シェル – Wikipedia
この項目では、オペレーティングシステムの機能について説明しています。石油ガス会社については「シェル (企業)」を、その他の用法については「シェル (曖昧さ回避)」をご覧ください。 Bashのスクリーンショット シェル (英語: shell) はオペレーティングシステム(OS)があるような高機能なコンピュータにおいて、ユーザーのためにインタフェースを提供するコンピュータプログラムであり、オペレーティングシステムが提供する機能へのアクセスを提供する。他にも、この用語はゆるやかに応用されることもあり、特定のコンポーネントの周辺に構築された任意のソフトウェアを含むこともある。例えば、ウェブブラウザや電子メールクライアントはHTMLレンダリングエンジンの「シェル」といわれることがある。コンピュータシステムとユーザーの間にある「殻」であることから、このように呼ばれる。 大まかに2種類に大別すると、キャラクタユーザインタフェース(CUI)ベースのコマンドラインインタプリタ(CLI)の形態をとる「コマンドラインシェル」と、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)ベースでいわゆる「デスクトップメタファ」等の環境へのユーザインタフェースという形態をとる「グラフィカルシェル」に分けられる。 CLIとGUIのどちらが優れているかという議論はしばしば行われている。CLI支持派は、特定の操作(ファイル群の移動など)を行う際にGUIよりもCLIの方が速いと主張する。また、CLIには複数のコマンドを組み合わせて素早く高度な処理を行えるとの主張もある。一方GUI支持派は、グラフィカルシェルの方がユーザビリティが高くシンプルだと主張する。しかし、用途により適するものは異なる。たとえばサーバ管理はリモートのことも多く、VNCなどでGUI画面を転送してネットワーク帯域を浪費することは好ましくなかったり、そもそもセキュリティポリシー的にそのような接続は禁止されることもある。一方で、たとえば画像や映像などのデータの開発や編集にはGUIの方が適している。少なくとも、多くのCLIにはソフトウェアの連携においてGUIを圧倒する柔軟性を持つパイプライン機能が備わっており、慣れれば短時間で既存のソフトウェアを繋ぎ合わせて高度な処理を記述できる事と、OSがクラッシュして最小構成でしか起動できなくなった場合にはCLIしか利用できない事から、システム開発・運用・管理の現場ではCLIスキルは重要視されている。 Multics以前のOSでは、シェル的なユーザインタフェースの機能はOS本体と渾然一体なものとして考えられ、そのように実装されていた(今日でも簡易なモニタ的なものではそういった設計も多い)。Multicsはシェルをモジュール化して独立させる設計を示した。UNIXもその影響をうけて設計され、シェルは単なる1ユーザプロセスとして動作するもので、利用者の好みにより選択もできる(また内部実装の話としては、端末デバイス等が、そのようにしてシェルを独立したプロセスとして実装できるように機能が設計されている)。MS-DOSでも、あまり一般的ではないが、COMMAND.COM 以外の、フリーソフトによるシェルなどもある。なお、MS-DOSの起動時の設定ファイルである CONFIG.SYS において「SHELL=C:COMMAND.COM」といったようにして設定されるファイルは、その設定項目名の通りシェルであることが多いが、ブートの最後に、最初のプロセスとして実行するプログラムを指定するものであって、例えばアニメなどの架空のOSの起動画面を再現するプログラムなど、シェルでないものを指定することもある。 (エキスパートシステムにおいては、特定用途の知識ベースを入れる前の「空の」エキスパートシステムをシェルと呼ぶ[1]) 最初のUnixシェルはケン・トンプソンが開発したThompson Shellである[2]。その手本になったのがMulticsのシェルで[3]、さらにその手本になったのがルイ・プザンがCTSS向けに開発したRUNCOMというプログラムである[4]。 コマンドラインシェル[編集] 内部コマンドと外部コマンド[編集] シェル自身が持つ機能に関係しており、シェル単体で処理が完結するコマンドが内部コマンドである。それに対し、他のプログラムにより実行されるコマンドが外部コマンドである。OSの外殻としてのシェルでは普通、外部コマンドを実行する機能は必須である。また、システムに異常がある場合、外部コマンドがほとんどあるいは全く使えなくなることもあるため、そういった場合に対処できるよう、外部コマンドで実装できるものでも内部コマンドが用意されることもある(Windowsのシェルは、MS-DOS時代にフロッピィディスクでの運用では外部コマンドが全く無いこともあったCOMMAND.COMの影響で、多数の機能を抱えており、一見では似ているUnix系のシステムに移行したユーザは、DIRコマンドに相当するlsコマンドなどすら外部コマンドであることに、しばしば戸惑う)。
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