マリウポリ – Wikipedia
座標:
北緯47度7分 東経37度33分 / 北緯47.117度 東経37.550度
マリウポリ(マリウーポリ;ウクライナ語: Маріуполь [mɐr⁽ʲ⁾iˈupolʲ] ( 音声ファイル) マリウーポリ、ロシア語: Мариуполь マリウーパリ)は、ウクライナ東部のドネツク州にある都市である。
交通輸送の中心地で、アゾフ海に面した港湾都市。カルミウス川の河口がある。
ウクライナの穀物積出港として栄えたほか、後背地にクリビイリフ鉄山とドネツ炭田が近郊にあることから、工業都市としても発展した。2つの大きな鉄鋼製造企業(イリーチ製鉄鉄工所とアゾフスタル)がある。また、冶金学の大学もある。
ソビエト連邦時代の1948年から1989年までは、アンドレイ・ジダーノフに因んでジダーノフ (Zhdanov) と呼ばれていた。住民はウクライナ人、ロシア人の他にはギリシャ系のポントス人が多く、2万人を超える。
ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候(Cfa)と亜寒帯湿潤気候(Dfa)の境界付近になる。
マリウポリ (1991–2020, 極値1955年– )の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 10.0 (50) |
15.0 (59) |
19.6 (67.3) |
30.0 (86) |
33.9 (93) |
37.0 (98.6) |
37.8 (100) |
38.0 (100.4) |
34.4 (93.9) |
27.1 (80.8) |
18.0 (64.4) |
14.1 (57.4) |
38.0 (100.4) |
平均最高気温 °C (°F) | 0.0 (32) |
0.7 (33.3) |
6.1 (43) |
13.6 (56.5) |
20.5 (68.9) |
25.5 (77.9) |
28.3 (82.9) |
27.9 (82.2) |
21.6 (70.9) |
14.1 (57.4) |
6.3 (43.3) |
1.5 (34.7) |
13.8 (56.8) |
日平均気温 °C (°F) | −2.4 (27.7) |
−2.0 (28.4) |
2.8 (37) |
9.8 (49.6) |
16.5 (61.7) |
21.2 (70.2) |
23.8 (74.8) |
23.3 (73.9) |
17.3 (63.1) |
10.6 (51.1) |
3.7 (38.7) |
−0.9 (30.4) |
10.3 (50.5) |
平均最低気温 °C (°F) | −4.6 (23.7) |
−4.5 (23.9) |
0.1 (32.2) |
6.3 (43.3) |
12.4 (54.3) |
16.7 (62.1) |
18.9 (66) |
18.3 (64.9) |
13.1 (55.6) |
7.2 (45) |
1.2 (34.2) |
−3 (27) |
6.8 (44.2) |
最低気温記録 °C (°F) | −27.2 (−17) |
−25 (−13) |
−20 (−4) |
−7.3 (18.9) |
0.0 (32) |
5.6 (42.1) |
8.9 (48) |
5.0 (41) |
−1.1 (30) |
−8 (18) |
−17 (1) |
−24.5 (−12.1) |
−27.2 (−17) |
降水量 mm (inch) | 47.9 (1.886) |
42.4 (1.669) |
39.3 (1.547) |
38.7 (1.524) |
38.4 (1.512) |
56.4 (2.22) |
46.3 (1.823) |
37.0 (1.457) |
44.3 (1.744) |
33.7 (1.327) |
49.3 (1.941) |
52.2 (2.055) |
525.9 (20.705) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 8.3 | 7.1 | 7.7 | 6.4 | 5.9 | 7.1 | 4.8 | 3.6 | 5.3 | 5.2 | 7.3 | 8.3 | 77.0 |
% 湿度 | 87.8 | 85.6 | 83.0 | 76.4 | 71.6 | 70.9 | 66.7 | 64.9 | 70.0 | 78.2 | 87.1 | 88.3 | 77.5 |
出典1:Pogoda.ru.net (temperatures and record high and low)[1] | |||||||||||||
出典2:World Meteorological Organization (precipitation and humidity 1981–2010)[2] |
町中ではおもに、また伝統的にロシア語が話されているが、民族的にはウクライナ人とロシア人でほぼ均衡してきて、市内にはまたギリシャ系少数民族のマリウポリ・ギリシャ人(Mariupol Greek)もいる。
2002年には、ウクライナ人が最大の割合(48.7%)を占めていたが、人口の半分未満で、次に大きな民族はロシア人(44.4%)であった。また、2017年6月から7月の調査によると、ウクライナ人はマリウポリの人口の59%に増えて、ロシア人の割合は33%に低下した。[3]
