大千瀬川 – Wikipedia

大千瀬川(おおちせがわ)は、愛知県北設楽郡東栄町と静岡県浜松市天竜区を流れる河川。流路延長は20.7キロメートル[1]。流域面積は272キロ平方メートル[1]。天竜川の支流である[1]。上流部は振草川(ふりくさがわ)とも呼ばれる[2]。大千瀬川の支流には大入川などがある。

愛知県北設楽郡東栄町大字振草に端を発し、東栄町と設楽町の境界である大鈴山の東麓を東に向かって流れる。字下粟代では下粟代川を、字桜平では鴨山川を集める。国道151号に沿って流れ、国道151号と国道473号が合流する地点付近で御殿川を集める。東栄町の中心集落である本郷市街地を横断し、本郷市街地の東端には落差約10mの蔦の渕がある。その後は国道473号に沿って振草渓谷と呼ばれる区間に入り、愛知県指定天然記念物の煮え渕ポットホールや預り渕ポットホールなどの甌穴群がある。

愛知県と静岡県の県境付近で最大支流の大入川を集め、すぐ近くでは豊川用水の導水路が上を通過する。三遠南信自動車道やJR飯田線をくぐり、佐久間町浦川市街地付近で相川を集める。南東から北東に90度向きを変え、諏訪湖から南下している中央構造線の上を流れる[3]。佐久間町中部(なかべ)で天竜川に合流する[3]。静岡県内の流路延長は5.8キロメートルである[3]

流域変更[編集]

大千瀬川は天竜川水系の河川であるが、上流部は豊川用水事業によって豊川水系に流域変更されている。

1969年(昭和44年)には2170ヘクタールの地域が振草渓谷県立自然公園に指定された[4]。振草渓谷の川床は領家変成帯の花崗岩であり、煮え渕ポットホールや預り渕ポットホールなどの甌穴(ポットホール)がある[5]。1988年(昭和63年)には煮え渕ポットホールと預り渕ポットホールが愛知県指定天然記念物に指定された[5]

本郷市街地の東側には「奥三河のナイアガラ」とも呼ばれる蔦の渕(蔦の淵)がある[6]。滝頭は硬い安山岩、滝壺は軟らかい泥岩からなり、差別侵食が生じて滝となった[6]。2003年(平成15年)にはとうえい温泉花まつりの湯と蔦の渕をつなぐ遊歩道や、蔦の渕を眺めることができる展望台が完成した[7]

アユ釣り[編集]

振草川(大千瀬川)ではアユ釣りが盛んであり、解禁日は愛知県でもトップクラスの早さである[8]。2019年(令和元年)は5月18日が解禁日であり、東三河地方では最も早かった[9]。振草川(大千瀬川)の川底は岩盤質であり、良質な藻が育つことからアユの味が良いとされる[9]

2017年(平成29年)9月15日に高知市で開催された第20回清流めぐり利き鮎会では、振草川(大千瀬川)のアユがグランプリを獲得した[2][9]。2011年(平成23年)と2013年(平成25年)の清流めぐり利き鮎会では準グランプリに選ばれている[2]

参考文献[編集]

  • 『愛知百科事典』中日新聞本社、1976年