ポルックス石 – Wikipedia

ポルックス石もしくはポルサイト (Pollucite)は、ゼオライト鉱物であり、
一般的に鉄、カルシウム、カリウム、ルビジウムが置換元素として含まれる。
構造式は、(Cs,Na)2Al2Si4O12·2H2O。

セシウムおよび時としてルビジウムの貴重な鉱石として重要である。

方沸石との間に、一連の固溶体系列を形成する。等軸六八面体の結晶系として分類され、白色、灰色、
まれに桃色や青色の塊として結晶化するが、結晶性のよいものが形成されることはまれである。
モース硬度6.5、比重2.9。脆性破壊を起こし、へき開はない。

発見と存在[編集]

1846年、イタリア、エルバ島におけるポルックス石の存在について、ドイツの鉱物学者であるオーガスト・ブライトハウプト英語版が言及したのが、ポルックス石に関する初めての記述であった。
ポルックス石は、カストライトとして知られていたペタライトに関連して発見されることが多かったため、ギリシャ神話の双子の神である「カストル」と、
「ポルックス」にちなんで、ポルックス石と名付けられた[6]
1848年のカール・フリードリヒ・プラットナー英語版による初めての分析では高濃度に含まれるセシウムの存在が見落とされていたが[7]、1860年に行われた2度目の分析で、ポルックス石にセシウムが含まれることが分かり、1864年にはそれが高濃度であることが示された[8]

ポルックス石は花崗岩質岩石の中でも、リチウムを豊富に含むペグマタイト中に典型的に存在しており、
石英、ペタライト、アンブリゴナイト英語版、リシア輝石、
リシア雲母、リシア電気石、錫石、コルンブ石、燐灰石、
ユークリプタイト英語版、白雲母、曹長石および微斜長石のような鉱物と関連して産出される。

全世界におけるポルックス石の既知埋蔵量については、およそ82%がカナダ、マニトバ州のバーニック湖周辺に存在しており、
石油生産の補助に用いられる蟻酸セシウムの原料として、ポルックス石が採掘されている[9]
鉱石中にはおよそ20 wt%のセシウムが含まれている。

  1. ^ Mineralienatlas
  2. ^ Gaines, et al. (1997) Dana’s New Mineralogy, Wiley ISBN 978-0471193104
  3. ^ Pollucite on Mindat.org
  4. ^ Pollucite data on Webmineral
  5. ^ Handbook of Mineralogy
  6. ^ Breithaupt, August (1846). “Neue Mineralien”. Annalen der Physik und Chemie 69 (11): 439–442. Bibcode: 1846AnP…145..429B. doi:10.1002/andp.18461451111. http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k15154k.image.f443.langFR. 
  7. ^ Plattner, C. F. (1846). “Chemische Untersuchung zweier neuen, vom Herrn Prof. Breithaupt mineralogisch bestimmten Mineralien von der Insel Elba”. Annalen der Physik und Chemie 145 (11): 443–447. Bibcode: 1846AnP…145..443P. doi:10.1002/andp.18461451112. 
  8. ^ Pisani, F. (1864). “Étude chimique et analyse du pollux de l’ile d’Elbe”. Comptes rendus 58: 714–716. http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k3015d.image.f716.langFR. 
  9. ^ http://www.encyclopedia.com/doc/1G1-75752682.html Original reference to Mining Journal, March 2, 2001, p 160. Accessed March 28, 2009