アトミック・ブロンド – Wikipedia

アトミック・ブロンド』(Atomic Blonde)は、2017年にアメリカ合衆国で公開されたアクション映画である。監督はデヴィッド・リーチ、主演はシャーリーズ・セロンが務めた。本作はアンソニー・ジョンストン英語版とサム・ハートが2012年に発表したグラフィックノベル『The Coldest City』を原作としている。

ベルリンの壁崩壊が迫った1989年秋。MI6は潜伏中のスパイを殺害した謎の組織を崩壊させるべく、ロレーン・ブロートンをベルリンへ急行させた。組織の命令でデヴィッド・パーシヴァル(MI6ベルリン支部の責任者)とタッグを組むことになったブロートンは、彼と対立しながらも、驚くべきコンビネーションを発揮し始める。こうして、2人は東側陣営の脅威に立ち向かっていく。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹替[5]

腕利きのスパイ。
ベルリンに潜入中のMI6のスパイ。ロレーンの任務に協力する。
CIAのエージェント。
MI6の協力者。
シュタージから離反したスパイ。
DGSEのエージェント。ロレーンと恋に落ちる。
ロレーンの上司。
ロシアの上位工作員。
  • ユーリ・バクティン - ヨハネス・ヨハンソン(藤井隼)
KGBの暗殺者。
MI6の責任者。
ロレーンの助手。
殺されたMI6のエージェント。

2015年5月、アンソニー・ジョンストンとサム・ハートのグラフィックノベル『The Coldest City』の映画化が発表された[6]。シャーリーズ・セロンは2010年の時点で同作の完成稿を入手しており、その映画化は彼女にとって「入魂のプロジェクト」であったと伝えられている[7]。『ジョン・ウィック』の出来映えが印象に残っていたセロンはデヴィッド・リーチを監督に起用する決断を下した[8]。リーチは本作と『ジョン・ウィック:チャプター2』のどちらを優先すべきか悩んだが、最終的に本作を優先することにした[9]。セロンによると、主演作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の興行的成功が本作を製作する上で大いに役立ったのだという[10]。映画化に際して、原作にはなかったバイセクシャルの要素が盛り込まれたが、これはカート・ジョンスタッドのアイデアであった。「どうすればこの作品を他のスパイ映画と差異化できるか」という難問に頭を抱えていたセロンは、この提案を直ちに採用した[11]。リーチはバイセクシャルなシーンに関して「あれらは観客を挑発するためのシーンではありません。『スパイであれば情報を得るために何でもするだろう』ということを表現したのです。」と語っている[11]

2015年10月、ジェームズ・マカヴォイが本作に出演すると報じられた[12]。11月、ジョン・グッドマンに出演オファーが出ているとの報道があった[13]。当初、エメット・カーツフェルド役にはデヴィッド・ボウイを起用する予定だったが、死の直前にオファーを断られた[14]

ロレイン・ブロートンを演じるに当たって、セロンは8人のトレーナーと共にトレーニングを重ねた。それは非常に過酷なもので、トレーニング中に歯を食いしばっていたところ、セロンの歯が折れてしまうほどだったのだという[15]。なお、偶然にもセロンのトレーニング期間と『ジョン・ウィック:チャプター2』出演のためのキアヌ・リーブスのトレーニング期間が重なったため、2人は切磋琢磨しながらトレーニングすることができた。リーブスはセロンのスパーリング相手も引き受けたと報じられている[16]

撮影[編集]

2015年11月22日、本作の主要撮影がハンガリーのブダペストで始まった[17]。なお、撮影はベルリンでも行われた。

サウンドトラック[編集]

リーチはBGMにも細心の注意を払っていた。「冷戦期のスパイを主人公とした映画は汗牛充棟である。どうすればそこに新鮮さを出せるのか」という問いに悩み抜いた結果、本作のサウンドトラックには1980年代のヒット曲及びそのカバーが収録されることとなった。カバー曲も収録したのは、1980年代的な雰囲気を維持しつつ、そこに現代的な雰囲気を足すためであった[18]。使用権の獲得交渉が難航する可能性が懸念されていたが、当初予定の4分の3の楽曲の使用許可を取り付けることができた[19]

当初、本作は2017年8月11日に全米公開される予定だったが[20]、後に同年7月28日に公開日が前倒しされた[21]

2017年3月12日、本作はサウス・バイ・サウスウエスト映画祭でプレミア上映された[22]

興行収入[編集]

本作は『絵文字の国のジーン』と同じ週に公開され、公開初週末に2000万ドルを稼ぎ出すと予想されていたが[23]、実際の数字はこれを下回るものであった。2017年7月28日、本作は全米3304館で封切られ、公開初週末に1828万ドルを稼ぎだし、週末興行収入ランキング初登場3位となった[24]

本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには255件のレビューがあり、批評家支持率は76%、平均点は10点満点で6.5点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『アトミック・ブロンド』のストーリーは主役のインパクトの前に埋もれているという感がある。しかし、スタイリッシュなアクションシーンとシャーリーズ・セロンという極めて魅力的なスターのお陰で、その欠点は相殺されている。」となっている[25]。また、Metacriticには50件のレビューがあり、加重平均値は63/100となっている[26]。なお、本作のシネマスコアはBとなっている[27]

外部リンク[編集]