MCバトル – Wikipedia
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MCバトル(エムシーバトル)は、MC同士で行われるヒップホップ文化が発祥のラップバトルである。
諸説はあるが、1970年代後半にアメリカの東海岸のヒップホップシーンが起源とされており、DJバトルやダンスバトルと共に行われ広まっていったとされる。アメリカでは1980年代バトルラップがラップの表現の一つとして人気を博し、その後、定着した[1]。
MCバトルはゲーム的要素だと、ビートを小節ごとに交互で回すのが主流であるが、ただ単にラップでお互いを攻撃し合うこともあり、これもMCバトルと定義される。1980年代初頭のアメリカのヒップホップシーンでのMCは、他のMCのライブのステージでバトルラップを用いて戦い、それを通じて名声を得ていた。尚、その場のステージや街角などで行われるものをMCバトルとし、MCそれぞれの音源の歌詞で繰り広げられる中傷合戦はビーフとされている。
各国のMCバトル[編集]
日本におけるMCバトル[編集]
日本においては、クラブイベントの企画の一つに取り入れられたり、MCバトルメインのイベントが行われたりと全国各地で行われている。会場もクラブだったりライブハウスだったりとイベントの規模により異なる。
日本のMCバトルの大会においてはDJが流すビートに、MC同士が小節ごとに即興の歌詞を用いてフリースタイルのラップをし、お互いのスキルを競い合う。勝敗は即興性、内容、ディス、韻、フロウなどを総合して判定される。相手から言われたことに対してアンサー[要曖昧さ回避]がちゃんと返せているかもバトルにおいて重視される。大体は8小節を2~3ターンずつ交互で行われるが、16小節で行われる場合もある。DJとMCの他にバトルを進める進行役も存在する。バトル終了後の勝敗の判定は、現場の観客の歓声の大きさで決まったり、審査員の多数決で決まったり、どちらも取り入れられたりと、そのイベントにより基準が異なる。
大会でなければDJや進行がいなくても周辺への配慮が必要となるが、トラックのインストをスマートフォンやCDラジカセ、コンポ等で流し屋内や路上、公園等で行うことも可能。また、音がなくともアカペラでしようとすればすることもできる為、気軽に行うことができる。インターネットが普及してからはSkypeなどを通じてフリースタイルのラップを披露し合う者もいる。この他、スキル上達の練習方法としてサイファー(複数人が円形に形成し、順番にフリースタイルのラップを披露すること)などがある。
全国的にMCバトルが広まっていったのはB-BOY PARKがMCバトルを盛り込んだ2000年前後とされ、1999年~2001年のB BOY PARKのMCバトルではKICK THE CAN CREWのメンバーのKREVAが3年連続優勝を果たしている。2002年には日本でもヒットしたアメリカ公開の映画「8 Mile」でMCバトルがモチーフにされたこともあり、知られるきっかけとなる。その後もULTIMATE MC BATTLEや戦極 MCBATTLEなどのMCバトルのイベントが派生していった。イベントによってはバトルの模様を収録したDVDも制作され、映像化している。
出場するMCはメジャーレーベルからCDもリリースしてライブ活動も行うプロのラッパーから、音源制作をしていないラッパーまで様々である。参加目的も自分のラッパーとしての実力を試したいという理由や名声を得る為など多種多様である。バトルの大会で名を残したMCやバトルでの活動に特化しているMCをバトルMCと呼ぶ。近年ではお笑い芸人によるMCバトルのイベントも開催され、戦極MCBATTLEが主催した「戦極MCBATTLE feat 芸人ラップ王座決定戦」ではとろサーモンの久保田和靖やレイザーラモンRG、中山功太などが参戦し、MCバトルを行っている[2]。
2010年代にはBAZOOKA!!! 高校生RAP選手権やフリースタイルダンジョンなど、MCバトルを取り入れたテレビ番組も制作されている。
中国におけるMCバトル[編集]
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2017年、中国でオンラインのMCバトル番組『The Rap of China』(iQIYI)が放送開始。半年で25億回の再生回数を達成するなどの影響をもたらし、中国全土がヒップホップに沸くなどブームをもたらした[3]。
主なMCバトルのイベント[編集]
- KING OF KINGS
- 9sari Group主催。東日本、西日本で予選が行われ、数々のMCバトルの優勝者が集まり、決勝大会は東京で開催される。
- MC BATTLE THE 罵倒[5]
- G.O主催。主に関東地方で予選が行われ、決勝大会は東京で開催される。ボディタッチありのルールが特徴。
- SPOTLIGHT
- 韻踏合組合主催。ENTERという予選大会が3ヶ月毎に行われ、予選、決勝大会共に大阪で開催される。
- 凱旋MCBattle
- 怨念JAP主催。春夏秋冬で開催される大会。2021年2月23日にMCバトルとして初めてのアリーナでの開催を果たした。
- ENTA DA STAGE
- サイプレス上野主催。横浜で開催される大会。
- 小倉 MC BATTLE
- PEKOKHARED主催。年に数回予選が行われ、予選、決勝大会ともに小倉で開催される。通称KMB。
- SCHOOL OF RAP
