東証株価指数 – Wikipedia

東証株価指数(とうしょうかぶかしすう、英語: Tokyo stock price index, TOPIX〈トピックス〉)は、東京証券取引所第一部上場株式銘柄を対象として、同取引所が1秒毎に、算出・公表している株価指数である。日経平均株価と共に日本株のベンチマークとして普及している[1]

東証株価指数は、東証第一部に上場する株式の時価総額の合計を終値ベースで評価し、基準日である1968年(昭和43年)1月4日の時価総額[注 1]100として、新規上場・上場廃止・増減資・企業分割などにより修正され、指数化したものである。

日経平均株価に比べ、特定業種と企業の値嵩株の動きによる株価影響を受けない利点を持つ反面、株券の持ち合いにより、時価総額のダブルカウントが起きやすい欠点も有していた。このため、東京証券取引所は、2004年(平成16年)7月に時価総額加重平均型株価指数から浮動株基準株価指数への変更を示唆した。その後、2005年(平成17年)10月31日、2006年(平成18年)2月28日、2006年6月30日の3段階に分けて、東証REIT(リート)指数を除く全ての株価指数を、浮動株基準株価指数へ移行させた。

  • 1969年07月01日 – 東証株価指数・東証規模別株価指数の公表を開始。
  • 1969年08月18日 – 東証第二部株価指数の公表を開始。
  • 1988年09月03日 – 東京証券取引所にてTOPIX先物取引開始。
  • 1989年10月20日 – 東京証券取引所にてTOPIXオプション取引開始。
  • 1998年08月02日 – TOPIXニューインデックスシリーズの公表を開始。
  • 1999年02月01日 – 配当込み株価指数の公表を開始。
  • 2001年07月13日 – 東京証券取引所にてTOPIX ETF取引開始。
  • 2003年08月01日 – 東証REIT指数の公表を開始。
  • 2003年09月16日 – 東証マザーズ指数の公表を開始。
  • 2005年10月31日 – TOPIXの第一回浮動株化。
  • 2005年11月17日 – ユーロネクストにてTOPIX ETF取引開始。
  • 2006年02月28日 – TOPIXの第二回浮動株化。
  • 2006年06月30日 – TOPIXの浮動株化完了。
  • 2007年12月03日 – S&P/TOPIX150シャリア指数の公表を開始。
  • 2007年12月10日 – TOPIX-17シリーズの公表を開始。
  • 2009年02月09日 – TOPIXスタイルインデックスシリーズの公表を開始。
  • 2009年02月09日 – TOPIXコンポジットインデックスシリーズの公表を開始。
  • 2010年03月08日 – 東証配当フォーカス100指数の公表を開始。
  • 2010年06月21日 – 東証REIT用途別指数シリーズの公表を開始。
  • 2010年07月22日 – TOPIX配当指数、TOPIX Core30配当指数の公表を開始。
  • 2010年09月13日 – TOPIXの配信間隔を1秒単位に短縮。
  • 2022年04月04日 – 新市場区分への移行に伴い見直しを実施する予定[2]
  • 2022年10月31日 – 新しい TOPIX への移行を開始する。移行期間は2025年1月31日まで。
  • 2025年01月31日 – 新しい TOPIX へ移行。

構成銘柄[編集]

銘柄の追加・除外は、以下のルールにのっとって行われる。

現行(2022年10月31日まで)[編集]

東京証券取引所第一部に上場している、内国普通株式全銘柄。

(銘柄の追加)

  • 新規上場(直接新規上場・他の証券取引所経由の上場)銘柄 : 新規上場日の翌月末(最終営業日)
  • 新規上場(株式移転等に伴う新設会社等が市場第一部に速やかに上場する場合) : 新規上場日
  • 第二部から第一部へ上場市場が変更(一部指定)となった銘柄 : 一部指定日の翌月末(最終営業日)
  • マザーズ・JASDAQから第一部へ上場市場が変更となった銘柄 : 市場変更日の翌月末(最終営業日)

(銘柄の除外)

  • 整理銘柄指定による上場廃止銘柄 : 整理銘柄指定日の4営業日後
  • 株式移転等のために上場廃止となり、当該株式移転等に伴う新設会社が市場第一部に速やかに上場する場合 : 当該新設会社等の新規上場日
  • 合併などにより上場廃止となる銘柄 : 上場廃止日
  • 市場第二部への指定替え: 指定替え日
  • マザーズ・JASDAQへの市場変更:市場変更日

移行期間(2022年10月31日~2025年1月31日)[編集]

2022年4月1日時点における東証株価指数構成銘柄(新市場への上場区分は不問、特設注意市場銘柄に指定された銘柄を除く)並びに、同年4月4日以降に東京証券取引所プライム市場へ新規上場もしくは東京証券取引所スタンダード市場・グロース市場からプライム市場へ市場変更を行った銘柄(特設注意市場銘柄に指定された銘柄を除く)で構成される予定[2][3]

