉄道事業者についても、地図記号では私鉄とされているなど、一般的には私鉄に含まれる。ただし、別途第三セクターとして別の区分をすることもある。これは、営業路線の歴史的区分によるものであり、例外もあるが、時刻表でもJR路線の関連ページに記載されていることが多い。ただし、同じ第三セクターの鉄道事業者でも、旧国鉄からの転換あるいは継承ではない鉄道会社、例えば、大都市圏の新交通システムやモノレール各社、臨海工業地帯の貨物鉄道(臨海鉄道)会社、大都市周辺の都市開発に伴う通勤新線を敷設するために設立された北総鉄道・北大阪急行電鉄・泉北高速鉄道などの鉄道会社、万葉線・えちぜん鉄道の元々の私鉄路線を引き継いだ鉄道会社などは、この区分によらず私鉄として扱われることが多い。

なお、JR及び旧国鉄線を引き継いだ第三セクター各社は青い森鉄道を除き、ほとんどの民営鉄道会社が加盟する社団法人日本民営鉄道協会に加盟していない[注 2]。ただし入会は任意であり、旧国鉄線やJR線を引き継いだ鉄道会社も入会は可能である。

地図記号では国鉄線と私鉄線で区分されていたが、現在でも「JR」と「JR以外の鉄道」(第三セクター鉄道を含む)で分けられている。

大手私鉄・準大手私鉄・中小私鉄の区分[編集]

JRを除く私鉄についても、日本民営鉄道協会(民鉄協)に加盟する大規模な鉄道事業者を大手私鉄(大手民鉄)と呼び、他の私鉄会社とは区別している。現在は東京地下鉄(東京メトロ)を含めた16社を指す。帝都高速度交通営団の民営化による東京地下鉄発足前は、国土交通省鉄道局などの統計資料などでは帝都高速度交通営団を除いた15社を大手私鉄としていた。

大手私鉄を除く私鉄は中小私鉄(中小民鉄)と呼ばれる。このうち、中小私鉄の中でも規模の大きい私鉄を準大手私鉄(準大手民鉄)と呼ぶことがある。準大手私鉄の明確な定義はないが、現在は5社が準大手私鉄とされている。準大手私鉄と中小私鉄については、地方私鉄(地方民鉄)と定義され、この中で都市近郊の大都市高速鉄道地方旅客鉄道の2つに分類される場合もある[4]

大手私鉄の承認は業界団体である民鉄協が行っており、協会非加盟の鉄道事業者は事業規模の多寡にかかわらず「大手私鉄」とはみなされない[5]

これらの区分は労働争議の過程で特定事業者を「大手」と呼んだことに端を発している。そのため「中小私鉄」とされる事業者は必ずしも中小企業とはいえず、大企業に分類される事業者でも中小私鉄とされる場合がある。一例を挙げると、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)や大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) [5]は、国土交通省の資料(2021年4月)では2社とも中小民鉄(中小私鉄)に区分されている[6]。この2社は民鉄協に加盟しておらず[7]、大手私鉄となる要件を満たしていない。

また、大手私鉄・準大手私鉄という場合、企業自体やグループの規模だけでなく、鉄道事業の規模が占める割合が重視される。一例として、静岡県の遠州鉄道や静岡鉄道[8]、山梨県の富士急行などは連結売上高は高いものの、グループ全体の利益に占める鉄道事業の割合は低い[5]。こうした鉄道事業者は準大手私鉄とはみなされていない。

鉄道事業者の商号の漢字表記[編集]

この節には、JIS X 0213:2004 で規定されている文字が含まれています(詳細)。

鉄道事業者の中には、大井川鐵道、真岡鐵道、和歌山電鐵など、あえて旧字体(もしくは異体字)の「」を用いて表記する例が見られる。これは「」の漢字が「金を失う」と書くため、縁起が悪いからだといわれる。古くは古字である「」を用いた事業者もあった(名古屋電氣銕道など。通常は「鐵」で通じたが、公的な書類などでは正式表記の「銕道」に統一されていた)。