この都市には、ウクライナで最大のポントス・ギリシャ人も21,900人いて、近隣の6つの農村地域にも31,400人がいて、この地域にはウクライナのポントス・ギリシャ人の約70%が集中している。
名前の由来[編集]
この地域の16世紀の初期には、カルミウスと呼ばれるコサックの砦があった。砦はまた、街の隣を流れる川(カルミウス川)にその名前を付けた。1948年から1989年の間、この都市はズダノフと呼ばれていた。
ロシア・トルコ戦争(1768年~1774年)後、アゾフ県知事ヴァシリーA.チェルトコフは、1778年に新しい町を計画した[4]。1779年9月29日、カルミウス郡にマリアノポル市(ギリシア語: Μαριανόπολη)が設立された。ロシア当局にとっては、この都市はロシア皇后マリア・フョードロヴナにちなんで名付けられた。事実上、クリミア半島の都市バフチサライ郊外のギリシャ人入植地マリヤンポレ(この名前は聖母マリアとそのイコンに由来している)にちなんで名付けられた[5][6]。その後、1780年に、ロシア当局はクリミア半島から多数のギリシャ人正教徒を強制移住させた[7]。
クリミア危機・ウクライナ東部紛争後のマリウポリ[編集]
2014年ウクライナ騒乱から続く混乱の中で、ドネツィク州の州都ドネツィクが分離・独立派に占拠された為、マリウポリは同州の臨時的な州都となったが[8]、その後、クラマトルスクへ移転している[9]。政府軍・親衛隊と分離独立派による激しい戦闘の舞台となっており、多くの市民が犠牲になった。マリウポリの戦いではアゾフ大隊の活躍があった[10][11]。それ以来、ウクライナ国家親衛隊の極右アゾフ大隊が拠点を置いている[要出典]。
2015年1月24日の朝、30秒の間に126発のロケット弾が旧ソ連時代からの団地に撃ち込まれた。子ども2人を含む民間人30人が死亡し、117人が負傷した[12]。
ロシアによるクリミアの併合で、アゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡の両岸がロシア連邦の実効支配下に置かれた。アゾフ海を出入りする貨物船は、クリミア大橋建設に伴うサイズ規制や検査を受けるようになったうえ、2018年11月にはウクライナ艦艇がロシア国境警備隊に拿捕される事件が起き、保険引き受けが拒否されるようになった。マリウポリ港を利用していた工業地帯が親ロシア派に制圧されていた影響もあり、マリウポリの経済は大きな打撃を受けている[13]。
ロシアのウクライナ侵攻[編集]
2022年の情勢[編集]
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻では、ロシアにとって戦闘上要衝であると思われ[14]、ウクライナ国家親衛隊のアゾフ大隊との戦闘が激化し、同年3月3日までに市内がロシア連邦軍に包囲される事態となった。鉄道が破壊され市外への移動ができなくなったほか、電気や水道の供給も止まった[15]。ショッピングモールで掠奪があったという情報もあり、混乱している模様[16]。
3月9日には、ロシア軍が産婦人科、小児科を有する病院を爆撃、ウクライナ政府は6歳の少女を含む3人が死亡、17人が負傷したと発表した。この病院の爆撃について、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は「患者はいなかった。病院は長年、ウクライナ軍の極右のネオナチ部隊に占拠されていた」と反論した[17]。
3月16日には市内の劇場が破壊。当時劇場には避難所として1000人以上の市民がおり、多くの犠牲者が出たと報道され[18]、それに対しロシア側は攻撃を否定した[19]。
3月21日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチはウクライナ南東部マリウポリで民間人死者数が累計で3000人を超えたとする同市幹部の推計を明らかにした[20]。
ドネツク人民共和国のデニス・プシーリン首長は2022年4月6日に親露派のコンスタンチン・イワシュシェンコ(Konstantin Ivashchenko)を新市長に任命した[21]。
- ^ “ru:КЛИМАТ МАРИУПОЛЯ” (ロシア語). Weather and Climate (Погода и климат). 2021年10月29日閲覧。
- ^ “World Meteorological Organization Climate Normals for 1981–2010”. World Meteorological Organization. 2021年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月18日閲覧。
- ^ Public Opinion Survey of Residents of Ukraine, June 9 – July 7, 2017 (Archived)
- ^ Verenikin, V. Yet how old is our city? Vecherniy Mariupol Newspaper website.