(銘柄の追加)

  • 2022年3月中に市場第一部へ新規上場した銘柄(テクニカル上場を除く):2022年4月最終営業日
  • 2022年4月1日に市場第一部へ新規上場した銘柄(テクニカル上場を除く):2022年5月最終営業日
  • 新規上場(直接新規上場)銘柄 : 新規上場日の翌月末(最終営業日)
  • 新規上場(株式移転等に伴う新設会社等がプライム市場に速やかに上場する場合) : 新規上場日
  • スタンダード市場・グロース市場からプライム市場へ上場市場が変更となった銘柄 : 市場変更日の翌月末(最終営業日)
  • 特設注意市場銘柄の指定により構成銘柄から除外されたものの、2023年8月最終営業日時点で特設注意市場銘柄の指定の解除を受け、流通株式時価総額100億円以上かつ段階的ウエイト低減銘柄の再評価により年間売買代金回転率0.2回転以上となった銘柄 :2023年10月最終営業日(2023年9月以降に解除された銘柄については後日検討)

(銘柄の除外)

  • 整理銘柄指定による上場廃止銘柄 : 整理銘柄指定日の4営業日後
  • 株式移転等のために上場廃止となり、当該株式移転等に伴う新設会社が市場第一部に速やかに上場する場合 : 当該新設会社等の新規上場日
  • 合併などにより上場廃止となる銘柄 : 上場廃止日
  • 2021年6月30日を基準とする「新市場区分における上場維持基準への適合状況の通知」における流通株式時価総額が100億円未満の銘柄に該当かつその判定に用いた決算期の翌期末の流通株式時価総額100億円未満の銘柄に該当した銘柄(段階的ウエイト低減銘柄)において、10回目の判定で流通株式時価総額100億円未満となった場合:2025年1月最終営業日(2020年11月1日以降に市場第一部へ新規上場申請を行った銘柄並びに市場第二部・マザーズ・JASDAQから第一部へ上場市場の変更申請を行った銘柄は除く)
  • 2022年4月4日時点で特設注意市場銘柄に指定されている銘柄:2022年4月最終営業日
  • 2022年4月4日以降に特設注意市場銘柄に指定された銘柄:特設注意市場銘柄指定日の4営業日後

段階的ウエイト低減銘柄[編集]

2022年4月1日時点における東証株価指数構成銘柄(2020年11月1日以降に市場第一部へ新規上場申請を行った銘柄並びに市場第二部・マザーズ・JASDAQから第一部へ上場市場の変更申請を行った銘柄は除く)は、段階的ウエイト低減銘柄の審査対象となり、流通株式時価総額や年間売買代金回転率が段階的ウエイト低減銘柄に抵触した場合は、2025年1月最終営業日に東証株価指数構成銘柄から除外される[2][4][5]。特設注意市場銘柄を受けた銘柄で東証株価指数の再追加を受けるには、前述の通り段階的ウエイト低減銘柄の再評価を受けなければならない。

2021年7月9日に、「新市場区分における上場維持基準への適合状況の通知」における1次判定の結果が各上場企業へ通知され、市場第一部上場企業の約3割に当たる664社が、プライム市場に不適合である事が明らかとなった。プライム市場に不適合となった企業の内、2021年6月30日時点で流通株式時価総額が100億円未満であった企業は、2022年10月に実施される第1回判定を受ける事になる[6]。段階的ウエイト低減銘柄は2022年10月第5営業日に発表される予定である[7]

  • 2021年6月30日時点で流通株式時価総額が100億円以上の場合 – ウエイト低減なし
  • 2021年6月30日時点で流通株式時価総額が100億円未満の場合 – 2022年10月に実施される第1回判定を受ける
  • 2022年10月に実施される第1回判定で流通株式時価総額が100億円以上の場合 – ウエイト低減なし
  • 2022年10月に実施される第1回判定で流通株式時価総額が100億円未満の場合 – 段階的ウエイト低減銘柄に指定
  • 2023年10月に実施される再評価で流通株式時価総額が100億円以上で、かつ年間売買代金回転率が0.2回転以上の場合 – 段階的ウエイト低減銘柄から除外(5回目以降、移行係数を0.1ずつ引き上げ、2024年7月最終営業日に移行係数を1へ回復)
  • 2023年10月に実施される再評価で流通株式時価総額が100億円以上で、かつ年間売買代金回転率が0.2回転以下の場合 – 段階的ウエイト低減銘柄(5回目以降、移行係数は0.6で停止)
  • 2023年10月に実施される再評価で流通株式時価総額が100億円未満の場合 – 段階的ウエイト低減銘柄継続となり、2025年1月最終営業日に東証株価指数構成銘柄から除外