また現在の四国旅客鉄道(JR四国)を除くJR各社では、ロゴ(デザイン文字)においては「鉄」の字の旁(つくり)を「失」から「矢」にした「」の字を用いて、「鉃道」と表記している。これは、「金が矢のように集まる」になるからだという話と、当時の日本国有鉄道の赤字経営から「金を失うことを避けないとつぶれる」という意向があったという話があるといわれている。かつては近畿日本鉄道(近鉄)や、当時近鉄直営だった近鉄百貨店等グループ企業でも同様の字を使用していた。

しかし「鉃道」の文字を見た小学生がテスト等で誤記することが心配され、教育的に好ましくないという意見もある。近鉄グループが1967年に使用を停止したのも、それによる沿線住民からの指摘が理由である。なお、本来「」の字は鏃(やじり)の意で、全く違う意味の字であり、国語辞典・漢和辞典には明治・大正期に発行されたものや、その復刻版・改訂版以外では掲載されていない例が多い[9](これらの文字については、ウィクショナリーの「」および「」の項目も参照)。

異業種との関係[編集]

異業種への参入[編集]

鉄道事業者の多くが、鉄道事業だけではなく、直営あるいは子会社などで、各種の関連事業や異業種の事業を行っている。これは公共交通という性格上、鉄道事業のみでは利益を生み出しにくいためであり、特に宅地開発の不動産業と商業施設の展開は、鉄道や駅の開発とセットで行うケースが多い。日本においては、阪急電鉄の創業者小林一三が鉄道事業と不動産・流通・娯楽産業などを組み合わせたビジネスモデルを成功させ、各地の私鉄や民営化後のJR各社の手本になっている[10][11]

以下のような事例がある。中には銚子電気鉄道のぬれ煎餅製造のように、本業の赤字を埋めるために異業種に参入した例もあるが、鉄道会社というブランドが企業にとってプラスになっているため、赤字であっても鉄道事業を継続している。

※主な例

異業種からの参入[編集]

元来は鉄道事業者ではない異業種の事業者が、直営あるいは子会社などで鉄道事業を行う、もしくは経営破綻した鉄道事業者の再建支援を行っている例として以下のようなものがある。中には紀州鉄道のように「鉄道会社」というネームバリューを得るために既存の鉄道会社を買収し、自社の社名を買収会社のそれに変更したケースも存在する。

