ライン川右岸線 – Wikipedia

ライン川右岸線(ラインがわうがんせん、ドイツ語: Rechte Rheinstrecke)はノルトライン=ヴェストファーレン州トロイスドルフ市とヘッセン州ヴィースバーデン市を結ぶ鉄道路線である。この線はライン川の右の江岸で続く複線鉄道で、全区間は電化されている。

コブレンツ都市圏の鉄道ネットワーク

ライン川右岸線は旅客運送ではケルン中央駅からジーク線と、貨物運送ではケルン・カルク北駅からトロイスドルフ – ミュルハイム・シュペルドルフ線と連結されている。グレンベルク南の分岐点からトロイスドルフ駅までは六つの線路が構成される。

ノイヴィードとニーダーラーンシュタインで列車が連結線を通じてライン川左岸線と接続し、コブレンツ中央駅に至るのが可能である。ラーンシュタインとリュデスハイムの間に二つのトンネルがあり、その中の一つがローレライトンネルと知られている。

1844年ドイツ市長はすでにドイツ – リュでスハイム – ヴィースバーデン間鉄道建設を提案した。ノイヴィート市では鉄道建設の熱望があったが、プロイセン政府は戦略的、経済的な理由で建設を保留した。一方ナッサウ公国の内部には鉄道の経済的な利得が優勢であった。ヴィースバーデン鉄道がナッサウ・ライン・ウント・ラーン鉄道と改称され、1857年リューデスハイム – ヴィースバーデン間を開通した。資金事情のため、建設免許は取り消され、会社はナッサウ邦有鉄道として国有化された。1862年本線はオーバーラーンシュタインまで建設された。

1866年プロイセン王国がナッサウ公国を併合した後、ライン川地域の状況は完全に変わった。ライン地方鉄道会社(Rheinische Eisenbahn-Gesellschaft、RhE)はすぐ右岸線の延伸に関する許可を取った。本来の計画は延長線はジークブルクで接続することだった。しかしエミル・ランゲンが本線はメンデンを経由しジーク川を渡ってジーク線と接続するという計画を実現した。1871年本線はトロイスドルフまで延伸され、全通になった。

1959年から1961年までローレライ及びロースシュタイントンネルの複線化のための拡張工事が実行された[1]。既存のトンネルと別の単線トンネルが建設された。

2002年末までケルン-ライン=マイン高速線の工事のためトロイスドルフ駅が改築された。そしてケルン-トロイスドルフ間の一部分は高速列車走行のため改良された。2007年12月に電子式信号扱い所「右のライン」(Rechter Rhein)の運営が開始された。2009年の年末年始の3週間と2010年夏季休暇の6週間、包括的な大工事がコブレンツ-ヴィースバーデン間で行われた。そのため旅客及び貨物運送が封鎖された。

  • 1853年6月23日; ヴィースバーデン鉄道にナッサウ公国が鉄道建設の免許を与える。
  • 1856年8月11日; ヴィースバーデン鉄道線ビーブリヒ=モスバッハ(現在のヴィースバーデン・ビーブリヒ駅) – リューデスハイム間開通。
  • 1857年2月11日; ヴィースバーデン・ライン駅 – ビーブリヒ=モスバッハ間開通。
  • 1858年10月14日; ナッサウ公国政府はナッサウ・ライン・ウント・ラーン鉄道の建設免許を無効化する。
  • 1861年5月2日[2]或は6月13日[3]; 公国政府は既存のヴィースバーデン – リュデスハイム間を引き受ける。
  • 1862年2月22日; ナッサウ邦有鉄道線リューデスハイム – オーバーラーンシュタイン間開通。
  • 1864年6月3日; オーバーラーンシュタイン – ニーダーラーンシュタイン間開通。
  • 1866年; 本線を含めて、他のナッサウ邦有鉄道線がをプロイセン邦有鉄道が引き取る。
  • 1869年10月27日; ニーダーラーンシュタイン – ノイヴィード間開通。
  • 1870年7月11日; ノイヴィード – オーバーカッセル間開通。
  • 1871年3月1日; オーバーカッセル – トロイスドルフ間開通。
  • 1906年11月15日; ヴィースバーデン新駅舎の開業によって終点は既存のライン駅から新駅に変更される。
  • 1915年8月16日; ヒンデンブルク鉄橋完工。
  • 1918年8月15日; ノイヴィート – コブレンツ線の開通と共にクロンプリンツ=ヴィルヘルム橋が完工される。
  • 2005年6月6日; ローレライ及びロースシュタイントンネルの改築工事完了。

運行形態[編集]

ウンケル駅北側の貨物列車
ボン・ボイエル駅舎

遠距離輸送[編集]

