泉岳寺駅 – Wikipedia
泉岳寺駅(せんがくじえき)は、東京都港区高輪二丁目にある、東京都交通局(都営地下鉄)・京浜急行電鉄(京急)の駅である。駅番号はA 07。
都営地下鉄の浅草線と、京急の本線が乗り入れる。東京都交通局と京急の共同使用駅で、東京都交通局が管轄している[4]。浅草線と山手線・京浜東北線は当駅・高輪ゲートウェイ駅 – 新橋駅間で並走する。
京成電鉄本線の京成上野駅、西武鉄道新宿線の西武新宿駅とともに、山手線より内側にある数少ない私鉄の駅となっている。
駅名の由来[編集]
赤穂浪士の墓所として知られる萬松山泉岳寺に近接していることに由来する。すなわち「泉岳寺前」の意味であり、「泉岳寺」という行政上の地名はない。
駅名に対するトラブル[編集]
駅開業から四半世紀後の1993年(平成5年)に、泉岳寺は東京都に対して駅名に寺の名前を使うことについて間違い電話が掛かってくること等により迷惑を被っているとして、不正競争防止法、法人の氏名権、商法21条を根拠に使用差し止めを求めて東京地裁に提訴した[8]。これに対して地裁は、「駅名に使われたからといってただちに信仰との結び付きを損なうものではない」として、寺側の訴えを退ける判決を1994年(平成6年)に下した[9]。原告側は控訴したが、東京高裁でも駅名の公共性が高いとして控訴を棄却[8]。その後最高裁まで争ったが、1997年(平成9年)に原告敗訴で確定した[10]。
島式ホーム2面4線を持つ地下駅である[11]。押上側には、主に西馬込・京急線方面からの当駅折り返し列車が使用する引き上げ線(1線)があり、全てのホームから出入りが可能である[12][4]。また、2・3番線の西馬込側には片渡り線もあるが、通常時に使用されることはない[12][4]。
自動券売機は都営地下鉄用と京急用が設置されているが、京急用はPASMOやSuicaといったICカードなどが利用できない。また、「みさきまぐろきっぷ」などの京急の企画乗車券も当駅では購入不可となっている。
のりば[編集]
(出典:都営地下鉄:駅構内図)
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三田・芝浦方面改札口(2018年5月)
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回送の京急2100形とホームドア。2100形は2ドアの為、真ん中のホームドアは開かない。
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押上方面のホームドア。
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品川駅方面のホームドア。浅草線のホームドアとは違い、青い帯がある。
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案内サイン類[編集]
駅名標はいずれも都営地下鉄の様式となっている(1番線のみラインが水色)。開業当初は西馬込・横浜方面の次の駅が「1 品川・2 高輪台」だったが、2006年頃の更新で分離され、西馬込方面は「高輪台」、京急本線方面は「京急線 品川」に変更された。また、横浜方面の1番線側は2007年初頭から当時の京急の駅名標をイメージし、中国語・韓国語表記が併記され、上下の赤のラインのうち下部が水色の斜め線となっているものに変更された。その後、2013年初頭には中国語・韓国語併記がなくなり、現行の都営地下鉄の様式に変更されている。
発車標は、1992年頃に更新された際には3色LED2段式のものが設置された。2013年にフルカラーLEDに更新された際は表示スペースが小さくなった。なお、京急線エアポート急行羽田空港行きは、当駅で、列車の種別表示が急行から変更される(自動放送、発車標は「急行」のまま)。
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京急風のデザインの1番線側駅名標(2008年)
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更新後、都営線デザインに改められた1番線側駅名標
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駅ナンバリング[編集]
当駅は京急で唯一、2010年10月21日から導入された駅ナンバリングの対象外となっており、京急線の案内では都営の駅番号 (A 07) のみを用いており、京急仕様の駅番号などの表記はされていない。また、当駅における1番線の駅名標についても品川方の駅番号 (KK01) は未表記となっている。
改札口[編集]
西馬込・品川寄りにある泉岳寺・高輪方面改札と、三田寄りにある三田・芝浦方面改札の2ヶ所[11] がある。ホームの両端が改札口への階段となっている[11]。なお、両改札口を連絡するコンコースはない[11]。
バリアフリー設備[編集]
- エスカレーター:ホーム→改札階(泉岳寺・高輪方面改札)[11]
- 車椅子昇降装置(三田・芝浦方面改札)[11]
- 泉岳寺・高輪方面改札階と地上を結ぶエレベーターが2008年秋に着工し、2011年3月31日供用開始となった[13]。ただし、改札からホームへは階段のみのため、車椅子利用者は昇降装置のある三田・芝浦方面改札を利用する必要がある。