- ダースレイダー主催。主に東京と大阪で年に数回予選が行われ、決勝大会は東京で開催される。22歳以下のMCのみ出場可能。
- U-22 MCBATTLE
- MC正社員主催。出場者を22歳以下に限定した大会。
- 口喧嘩祭
- HIKIGANESOUND主催。バトルはトーナメント方式ではなくMCたちのネームタグを事前にBOXに投入し、一枚ずつネームタグを引き、その場で先行、後攻を含めた対戦カードが発表される形式で行われる。
- 真ADRENALINE(旧ADRENALINE)
- Sound Luck(ACE&HIDE)主催。東京で開催される大会。
- 当初は「ADRENALINE」という名称で開催されており、平成選抜、昭和選抜のチームに別れトーナメントが行われていたが、2019年度をもって大会終了。翌年より、「真・ADRENALINE」と改題して開催をした。
- 生バンド(Da-De-MIX)によるビートが特徴。ほかの大会に比べCHEHONなどのレゲエDeejay、Rude-α[6]のようなバトルではなく楽曲を中心に活動しているラッパーなどの出場が多い。
- フリースタイルダンジョン
- サイバーエージェントの藤田晋とラッパーのZeebraと放送作家の鈴木おさむやフリーのテレビディレクター岡田純一とともに番組の草案を作り上げてテレビ朝日にて放送される。従来のバトルとは異なりトーナメント制では無くチャレンジャーがモンスター勝つ毎に賞金が出るラウンド制となっている。
- MRJ
- MC派遣社員と日本語ラップCOMのMeo主催。MRJはミスター日本語ラップの略で、毎年東京都内を中心に開催されているMCバトルイベント。
- ADDVANCE
- ズキ子主催。毎回ライブが豪華な特徴があるMCバトルイベント。
- BATTLE SUMMIT
- 2022年より6つの団体(KING OF KINGS・SPOTLIGHT・戦極MCBATTLE・凱旋MC Battle・真ADRENALINE・レゲエDeeJayクラッシュイベントCOMBAT)共同開催のMCイベント、各イベントが選抜したMCによるトーナメント戦が行われ賞金1,000万。
- Red Bull 韻 DA HOUSE
- レッドブル主催。スペイン語圏で開催されている「Red Bull Batalla」の日本版で、日本のMCバトルでは珍しい時間制のバトルである。2021年に第1回大会を開催[7][8]。
主なMCバトル出場者[編集]
- 世界
- 日本
- 五十音順
MCバトルを取り扱った作品[編集]
- ^ Battle rap
- ^ “芸人ラップ王座決定戦にとろサーモン久保田、RG、中山功太ら参戦”. ナタリー. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “一大ブームに沸いた中国ヒップホップはいま。若手ラッパーや関係者たちの声を聞く”. CINRA (株式会社CINRA). (2021年12月27日). https://www.cinra.net/article/202112-chinesehipohop_gtmnmcl 2022年1月11日閲覧。
- ^ 2017年度をもって大会終了。
- ^ 2018年度をもって大会終了。
- ^ Rude-αは2021年1月30日の真ADRENALINE Abemaの陣で5年ぶりにバトルに復帰した
- ^ “レッドブル主催のMCバトル大会「Red Bull 韻 DA HOUSE」開催、アプリで出場者を募集”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2021年5月18日). https://amp.natalie.mu/music/news/428711 2021年9月16日閲覧。
- ^ “レッドブル主催フリースタイル・ラップバトル決勝<Red Bull 韻 DA HOUSE>に日本全国のラップバトルの垣根を超えて人気者16名が集結”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2021年8月17日). https://www.barks.jp/news/?id=1000206459 2021年9月16日閲覧。
- ^ 一度目の優勝は団体戦
- ^ “TKO HIP HOP”. MOVIE WALKER PRESS. 2021年2月20日閲覧。
- ^ “急増中のMCバトル漫画。『デトロイト・メタル・シティ』作者の最新刊でもパンチラインが炸裂!”. ダ・ヴィンチニュース (株式会社KADOKAWA). (2019年5月12日). https://ddnavi.com/review/457138/a/ 2021年2月20日閲覧。
- ^ WALKING MAN インタビュー ANARCHY×野村周平が語る、ヒップホップを武器にした極貧青年の成長と青春. インタビュアー:中島晴矢. 株式会社エイガ・ドット・コム. (2019年10月10日). https://eiga.com/movie/90267/interview/ 2021年2月20日閲覧。
- ^ “邪悪なラップが「キラメイジャー」を襲う、拙者が闇ラッパー晋平太”. 音楽ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年12月14日). https://amp.natalie.mu/music/news/408714 2021年2月21日閲覧。
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