- ^ Plotnikov, S. Mariupol icon of Theotokos “Hodegetria”. Saint-Trinity Temple of Mariupol website. 9 August 2012
- ^ Dzhuvaha, V. One of the first deportation of the Empire. How Crimean Greeks populated Wild Fields. Ukrayinska Pravda. 17 February 2011
- ^ Crimean Tatars (КРИМСЬКІ ТАТАРИ). Encyclopedia of History of Ukraine.
- ^ ドネツク州都を「遷都」=ウクライナ大統領 時事通信 2014年6月18日閲覧。
- ^ “Kikhtenko to move Donetsk administration to Kramatorsk and to leave power structures in Mariupol”. Zerkalo Nedeli. (2014年11月3日) 2015年6月23日閲覧。
- ^ “How a Far-Right Battalion Became a Part of Ukraine’s National Guard”. VICE. (2022年2月16日)
- ^ Women and the Azov battalion in Kyiv, Ukraine. DW. (2017年3月10日) 2022年3月10日閲覧。
- ^ “対ロ最前線、身構える街 ウクライナ南東部マリウポリ”. 日本経済新聞. (2022年1月29日)
- ^ 「クリミア対立 解けぬ緊張/ロシアのウクライナ艦船発砲事件 1カ月/地元経済に打撃」『朝日新聞』朝刊2018年12月29日(国際面)2019年4月26日閲覧。
- ^ “Mariupol: Why Mariupol is so important to Russia’s plan”. BBC. (2022年3月21日)
- ^ “ロシア軍がマリウポリ封鎖 市長が非難「レニングラードのよう」”. AFP (2022年3月4日). 2022年3月4日閲覧。
- ^
Illia Ponomarenko [@IAPonomarenko]. “2022年3月5日午前2時15分(日本時間)の投稿。” (ツイート). Twitterより2022年3月5日閲覧。
- ^ “ロシア外相、6歳の少女らが死亡した小児病院爆撃に対する世界の怒りを“哀れなヤジ”とやゆ…海外メディアは猛反発”. 中日新聞 (2022年3月11日). 2022年3月11日閲覧。
- ^ “ロシア軍、マリウポリの劇場空爆 住民1000人超の避難場所―停戦交渉は一定の進展か”. 時事通信 (2022年3月18日). 2022年3月18日閲覧。
- ^ “爆撃受けたマリウポリの劇場で救出作業続く、ロシアは攻撃否定”. ロイター (2022年3月17日). 2022年3月18日閲覧。
- ^ “マリウポリ、民間人死者3000人超か”. 日本経済新聞夕刊. (2022年3月22日)
- ^ “マリウポリで民間人5000人死亡 親ロ派任命の「新市長」”. AFPBB News. フランス通信社. (2022年4月8日) 2022年4月19日閲覧。
関連項目[編集]
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