  • 参入者自身が直営で鉄道事業を行っているもの、行っていたもの
  • 鉄道事業を行うために設立した子会社で間接的に運営するもの、する予定であったもの、していたもの
  • 既存の鉄道事業者を買収し、経営傘下に置いて鉄道事業に参入したもの
    • 紀州鉄道 – 1928年に御坊臨港鉄道として開業した路線。災害やモータリゼーションの進展によって廃止の危機に追い込まれていたものを、1972年に東京の磐梯電鉄不動産が約1億円で買収。翌年1月、「紀州鉄道」に社名を変更。現在は不動産・ゴルフ場・リゾート開発会社の鶴屋産業の傘下となっている。
    • 銚子電気鉄道 – 1990年に経営権が千葉交通から東金市の建設業・内野屋工務店に移転。子会社「銚電恒産」を設立してその子会社となった。しかし、1998年に同社が自己破産申請をしたため、現在では銚子市・千葉県が経営支援を行っている。
    • 2005 – 2006年には、投資ファンドの「村上ファンド」が阪神の株式を取得、経営に乗り出そうとした例がある。
  • 経営再建のため異業種の企業やその出身者が経営参画・経営支援しているもの
    • 東京モノレール – 建設費がかさんだゆえの高運賃もあって経営危機に瀕し、日立グループのもとで再建。長らく日立物流の子会社であったが、のちにJR東日本の子会社となっている(ただし、日立製作所も12%の株を保持(2012年3月現在))。
    • 水間鉄道 – バブル期の過大投資がたたり、2005年に会社更生法の適用を申請。大阪市に本社をおく外食チェーン・グルメ杵屋が支援企業に決定し、経営再建がなされた。現在、グルメ杵屋の100%子会社である。
    • 高松琴平電気鉄道 – 自社ターミナルに建設したコトデンそごうがそごうグループ破綻の影響で破産し、その影響で2001年に民事再生法の適用を申請して経営破綻した。地元に本社を置く大手食品加工メーカー、加ト吉の支援の元で経営再建をした。
    • しなの鉄道 – 長野県の第三セクター鉄道。経営再建のために、最初は格安航空券販売で知られる旅行代理店エイチ・アイ・エス、次に格安航空会社のスカイマークから社長を迎えて経営再建を果たした。資本関係上の提携や買収をした訳ではなく、厳密には「異業種からの参入」とは言い難いものの、2代続けて航空関連業界関係者から経営者を招聘して経営再建した。
  • 行政が地方鉄道存続のために、経営企業を公募したもの
    • 和歌山電鐵 – 廃線となる南海貴志川線を、和歌山市などの自治体が公的な財政補助を前提に存続させることになった。しかし、沿線自治体の財政状況の関係で第三セクター設立は困難だったために、経営企業を公募した。不動産会社や外食産業など何社か異業種からの応募もあり、異業種からの参入の可能性もあった。最終的には、他地域の鉄軌道事業者である岡山電気軌道が経営することに決まった。
    • WILLER TRAINS – 慢性的な赤字に苦しむ第三セクターの北近畿タンゴ鉄道の運営を行うために設立された、旅行業などを営むWILLERの子会社。

かつては、炭鉱鉄道のように鉱業会社が運営する鉄道も多かった。こうした鉄道の例として、太平洋石炭販売輸送が挙げられる。また、岩手開発鉄道、秩父鉄道、三岐鉄道は太平洋セメントが大株主であり、セメント製品及び原料の輸送を手掛けている。

鉄道事業法に基づかない鉄道運営者[編集]

鉱業会社が運営する鉱山鉄道や営林署や林業者が運営する森林鉄道、かつて北海道に存在した簡易軌道(←殖民軌道)は鉄道事業法及び前身の地方鉄道法や軌道法とは異なる法令により運営される鉄道である。したがってこれらの鉄道の運営者は法律的には鉄道事業者とは呼べない。これらの鉄道は現在では鉱業・林業の衰退、モータリゼーションの発達などにより、ほぼその役割を終えた。

かつて自衛隊では有事の際の輸送手段として国鉄の鉄道網を利用するため、陸上自衛隊に鉄道車両を運用する第101建設隊が存在したが、道路網の発達と大型輸送機の配備により解体した。海上自衛隊が呉弾薬整備補給所内での弾薬の運搬にディーゼル機関車を利用していたが[20] 2010年頃に使用が中止され、国が運用する鉄道車両と路線が無くなった。

注釈[編集]

  1. ^ JR6社とも発足時は政府が日本鉄道建設公団を通じて株式を保有し、JR北海道・JR四国は2019年現在も日本鉄道建設公団の後身の鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて株式を保有しているため、完全な民営ではない。
  2. ^ それらの第三セクター各社の労働組合も同様に、日本私鉄労働組合総連合会には加盟していない。
  3. ^ 自社グループには百貨店事業を持っていない場合でも、相鉄・南海が髙島屋、西鉄が岩田屋三越をそれぞれ自社のターミナル駅に入居させている。
  4. ^ それ以前(1978年オフの球団買収と本拠地移転以後)も西武ライオンズ(2008年から埼玉西武ライオンズ)と名乗っていたが、実際の親会社はコクド(現・プリンスホテル)であった。
  5. ^ 北海道移転後はJR北海道も出資。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]