移行完了後(2025年1月31日から)[編集]

東京証券取引所に上場している全銘柄からプライム・スタンダード・グロース関係なく、選定方法は別途コンサルテーションを実施して決定する。金融庁の金融審議会は流動性の乏しい小型株が大量に TOPIX に含まれていることを問題視している[8][9][10]。400社のJPX日経インデックス400と約2200社の TOPIX の値動きはほぼ同一であり[11]、この事は TOPIX に含まれている小型株は指数の値付けにほぼ影響を及ぼしていないことを意味している。

ETF・投資信託・先物[編集]

過去10年間の利回り
銘柄 レバレッジ 年利
ダイワ上場投信-トピックス 1倍 12.85%[12]
(10年経過したものが存在しない) 2倍 N/A
2021年末現在。円建て、配当込み。

TOPIX に連動するETFとしては下記のものが東京証券取引所に上場している[13]

  • ダイワ上場投信-トピックス(1305)[14]
  • NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(1306)[15]
  • 上場インデックスファンドTOPIX(1308)[16]
  • MAXIS トピックス上場投信(1348)[17]
  • One ETF トピックス(1473)[18]
  • iシェアーズ・コア TOPIX ETF(1475)[19]
  • NZAM 上場投信 TOPIX(2524)[20]
  • SMDAM トピックス上場投信(2557)[21]
  • iFreeETF TOPIX(年4回決算型)(2625)[22] – 配当が年1回ではなく年4回になっている

レバレッジ型・インバース型のETFとしては下記のものが東京証券取引所に上場している[23]

  • TOPIXベア2倍上場投信(-2倍)(1356)[24]
  • ダイワ上場投信-TOPIXレバレッジ(2倍)指数(1367)[25]
  • ダイワ上場投信-TOPIXダブルインバース(-2倍)指数(1368)[26]
  • ダイワ上場投信-TOPIXインバース(-1倍)指数(1457)[27]
  • TOPIXブル2倍上場投信(2倍)(1568)[28]
  • TOPIXベア上場投信(-1倍)(1569)[29]

日本の投資信託としては下記がある。下記以外にも多数ある。

  • 三菱UFJ国際投信
    • eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)[30]
    • eMAXIS TOPIXインデックス[31]
    • 三菱UFJ TOPIX・ファンド[32]
    • つみたて日本株式(TOPIX)[33]
    • 三菱UFJ トピックスインデックスオープン[34]
    • トピックスオープン[35]
    • 三菱UFJ トピックスオープン[36]
  • 野村アセットマネジメント
    • Funds-i 野村インデックスファンド・TOPIX[37]
    • トピックス・インデックス・オープン[38]
  • 日興アセットマネジメント
    • インデックスファンドTSP[39]
    • インデックスファンドTOPIX(日本株式)[40]
  • 大和アセットマネジメント
    • ダイワつみたてインデックス日本株式[41]
    • トピックス・インデックスファンド[42]
    • D-I’s TOPIXインデックス[43]
    • ダイワ・ノーロード TOPIXファンド[44]
    • iFree TOPIXインデックス[45]
  • JA TOPIXオープン[46]
  • ステート・ストリート日本株式インデックス・オープン[47]
  • ブラックロック日本株式オープン[48]

先物は下記に上場している。

  • 大阪取引所
    • TOPIX先物 – 取引単位は指数の数値×10,000円。呼値の単位は0.5ポイント。[49]
    • ミニTOPIX先物 – 取引単位は指数の数値×1,000円。呼値の単位は0.25ポイント。[50]
  • シカゴ・マーカンタイル取引所
    • Yen Denominated TOPIX – 取引単位は指数の数値×5,000円。呼値の単位は0.5ポイント。[51]

店頭CFDとして取り扱っている証券会社もある。日本の取引所CFDのくりっく株365には上場していない[52]

日経平均株価との関係[編集]

日経平均株価をTOPIXで割った値を「NT倍率」と呼んでいる。2000年以降のNT倍率は、概ね 9.5 – 12.5前後で推移している。日経平均株価の変動は輸出関連・ハイテク株や、ファーストリテイリング・KDDI・ファナック・ソフトバンクグループ・京セラなどの値がさ株による影響が大きいのに対し、TOPIXは時価総額の大きい企業の株や内需関連株による影響が大きく、特に大手銀行株の構成比が、両者で大きく異なっている。

したがって、NT倍率が大きく上昇したり、逆に下降したりするときは、物色対象が偏っていることを表す。

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 当初数値は8兆6020億5695万1154円。

出典[編集]

外部リンク[編集]