トイレ[編集]
- 双方の改札外コンコース部に設置されている。三田・芝浦方面改札側には「だれでもトイレ」を併設している[11]。
その他の設備[編集]
将来の予定[編集]
- 高輪ゲートウェイ駅開業および周辺再開発のため、隣接する当駅の乗降客増加が見込まれており、ホーム幅員が5mと狭隘なため拡幅工事が行われる。拡幅用地捻出のため、国道15号東側の民有地を買収して再開発ビルを建設し、その地下を活用するとしている[14]。また、高輪ゲートウェイ駅との間で歩行者デッキで接続する予定がある[15]。東京都は2018年8月1日、事業者として東急不動産を代表とする4社(他は京浜急行電鉄、東急建設、京急建設)を選定したと発表した[16]。
利用状況[編集]
- 都営地下鉄 – 2020年度の1日平均乗降人員は136,738人(乗車人員:68,181人、降車人員:68,557人)である[利用客数 1]。
- 浅草線内では押上駅に次いで第2位。京急線との直通旅客を含む。
- 京浜急行電鉄 – 2020年度の1日平均乗降人員は120,072人である[備考 1][利用客数 2]。
- 京急の駅の中では品川駅に次いで3番目に多いが、都営地下鉄との直通旅客を含むため、順位には入れていない。
年度別1日平均乗降人員[編集]
近年の1日平均乗降人員は下表の通り。
年度 | 都営地下鉄 | 都営浅草線 京急線 直通人員 |
京浜急行電鉄 | ||
---|---|---|---|---|---|
1日平均 乗降人員 |
増加率 | 1日平均 乗降人員 |
増加率 | ||
2002年(平成14年) | 105,954 | 137,597 | |||
2003年(平成15年) | 158,663 | 111,812 | 144,289 | 4.9% | |
2004年(平成16年) | 160,183 | 1.0% | 113,497 | 147,623 | 2.3% |
2005年(平成17年) | 164,065 | 2.4% | 116,792 | 152,026 | 3.0% |
2006年(平成18年) | 169,920 | 3.6% | 120,529 | 156,757 | 3.1% |
2007年(平成19年) | 180,061 | 6.0% | 126,780 | 162,390 | 3.6% |
2008年(平成20年) | 181,879 | 1.0% | 137,654 | 162,912 | 0.3% |
2009年(平成21年) | 179,860 | −1.1% | 137,650 | 160,320 | −1.6% |
2010年(平成22年) | 177,533 | −1.3% | 136,431 | 158,974 | −0.8% |
2011年(平成23年) | 170,261 | −4.1% | 131,459 | 153,745 | −3.3% |
2012年(平成24年) | 175,421 | 3.0% | 136,949 | 158,504 | 3.1% |
2013年(平成25年) | 184,794 | 5.3% | 146,005 | 168,009 | 6.0% |
2014年(平成26年) | 190,944 | 3.3% | 151,478 | 173,577 | 3.3% |
2015年(平成27年) | 200,276 | 4.9% | 158,897 | 182,372 | 5.1% |
2016年(平成28年) | 209,257 | 4.5% | 165,696 | 189,752 | 4.0% |
2017年(平成29年) | 218,883 | 4.6% | 173,113 | 197,333 | 4.0% |
2018年(平成30年) | 224,434 | 2.5% | 178,690 | 202,800 | 2.8% |
2019年(令和元年) | 223,574 | −0.4% | 178,673 | 201,772 | −0.5% |
2020年(令和 | 2年)136,738 | −38.8% | 120,072 | −40.5% |
年度別1日平均乗車人員(1968年 – 2000年)[編集]
近年の1日平均乗車人員は下表の通り。
- 都営地下鉄の数値は京浜急行電鉄からの乗り入れ旅客を含む。
年度 | 都営地下鉄 | 京浜急行電鉄 | 出典 |
---|---|---|---|
1968年(昭和43年) | [備考 2]18,578 | [備考 2]4,119 | [東京都統計 1] |
1969年(昭和44年) | 37,719 | 5,051 | [東京都統計 2] |
1970年(昭和45年) | 43,462 | 5,205 | [東京都統計 3] |
1971年(昭和46年) | 47,385 | 5,421 | [東京都統計 4] |
1972年(昭和47年) | 48,756 | 5,479 | [東京都統計 5] |
1973年(昭和48年) | 48,688 | 5,573 | [東京都統計 6] |
1974年(昭和49年) | 50,630 | 5,989 | [東京都統計 7] |
1975年(昭和50年) | 51,380 | 6,082 | [東京都統計 8] |
1976年(昭和51年) | 50,414 | 5,819 | [東京都統計 9] |
