奈良美智の作品 – Wikipedia

奈良による少女をモチーフとした作品群

奈良美智の作品(ならよしとものさくひん)では、日本を代表する現代美術家・奈良美智の作品とその特徴などについて解説する。

作品の特徴[編集]

奈良美智のアート作品の大きな特徴は、『丸みのある輪郭を持った可愛らしい少女をモチーフとした作品が多い』ことである。

絵画やドローイングで言えば、睨みつけるような目をした女の子を描いた作品等は奈良のトレードマーク 的なものとして広く知られる[1]

彫刻などの立体作品においても、少女を題材としたものが大半を占めるが、その一方で『あおもり犬』『Dogs from Your Childhood』などのように、犬などの動物を題材としたものも見られる[2]

このように、純粋無垢で可愛らしく無邪気さ等が感じられる造形を展開しつつも、その中にどことない悪魔的な要素(人間の潜在的な怒りや孤独感等)を盛り込んだ作品は、奈良独特のものと言うべき特筆事項である[1]。奈良自身は音楽好きでもあることから、これはいわゆる「パンク・ロック文化」等に影響されたものと考察する見方もある。

主な作品[編集]

美術手帖などで取り上げられているものを中心とし、以下に奈良の代表作をいくつか解説する。

  • 春少女』- 絵画作品。2012年に制作された。横浜美術館蔵。227.0cm×182.0cmの大型作品。正面を見つめる可愛らしい少女を色鮮やかに描いた作品である。題材として描かれた少女の表情や感情(心)などについて考えさせられるものとなっている[3]
  • Knife Behind Back』- アクリル絵画作品。奈良がドイツ留学から帰国した2000年に制作された。234×208 cm。つり目の少女を描いたもので、典型的な奈良の作風が現れた作品と言える。2019年、サザビーズが香港で開催したオークションにおいて、当時の奈良の作品の最高額である2,490万ドル(約27億円)で落札された[4]。実際にはタイトルにある「ナイフ」を描いていないが、怒った表情の少女がナイフを隠し持っているという雰囲気を連想させる、脅威的な作品といえる。
  • あおもり犬』- 彫刻作品。青森県立美術館で見ることができる。犬をモチーフとした純白の大型立体作品で、高さは8.5m、幅は6.7mもある[5]。作品の前には、犬のエサを入れる器を模した花壇が設置されている。
  • Miss Forest』- 彫刻作品。ロサンゼルス・カウンティ美術館の永久コレクションに収蔵された[6]

これらの他にも、日本の著名な浮世絵作品の一部に少女の姿を加えてパロディ化した作品なども制作した[7]

  1. ^ a b 日本大百科全書・神谷幸江筆『奈良美智』
  2. ^ 美術家・奈良美智の作品を見ることができる全国の美術館や施設をご紹介!|じゃらんニュース” (日本語). じゃらんニュース (2020年10月9日). 2021年12月1日閲覧。
  3. ^ 美術手帖 2012年9月 特集・奈良美智 (P.43)
  4. ^ 日本人アーティストがNYのバーに描いた「落書き」に脚光” (日本語). CNN.co.jp. 2021年12月1日閲覧。
  5. ^ B2F | 青森県立美術館”. www.aomori-museum.jp. 2021年12月1日閲覧。
  6. ^ 奈良美智の巨大彫刻作品、ロサンゼルス・カウンティ美術館の永久コレクションに” (日本語). 美術手帖. 2021年12月1日閲覧。
  7. ^ UKIYO―YOSHITOMO NARA ISBN 9784947648907