西歌駅 – Wikipedia

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1976年の西歌駅と周囲500m×750m範囲。左下が砂川方面。中央より少し左寄りの水色屋根の建屋が駅舎。右上に住友歌志内炭砿の積込ホッパーの残骸が残る。三井文珠炭砿の選炭機と積込ホッパーはその左手の石炭で黒くなったヤードにあった。また南側の文珠炭砿専用線は、左下のカーブの丁度中央から分岐して、その右手に見えるグラウンドにあった積込設備へ敷かれていた。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

西歌駅(にしうたえき)は、北海道(空知管内)歌志内市字文珠にかつて設置されていた、北海道旅客鉄道(JR北海道)歌志内線の駅である。電報略号はニタ。歌志内線の廃止に伴い、1988年(昭和63年)4月25日に廃駅となった[1]

1908年(明治41年)12月、住友石炭鉱業赤平砿業所歌志内砿(以下住友歌志内炭砿と略)の前身である中村炭砿が貯炭場までの分岐線を設けた[2]。その後この炭砿はいくつかの企業の経営権移動を経て1928年(昭和3年)12月から住友の経営となった。分岐線は当駅ができるまでは神威駅管理であったが[3]、分岐点が神威駅から約1.5kmと遠く離れていた事[4]、1960年(昭和35年)にディーゼルカーが導入された事等により、住民と石炭積み出しの利便を図るため、市が土地と建設資金の一部を負担する条件で当駅が開設された[5]。これにより住友歌志内炭砿の分岐線は当駅管轄となって[6]、1971年(昭和46年)9月の同砿閉山[7]まで石炭貨物の取扱を行なった。

開駅前史 文珠炭砿[編集]

なお、当駅が開設される以前、上記住友歌志内炭砿専用線の当駅方に三井鉱山砂川鉱業所文珠砿(以下三井文珠炭砿と略)の選炭工場と積込ホッパーが置かれており[注 1][注 2]、同専用線を共同使用していたが[8]、さらに大正期から昭和初期(時期不詳、昭和5年[9]から昭和12年[10]の間に廃止)に掛けて本線を挟んで南側(ペンケウタシナイ川側)にも積込ホッパーと専用線[11]を有していた。後に文珠炭砿と称されるようになった炭鉱は1895年(明治28年)に後の上砂川駅裏の三井砂川鉱第二選炭機裏手に開坑した[12][13]。当時はまだ上砂川支線が無かったため砂川駅まで道路を開削して馬搬していた[12]が、その後1903年(明治36年)に坑口を歌志内線側に設けた[12]。1904年(明治37年)に3人の共同経営者により文珠炭鉱と名付けられる[12]。その後1908年(明治41年)に北海炭礦㈱の手に渡った[12]。この北海炭礦は後の文珠駅に近い大曲の貯炭場へ馬車軌道を敷設し、さらにそこから神威駅まで人力で運搬していた[12]。後に馬車鉄道を神威駅へ延伸させたと思われるが真相は不明[12]。その後1917年(大正6年)から田中礦山㈱の経営となり[12]、1922年(大正11年)3月3日より三井鉱山の経営となった[12]が、その間に上記2本の専用線を利用するようになった[14] 。三井文珠炭砿は1954年(昭和29年)に閉山した[12]

年表[編集]

駅名の由来[編集]

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歌志内の西方にあることから[16]

廃止時点で、単式ホーム1面1線を有する無人駅であった。

駅跡には2021年(令和3年)7月に歌志内市地域おこし協力隊員の提案により、当時のデザインを再現した駅名標が設置されている[17]

周辺施設[編集]

北海道旅客鉄道
歌志内線

文珠駅 – 西歌駅 – 神威駅

脚注・出典[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 歌志内町鳥瞰図 1953年 北海道立図書館 北方資料デジタル・ライブラリー、住友歌志内炭砿選炭機の左手に単に選炭機と書かれているのが三井文珠炭鉱の選炭機。ちなみに昭和12年版沿線炭礦要覧によれば地下坑道を通って巻揚機から選炭機へ送られた。
  2. ^ 「昭和20年代 三井文珠坑の選炭工場」 歌志内市公式HPより1枚目の写真。住友歌志内炭砿との共有使用線側に置かれた積込み設備。
  3. ^ 当初の貨物営業範囲は、専用線車扱い貨物のみ取扱い。(停車場変遷大事典による。)

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』JTB、1998年、843頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
  2. ^ 新歌志内市史 平成6年発行、P1426。
  3. ^ 昭和32年版全国専用線一覧
  4. ^ 昭和3年版線路一覧略図、昭和5年版全国専用線一覧等。
  5. ^ 新歌志内市史 P1083-1084。
  6. ^ 昭和39年版全国専用線一覧。
  7. ^ 新歌志内市史 P1413。
  8. ^ 大正12年、昭和5年、昭和26年全国専用線一覧。
  9. ^ 昭和5年版全国専用線一覧で記載。
  10. ^ 昭和12年版 沿線炭礦要覧 札幌鉄道局発行で稼業坑が第三坑だけで積込み線が「歌志内炭礦線」のみとなっている。
  11. ^ 昭和3年版線路一覧略図 起点約9.4km付近から分岐。
  12. ^ a b c d e f g h i j 新歌志内市史 P1433-1438。
  13. ^ 新上砂川町史 1988年3月発行、P69。
  14. ^ 大正12年版全国専用線一覧に単独の文珠炭砿専用線と歌志内炭砿との共同使用線の2本が記されている。
  15. ^ 新歌志内市史 P1084。
  16. ^ 『北海道 駅名の起源』日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、第1版、63頁。ASIN B000J9RBUY
  17. ^ “懐かしの駅名標 忠実に再現 旧JR歌志内線 歌神・神威・西歌駅跡地 表記、字体こだわる/鉄道ファンらの呼び水に”. 北海道新聞. (2021年8月3日) 

関連記事[編集]


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