松前駅 (北海道) – Wikipedia

松前駅(まつまええき)は、かつて北海道(渡島支庁)松前郡松前町字博多にあった北海道旅客鉄道(JR北海道)松前線の駅(廃駅)である。電報略号はマエ。松前線の廃線に伴い1988年(昭和63年)2月1日に廃駅となった。

1980年(昭和55年)まで運行されていた急行「松前」の発着駅だった。

駅名の由来[編集]

当駅の所在する地名より。地名は、アイヌ語の「マツ・オ・マイ」(婦人のいる所)に由来するとされる[5]が、江戸時代にこの地を支配した松前氏に由来するともいう[5]。松前氏の「松前」については松平家康(後の徳川家康)の「松」と前田利家の「前」から採られたという説、あるいは城下の海に面した所に大きな松の木があり、船がこの木を目当てに出入したことから名付けられたとの説もある[5]

廃止時点で、単式ホーム1面1線を有する地上駅で、松前線の終端駅であった[4]。ホームは線路の南側(松前方面に向かって左手側)に存在した。旅客列車の発着に使用する駅舎側の1番線の北側にホームを有さない上下副本線の2番線、及び3番線を有した。3番線から分岐した側線はかつて転車台も有した炭水線であった[6](転車台は1983年(昭和58年)時点で既に撤去されている[4])。1番線の延長上は引き上げ線となっており、また駅舎側に戻る形で分岐し駅舎西側の切欠き部分の貨物ホームへの貨物側線を1本有していた[7]

職員配置駅で、駅舎は線路の南側に位置しホーム中央部分に接していた[7][6]。駅舎は1976年(昭和51年)に[8]開業時からの駅舎の出入口部分を増改築した建物であった。ホームはアスファルト舗装されていた。

「わたしの旅スタンプ」が設置されていた[4]

線路は松前町大島地区までの延長計画があり、未成線の橋脚などが残っている[9]

利用状況[編集]

  • 1981年度(昭和56年度)の1日乗降客数は425人[4]

1999年(平成11年)時点では駅跡に、路線廃止前から存在していた「北海道最南端の町 松前駅」の石碑と当時の駅前商店が残存していた[10]。2010年(平成22年)時点では石碑は残り[11]、ホームの一部も残存していた[11]。2011年(平成23年)時点では旧駅構内は駐車場と広場になっており、旧観光案内所と観光案内板も残存していた[9]

駅の及部方にあった松前トンネルの坑口は、1999年(平成11年)時点では及部方は消えているが、松前方はトンネル周囲の石垣に似た石組みで塞がれていた[12]。2010年(平成22年)時点でも同様の状況であり[11]、松前方は2012年(平成24年)時点でも同様であった[13]

エピソードなど[編集]

  • テレビドラマ走れ!ケー100第27回「機関車は櫓で行くギッチラコ ‐松前の巻-」(1973年放映)で当駅が登場する。紋太(大野しげひさ)が、東京に帰る節子(大川栄子)を見送るためにケー100に乗り当駅に急行するが、すでに列車(キハ20系)は動き始めていた、という場面。
北海道旅客鉄道(JR北海道)
松前線

及部駅 – 松前駅
松前線(未成区間)

松前駅 – 館浜駅(計画・仮称)[14]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』JTB、1998年、830頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
  2. ^ a b c 書籍『JR・私鉄全線各駅停車1 北海道630駅』(小学館、1993年6月発行)183ページより。
  3. ^ a b c 書籍『日本鉄道旅行地図帳 全線全駅全廃線 1 北海道』(監修:今尾恵介、新潮社、2008年5月発行)27ページより。
  4. ^ a b c d e f g 書籍『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』(小学館、1983年7月発行)63ページより。
  5. ^ a b c 書籍『北海道の駅878ものがたり 駅名のルーツ探究』(監修:太田幸夫、富士コンテム、2004年2月発行)180ページより。
  6. ^ a b 書籍『廃線終着駅を訊ねる 国鉄・JR編』(著:三宅俊彦、JTBパブリッシング、2010年4月発行)9ページより。
  7. ^ a b 『国鉄全線各駅停車1』193ページより。
  8. ^ 書籍『終着駅 国鉄全132』(雄鶏社、1980年10月発行)66ページより。
  9. ^ a b 書籍『北海道の鉄道廃線跡』(著:本久公洋、北海道新聞社、2011年9月発行)166-167ページより。
  10. ^ 書籍『鉄道廃線跡を歩くVI』(JTBパブリッシング、1999年3月発行)53ページより。
  11. ^ a b c 書籍『新 鉄道廃線跡を歩く1 北海道・北東北編』(JTBパブリッシング、2010年4月発行)170ページより。
  12. ^ 『鉄道廃線跡を歩くVI』53-54ページより。
  13. ^ 書籍『北海道の大地から消えた鉄道風景』(撮影:上田哲郎、エムジー・コーポレーションMG BOOKS、2012年3月発行)123ページより。
  14. ^ 『北海道の鉄道廃線跡』162ページより。

関連項目[編集]