舞鶴港 – Wikipedia
舞鶴港(まいづるこう)は、日本海に面する舞鶴湾にある港。所在地は京都府舞鶴市、港湾管理者は京都府。港湾法上の重要港湾(準特定重要港湾)、港則法上の特定港に指定されている。2004年より京都舞鶴港の通称が与えられている。 古来より北前船の寄港地とも知られ、日本海側でも有数の商業港として栄えていたが、明治時代に日本海側唯一の海軍鎮守府舞鶴鎮守府が開府し、軍港として飛躍的に発展した。日露戦争の際、そのほとんどの船がここから出港した。戦時中も東港が軍港として整備され、西港は対岸貿易拠点港として整備され、朝鮮や満州への定期航路を有するまでに発展した。 戦後はシベリア抑留等からの引き揚げの際も多数の船が舞鶴港に帰港している。 現在は大きく2つの港に分れており、東港が海上自衛隊舞鶴地方総監部が鎮座する軍港として、また市内最大規模の事業所でもある造船所・ガラス工場が面した工業港、さらに近年は近畿圏と北海道を結ぶ長距離フェリーを中心とする国内旅客港としても機能し、西港は海上保安庁第八管区海上保安本部の海上警備の拠点港として、また対中華人民共和国(中国)・大韓民国(韓国)・ロシアなど対岸諸国への定期コンテナ航路をもつ国際貿易港として機能分担のもと発展している。 なお第3種漁港である舞鶴漁港についても本項で述べる。 舞鶴港は本州の日本海沿岸が南に入り組んだ若狭湾西部の舞鶴湾にあり、外海に対して入り江になっている。平均水深20m、湾の出入り口は約700mと狭く、「みずなぎ」と呼ばれるほど湾内は極めて静穏である。またその地形から湾内の干満差もほとんどなく(最大でも30cm)、また四方を400m程度の山々に囲まれるなどし、冬場の日本海側港湾でも強風・荒天を避けることのできる天然の良港として知られている。 旧日本海軍が舞鶴を鎮守府設置の地としたのも港湾を囲む山々に永久要塞を建設することで艦艇の安全を図り、またロシアや朝鮮半島からの脅威に対して日本海側の防衛力強化を図ったものである。 現在の港湾自体は江戸時代の1700年代より活発に利用されてきた。現在も京阪神を背後圏におさめる物流拠点である。なお港湾自体は大きく分けて東港と西港に分けられる。詳細は後述する。 2005年(平成17年)には共同通信社と全国地方新聞社連合会が企画・編集した「地域を元気にした港50選」のひとつに選ばれている。 舞鶴東港[編集] ジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所 東港は、もともとは漁港として栄えていたが、1889年に帝国議会により軍港に指定されると政府によって大規模な開発が進められた。1901年に鎮守府が開設されると、日本海軍が港湾のみならず、本来単なる入り江に過ぎなかった東舞鶴地区の土地造成も行い、現在の形となった。 1904年の日露戦争時は東港より海軍艦隊が出撃し、日本海海戦でロシア帝国のバルチック艦隊と交戦している。その後、軍需施設が建設、集積化されると軍港色を強め、商業、貿易港の西港と住み分けるようになった。アジア・太平洋戦争での敗戦によって帝国海軍は解体されたが、現代では海上保安庁や海上自衛隊が基地を構えており、日本列島の日本海側の防衛や海上警備において重要な拠点となっている。近年では北朝鮮の工作船事件などで国防上の重要度が高まり、舞鶴飛行場が建設された他、工作船の活動に備えるためミサイル艇2隻、また日本海の戦略的重要性からイージス艦2隻も順次配備された。また直近では、隣接する大波燃料庫施設が拡充されるなどしている。舞鶴地方隊は島根県・山口県県境から秋田県・青森県県境までという広大な守備範囲を持ち、舞鶴港は本州日本海側の海の守りをほぼ一手に引き受ける海上自衛隊の主要基地として機能の増強が図られている。 東港では旧帝国海軍舞鶴工廠の伝統を受け継ぐ造船所があり、自衛隊桟橋の先に造船ドックを見ることができる。 なお、軍港として栄えた東港であったが、1987年(昭和62年)にフェリー専用埠頭である前島埠頭(舞鶴フェリーターミナル)が造成されると、近畿圏と北海道を直結させる新日本海フェリーが西港より移ってきた。現在の舞鶴港東港は海上警備・国防上の役割のみならず、国内海運の日本海側航路の拠点としても重要になっている。 造船所並びに海上自衛隊基地周辺は制限海域となっており、原則関係船舶以外は立ち入りできない。 舞鶴フェリーターミナル[編集] 舞鶴フェリーターミナル 関西地方のみならず、西日本と北海道を結ぶ大動脈として機能する新日本海フェリーの発着する旅客ターミナルで、東舞鶴駅より2.3km先にある前島埠頭に設置されている。通常、公共交通機関でのアクセスはないが、夏季や大型連休等繁雑期のみフェリー発着時間に合わせて東舞鶴駅より路線バスの運行が行われることがある。また新大阪駅からの連絡バスが繁雑期以外にも運行されていることが多いため比較的使いやすい。タクシーで東舞鶴駅まで約5分ほどかかる。車の場合舞鶴東インターチェンジより約15分程度。 なお以前は西港の舞鶴港湾合同庁舎付近がフェリー専用埠頭であり、東港の前島埠頭付近に海上保安庁が常駐していたが、船舶の大型化や旅客・貨物の増加に伴い、西港より東港に移っている。
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