1977年(昭和52年) | 52,299 | 6,337 | [東京都統計 10] |
1978年(昭和53年) | 52,773 | 6,178 | [東京都統計 11] |
1979年(昭和54年) | 55,574 | 6,525 | [東京都統計 12] |
1980年(昭和55年) | 60,984 | 7,255 | [東京都統計 13] |
1981年(昭和56年) | 63,208 | 7,816 | [東京都統計 14] |
1982年(昭和57年) | 64,863 | 8,282 | [東京都統計 15] |
1983年(昭和58年) | 64,937 | 8,675 | [東京都統計 16] |
1984年(昭和59年) | 67,332 | 8,751 | [東京都統計 17] |
1985年(昭和60年) | 67,107 | 9,101 | [東京都統計 18] |
1986年(昭和61年) | 71,142 | 9,726 | [東京都統計 19] |
1987年(昭和62年) | 73,664 | 10,096 | [東京都統計 20] |
1988年(昭和63年) | 75,123 | 11,340 | [東京都統計 21] |
1989年(平成元年) | 76,321 | 12,112 | [東京都統計 22] |
1990年(平成 | 2年)77,238 | 12,523 | [東京都統計 23] |
1991年(平成 | 3年)79,260 | 13,079 | [東京都統計 24] |
1992年(平成 | 4年)79,323 | 13,071 | [東京都統計 25] |
1993年(平成 | 5年)78,312 | 13,167 | [東京都統計 26] |
1994年(平成 | 6年)77,123 | 13,468 | [東京都統計 27] |
1995年(平成 | 7年)73,421 | 15,645 | [東京都統計 28] |
1996年(平成 | 8年)71,110 | 14,899 | [東京都統計 29] |
1997年(平成 | 9年)69,216 | 14,403 | [東京都統計 30] |
1998年(平成10年) | 69,071 | 14,742 | [東京都統計 31] |
1999年(平成11年) | 71,344 | [備考 3]60,232 | [東京都統計 32] |
2000年(平成12年) | 72,427 | [備考 3]62,249 | [東京都統計 33] |
年度別1日平均乗車人員(2001年以降)[編集]
- 数値は相互の乗り入れ旅客を含む。
年度 | 都営地下鉄 | 京浜急行電鉄 | 出典 |
---|---|---|---|
2001年(平成13年) | 76,584 | 66,485 | [東京都統計 34] |
2002年(平成14年) | 79,614 | 68,288 | [東京都統計 35] |
2003年(平成15年) | 80,402 | 70,437 | [東京都統計 36] |
2004年(平成16年) | 81,345 | 71,773 | [東京都統計 37] |
2005年(平成17年) | 83,405 | 73,742 | [東京都統計 38] |
2006年(平成18年) | 86,343 | 75,745 | [東京都統計 39] |
2007年(平成19年) | 90,177 | 79,585 | [東京都統計 40] |
2008年(平成20年) | 91,049 | 81,101 | [東京都統計 41] |
2009年(平成21年) | 89,899 | 68,632 | [東京都統計 42] |
2010年(平成22年) | 88,691 | 78,978 | [東京都統計 43] |
2011年(平成23年) | 84,786 | 76,186 | [東京都統計 44] |
2012年(平成24年) | 87,293 | 78,858 | [東京都統計 45] |
2013年(平成25年) | 91,865 | 83,718 | [東京都統計 46] |
2014年(平成26年) | 94,896 | 86,501 | [東京都統計 47] |
2015年(平成27年) | 99,582 | 90,634 | [東京都統計 48] |
2016年(平成28年) | 104,111 | 94,600 | [東京都統計 49] |
2017年(平成29年) | 108,960 | 98,430 | [東京都統計 50] |
2018年(平成30年) | 111,766 | 101,088 | [東京都統計 51] |
2019年(令和元年) | 111,359 | 100,645 | [東京都統計 52] |
2020年(令和 | 2年)68,181 |
- 備考
- ^ 都営地下鉄浅草線の乗り入れ旅客を含む。
- ^ a b 1968年6月21日開業。開業日から翌年3月31日までの計285日間を集計したデータ。
- ^ a b 1999年度以降の数値は都営地下鉄浅草線の乗り入れ旅客を含む。
官公庁・公共施設[編集]
公館・公邸[編集]
教育機関[編集]
郵便局・金融機関[編集]
史跡・自然[編集]
法人[編集]
ランドマーク[編集]
交通[編集]
バス路線[編集]
当駅からの最寄りバス停留所は、第一京浜と東京都道415号線上にある「泉岳寺前」で、以下の都営バスが発着している[17]。
