この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 軌道法(きどうほう、大正10年4月14日法律第76号)は、一般公衆(公共)の運輸事業を目的とする軌道を監督する日本の法律である。1921年(大正10年)4月14日公布、1924年(大正13年)1月1日施行。 軌道条例の不備を補完し、軌道法制確立のために制定された。一般公衆用ではなく道路に敷設される軌道についての規定は、国土交通省令により定められる(第1条第2項)。元来は主として路面電車を対象としてきたが、モノレールや新交通システム等にも適用例がある[1][注釈 1]。なお、地下鉄は原則的に鉄道事業法に準拠するが、軌道法に準拠するものもある[1][注釈 2]。また、かつてはトロリーバスも軌道法適用路線がほとんどであったが、1972年(昭和47年)4月以降は公道上を走行する路線が存在しない[注釈 3]ため鉄道事業法準拠の路線のみが現存している。 軌道に関する法令[編集] 道路に敷設される軌道に適用される法令には、軌道法のほか、軌道建設規程、軌道運転規則、軌道運輸規程等がある[1]。 軌道建設規程では「道路上その他公衆の通行する場所に敷設される軌道」を「併用軌道」、その他の軌道を「新設軌道」に分類する[1]。また、本法第1条第2項により一般交通の用に供しない軌道を「専用軌道」という。 鉄道事業法上の鉄道事業者に相当するものを「軌道会社」または「軌道経営者」と呼称する。 道路法との関係[編集] 軌道は道路法の道路本体には当たらず、占用物であるが、その占用は通常の占用許可ではなく軌道法の特別の規定による[1]。 第1条、第2条で軌道法の適用される鉄道の範囲について規定している。それによれば、軌道とは原則として道路に敷設されるものとされ、そのうち一般公衆(公共)の運輸営業を目的とする場合に軌道法が適用されるとしている。なお、第1条第2項の一般交通の用に供しない軌道とは事業者が事業者自身の為に輸送をする軌道、すなわち、専用軌道のことであり、専用軌道規則が適用される(詳しくは「専用軌道」を参照)。 第3条では一般公衆の運輸を営むことを目的とする軌道事業は特許を受けなければならないとされている。鉄道事業法による「鉄道」事業については、「特許」ではなく「許可」である(後述)が、実際上はほぼ同一のものである。 第4条で、軌道事業に要する道路の占用は特許された時点で道路管理者の許可又は承認を受けたものとみなされるとされている。しかし実際には、軌道の特許に際し軌道を敷設しようとする道路の道路管理者の意見が確認されるので、道路管理者の意向を無視して特許されるわけではない。これは第6条の工事施行認可申請についても同じである。また、道路の占有料に関する政令は現在に至るまで制定されていないので、無料のままである。しかし、併用軌道では第12条で規定される範囲について道路の維持、修繕を負担することとなっており、これが実際上の占有料となる。 第5条から第27条は軌道事業の実施、廃止に当たっての手続事項、事業者履行事項および監督事項が規定されている。軌道の敷設、竣功についてはそれぞれ第5条、第7条で定められた期限内に完了させることが定められており、第23条で期限内に工事施行認可を申請、認可後は工事着手・竣功ができなかった場合は特許が失効するとされている。ただし、この期限についてはやむを得ざる事情のある時は延期が許可されることとなっている。なお、営業開始にあたっての手続については軌道法施行令に、そのとき提出が必要となる書類およびその記載内容については軌道法施行規則に詳細が決められている。また、譲渡等における提出書類についても施行規則に定められている。一方、軌道事業に当たっての技術的適合の基準は線路、車両、保安に関しては軌道建設規程、運転に関しては軌道運転規則にそれぞれ定められている。一方、運輸営業に当たっての規則(JR各社の旅客営業規則に相当する)に関しては軌道運輸規程に定めがある。一方、軌道事業中運輸事業に携わる人員に関する規定として軌道係員規程があるが、鉄道係員職制を準用するとし、他に定めてあるのは制服の着用義務だけである。 併用軌道における道路の維持、補修に関しての分担は第12条で規定され、軌条間とその両側61cmを分担するものとされている。 第9条に定めのある、道路管理者が道路の新設、改築に必要と認めれば、軌道経営者の専用軌道敷地を無償提供させることができるとされることについては、財産権の保護について定めた日本国憲法第29条第3項に違反している可能性もあるが、この条文は削除されていない。ただし、これは軌道を廃止して道路にするのではなく、専用軌道を併用軌道とするものであり、軌道を道路に敷設することを認めることの裏返しであり、財産権の保障は、大日本帝国憲法からあることからが、違憲とは断定はできない(もちろん、この条文を適用して事業を実施した場合は、訴訟の提起、違憲判決等のリスクがあり、また現状で専用軌道を併用軌道にするような事態は想定しにくいといえる。)。 軌道運輸規程の罰則条項については、国家行政組織法第12条第3項に反するため事実上失効している。詳細は鉄道営業法を参照のこと。 「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。」
Continue reading
Recent Comments