ケルンを出発するライン=マイン方面ICとICE列車はほとんどライン川左岸線或はケルン・ライン=マイン高速線を経由する。ライン川左岸線が封鎖される場合、遠距離列車は本線を経由する。その時ボン・ボイエル駅はボン中央駅の役割を果たす。本線の南側にIC列車が季節限定で運行され、アスマンハウゼン駅とリュデスハイム駅に停車する[4]

地域輸送[編集]

ケルン – エンガース間はライン=ジーク運輸連合(Verkehrsverbund Rhein-Sieg, VRS)の運賃システムの適用区域である[5]。ウンケル – カウプ間はライン=モゼル運輸連合(Verkehrsverbund Rhein-Mosel, VRM)の領域にあり、VRSの一部と重なっている[6]。ローヒハウゼン – ヴィースバーデン間の運賃システムはライン=マイン運輸連合(Rhein-Main-Verkehrsverbund, RMV)に属しており[7]、特にニーダーヴァルーフ – ヴィースバーデン区間はライン=ナーエ運輸連合(Rhein-Nahe Nahverkehrsverbund, RNN)との共通区域である[8]

  • 快速列車(RE 8); モェンヒェングラートバッハ中央駅 – ライト中央駅 – ゲレヴェンブロイヒ – ケルン中央駅 – ケルン=ボン空港 – トロイスドルフ – ボン・オーバーカッセル – ウンケル – ノイヴィート – コブレンツ・エーレンブライトシタイン – コブレンツ中央駅。60分間隔。使用車両はDB425形電車。
  • 普通列車(RB 27); モェンヒェングラートバッハ中央駅 – ライト中央駅 – ゲレヴェンブロイヒ – ケルン中央駅 – ケルン=ボン空港 – トロイスドルフ – ボン・オーバーカッセル – ウンケル – ノイヴィート – コブレンツ市内 – コブレンツ中央駅。60分間隔。使用車両はDB143形電気機関車と制御装置付きの二階建て客車或はDB425形電車。
  • 普通列車(RB 10); フランクフルト中央駅 – マインツ・カステル – ヴィースバーデン中央駅 – ビーブリヒ – エルトヴィレ – リューデスハイム – カウプ – ニーダーラーンシュタイン – コブレンツ中央駅 – ノイヴィート。60分間隔(通勤時間には部分的に30分間隔)。私設鉄道のVIAS所属。使用車両はFLIRT。

参考文献[編集]

  • Konrad Fuchs: Eisenbahnprojekte und Eisenbahnbau am Mittelrhein. In: Nassauische Annalen 67 (1956), S. 158–202. (ドイツ語)
  • Udo Kandler: Die rechte Rheinstrecke. Eisenbahn-Journal Sonderausgabe III/92, Hermann Merker Verlag, 1992. ISSN 0720-051X (ドイツ語)
  • Heinz Schomann: Eisenbahn in Hessen. Eisenbahnbauten und -strecken 1839—1939. In: Landesamt für Denkmalpflege Hessen (Hrsg.): Kulturdenkmäler in Hessen. Denkmaltopographie Bundesrepublik Deutschland. Drei Bände im Schuber. Band 2.1. Theiss Verlag, Stuttgart 2005, ISBN 3-8062-1917-6, S. 204 ff. (Strecke 012) (ドイツ語)
  • Joachim Seyferth: Die Rechte Rheinstrecke. Eigenverlag, SCHIENE-Photo Band 4, Wiesbaden 1995, ISBN 3-926669-04-7. (ドイツ語)
  1. ^ “Loreley- und Rosstein-Tunnel erneuert”. Eisenbahn-Revue International (Heft 7): S. 306. (2005). 
  2. ^ Die deutschen Eisenbahnstrecken in ihrer Entwicklung 1835-1935. Berlin 1935 (= Handbuch der deutschen Eisenbahnstrecken.) ND Mainz 1984, S. 38f (Nr. 17)
  3. ^ Fuchs, S. 182.
  4. ^ ヴィースバーデン – コブレンツ間の時刻表 ドイツ鉄道の資料。
  5. ^ Schienen- und Busnetzpläne: Liniennetzpläne zum Downloaden”. vrs.de. VRS. 2021年5月31日閲覧。鉄道路線図はダウンロード可能。
  6. ^ VRM-Schienennetzplan”. vrminfo.de. Verkehrsverbund Rhein-Mosel GmbH. 2021年5月31日閲覧。鉄道路線図はダウンロード可能。
  7. ^ Netzpläne helfen bei der Orientierung: RMV-Schienennetzplan zum Herunterladen”. rmv.de. Rhein-Mein Verkehrsverbund. 2021年5月31日閲覧。鉄道路線図はダウンロード可能。
  8. ^ Wabenplan”. rnn.info. Rhein-Nahe Nahverkehrsverbund. 2021年5月31日閲覧。運賃区域図表はダウンロード可能。