- 東京都交通局(都営地下鉄)・京浜急行電鉄
- 都営浅草線・ 本線
- □「モーニング・ウィング号」終着駅
- ■エアポート快特(羽田空港方面は品川まで、押上方面は新橋まで各駅に停車)
- 品川駅(京急本線) (KK01) – 泉岳寺駅 (A 07) – 三田駅(都営浅草線) (A 08)
- ■エアポート快特以外の列車種別[注釈 1](地下鉄線内は各駅に停車)
- 品川駅(京急本線) (KK01) / 高輪台駅 (都営浅草線)(A 06) – 泉岳寺駅 (A 07) – 三田駅(都営浅草線)(A 08)
記事本文[編集]
注釈[編集]
- ^ 京急線直通のエアポート急行(浅草線内は「急行」)、特急、快特および京成線、北総線、成田スカイアクセス線、芝山鉄道線直通の快速、通勤特急、特急、快速特急、アクセス特急
出典[編集]
- ^ a b 東京地下鉄 公式サイトから抽出(2019年5月26日閲覧)
- ^ a b c d 「都営交通のあゆみ (PDF) 」 『都営交通のあらまし2020』、東京都交通局、2020年9月、 35頁、2020年11月9日閲覧。
- ^ a b “●JR線と連絡会社線との乗り換え駅 (PDF)” (日本語). 東日本旅客鉄道. 2020年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月26日閲覧。
- ^ a b c d 遠藤 浩三(東京都交通局高速電車建設本部 設計課長)、佐々木 道雄(東京都交通局高速電車建設本部 設計課主任)「地下鉄泉岳寺駅の設計および工事施工計画 -都営地下鉄1号線と京浜急行線との相互乗入駅-」、『土木技術』第22巻第6号、土木技術社、1967年6月、 37-50頁。
- ^ “PASMOは3月18日(日)サービスを開始します ー鉄道23事業者、バス31事業者が導入し、順次拡大してまいりますー” (日本語) (PDF) (プレスリリース), PASMO協議会/パスモ, (2006年12月21日), オリジナルの2020年5月1日時点におけるアーカイブ。 2020年5月5日閲覧。
- ^ a b “浅草線へのホームドアの設置工事について”. 東京都交通局. 2020年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月14日閲覧。
- ^ “モバイルSuica よくあるご質問 > 高輪ゲートウェイ駅発着・経由への定期券区間変更”. 東日本旅客鉄道 (2020年3月2日). 2020年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月29日閲覧。
- ^ a b 地下鉄・泉岳寺駅の名称はOK、「泉岳寺」の訴え通らず–東京高裁. 毎日新聞(東京朝刊/社会)(東京都: 毎日新聞社)p.31(1996年7月25日)
- ^ 「泉岳寺」駅名OK、寺側の請求を棄却–東京地裁. 毎日新聞(東京朝刊/社会)(東京都:毎日新聞社)p.26(1994年10月29日)
- ^ 「泉岳寺」駅名は適法 地下鉄浅草線寺の敗訴確定. 中日新聞(中日新聞社)p.14(夕刊)(1997年2月13日)
- ^ a b c d e f g 各駅情報>泉岳寺 東京都交通局 2017年5月24日閲覧。
- ^ a b 篠澤政一(東京都交通局電車部運転課)「輸送と運転」『鉄道ピクトリアル』第51巻第7号(通巻704号)、電気車研究会、2001年7月10日、 29頁、 ISSN 0040-4047。
- ^ “浅草線 泉岳寺駅 エレベーター供用開始のお知らせ” (日本語) (プレスリリース), 東京都交通局, (2011年3月31日), オリジナルの2016年3月5日時点におけるアーカイブ。 2020年7月1日閲覧。
- ^ “泉岳寺駅のホーム拡幅 都が24年度完成目指す”. 東京新聞. (2015年12月7日). オリジナルの2015年12月10日時点におけるアーカイブ。 2020年7月1日閲覧。
- ^ a b “東京都市計画事業泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業 特定建築者の業務に関する基本協定書を締結” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 東急不動産/京浜急行電鉄, (2021年6月3日), オリジナルの2021年6月5日時点におけるアーカイブ。 2021年6月5日閲覧。
- ^ “泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業の事業協力者が決定しました” (日本語) (プレスリリース), 東京都都市整備局, (2018年8月1日), オリジナルの2020年4月5日時点におけるアーカイブ。 2020年7月1日閲覧。
- ^ a b c d e バスのりば>泉岳寺駅. 東京都交通局. 2020年3月13日閲覧。
利用状況[編集]
- 私鉄・地下鉄の1日平均利用客数
- 私鉄・地下鉄の統計データ
- 東京都統計年鑑
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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