四塩化テルル – Wikipedia

四塩化テルル(Tellurium tetrachlorideは、実験式TeCl4の無機化合物である。揮発性で、0.1 mmHgの下、200℃で昇華する[1]。融解した四塩化テルルはイオン性で、TeCl3+とe2Cl102-に解離する[1]

気相では単量体であり、構造は、四フッ化硫黄に似る[2]。固相では、四量体のキュバン型クラスターであり、Te4Cl4核の各々のテルル原子に3つの末端塩素が配位した構造である。あるいは、この四量体構造は、塩素が面心配位したTe4四面体のテルル原子ごとに3つの末端塩素が配位し、各々のテルル原子が歪んだ八面体を形成していると見ることもできる。

粉末テルルの塩素化により得られる。

Te + 2 Cl2 → TeCl4

この反応は、加熱により始まる。生成物は蒸留により単離する[3]

有機合成の分野で興味が持たれることがある[4]。アルケンに付加してCl-C-C-TeCl3誘導体を与え、その後硫化ナトリウムによりテルルを除去できる。電子の豊富なアレンと反応すると、アリルテルル化合物が得られる。そのため、アニソールは、TeCl2(C6H4OMe)2となり、これは、テルル化ジアリルに還元できる。

他のテルル化合物と同様に、四塩化テルルは毒性を持つ。また、加水分解すると塩化水素を遊離する。

  1. ^ a b グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン英語版. ISBN 978-0-08-037941-8
  2. ^ Cotton, F. Albert; Wilkinson, Geoffrey; Murillo, Carlos A.; Bochmann, Manfred (1999), Advanced Inorganic Chemistry (6th ed.), New York: Wiley-Interscience, ISBN 0-471-19957-5 
  3. ^ Suttle, J. F.; Smith, C. R. F. (1950). Audrieth, Ludwig F.. ed. Tellurium(IV) chloride. Inorganic Syntheses. 3. pp. 140–2. doi:10.1002/9780470132340. ISBN 978-0-470-13162-6 
  4. ^ Petragnani, N.; Comasseto, J. V. (1991). “Tellurium Reagents in Organic Synthesis; Recent Advances. Part 1”. Synthesis 1991 (10): 793–817. doi:10.1055/s-1991-26577.  and Petragnani, N.; Comasseto, J. V. (1991). “Tellurium Reagents in Organic Synthesis; Recent Advances. Part 2”. Synthesis 1991 (11): 897–919. doi:10.1055/s-1991-26605.