デスマトスクス(学名:Desmatosuchus)は、主竜類アエトサウルス目の絶滅した属。三畳紀後期に生息していた。 D. spurensisとヒトの比較 デスマトスクスは全長4.5メートル以上の巨大な四足歩行動物であった[2]。背骨には椎間板と3つの仙椎があった。肩甲骨には大きな肩峰(アクロミオン)が存在した[2]。前肢は後肢よりも遥かに短く、上腕骨の長さは大腿骨の2/3にあたる[3]。大腿骨は比較的長く真っ直ぐであり、足関節があり、踵骨の結節に由来する大きな踵があった[3]。 頭蓋骨は平均して長さ37センチメートル、幅18センチメートル、高さ15センチメートルと、体格に対して比較的矮小であった。脳頭蓋は頭蓋骨の最上部や口蓋と強固に癒着していた。細い前上顎骨は叉に分岐して前方で広がり、シャベル状の構造を形成していた[2]。デスマトスクスは前上顎骨の歯を欠いた唯一知られているアエトサウルス目であるという点において特異的である[2]。前上顎骨は上顎骨と緩く組み合わさり、関節は柔軟であったと考えられている。上顎骨には10本から12本の歯が生えていた[2]。また鼻腔の深部は非常に薄い鋤骨に覆われ[2]、比較的その容積は大きく口蓋全体の長さの約半分を占めていた[2]。下顎には基本的に5本から6本の歯が並び、先端部には歯のない嘴を有していた[2]。下顎の歯列は下顎の長さの半分まで続き、先端部は上顎と同様に歯がなく角質の嘴に覆われていた[2]。歯列の後ろには下顎窓が存在した。 デスマトスクスの個体には装飾が多く、中央の2列の鱗甲が側方の2列の鱗甲に挟まれて背中の甲板が形成されていた。側方の鱗甲は横や背中の後方に突き出した発達した棘の構造を持っていた[4]。典型的に5対の棘があり、後方ほど大きなものとなる。最後方の棘は28センチメートル前後に達して非常に大きく、湾曲もしている。標本によって長さは異なるものの、前方4対の棘は5対目の棘よりも遥かに短い[2]。このような棘を持つアエトサウルス目の生物はデスマトスクス以外に知られていない[4]。 発見と分類[編集] デスマトスクスは19世紀後半に初めて発見された。アメリカ合衆国テキサス州ドックム層群から発見された外骨格をエドワード・ドリンカー・コープが新種エピスコポサウルス属(Episcoposaurus haplocerus)として分類した[5]。後にケーズがテコヴァス層で発見された部分的な骨格をデスマトスクス属(Desmatosuchus spurensis)として分類した[6]。コープとケーズがそれぞれ調査した地域はわずか数キロメートルしか離れておらず、2つの種はDesmatosuchus haplocerusのシノニムとされた[5]。 パーカーは2008年にデスマトスクスの分類を再検討し、E. haplocerusのレクトタイプ標本がデスマトスクス属に相当すると発見したが、このとき種までは同定ができないと判断された。そのためE. haplocerusは疑問名とされD. spurensisがデスマトスクス属の模式種として扱われるようになった。D. spurensisとデスマトスクス属の研究への貢献を称えブライアン・J・スモールの名を取ったD. smalliが有効と認められた[7]。D. chamaensisは異なる属とみなされているが、ヘリオカンタス属(Heliocanthus)やリオアリバスクス属(Rioarribasuchus)といった名称が用いられるか否かについての議論が続いている。 以下はジュリア・B・デソジョやマーティン・D・エズキュラ及びエディオ・E・キスチュラットによる2012年の研究結果を簡略化した系統図である[8]。 ミシガン自然史博物館所蔵のデスマトスクス骨格
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