押しボタン式電話機 – Wikipedia
押しボタン式電話機(おしボタンしきでんわき)は、電話番号送出操作を押しボタンで行う電話機のこと。回転ダイヤル式電話機(黒電話など)の対語として用いられる。プッシュ式電話機などとも呼ばれる。
この項目では、局給電のみで動作する、アナログ固定電話回線に直接接続される標準電話機を記載する。
ボタンの配置[編集]
ボタンの配置はITU-Tで勧告されている。
1 | 2 | 3 |
4 | 5 | 6 |
7 | 8 | 9 |
0 | # |
ダイヤルパルス方式[編集]
ダイヤルパルス方式は、回転ダイヤルと同様に、押しボタンが押されるたびに、メーク(接)/ブレーク(断)のパルス[注釈 1]と桁間ポーズ(桁間の無音時間)で電話番号を交換機に送信する。アウトパルス方式ともいう。
しかし、この方式であっても、#(ナンバー)から始まるダイヤル番号は利用できない。
トーンダイヤル方式[編集]
トーンダイヤル方式に対応した加入者線はトーンダイヤル回線、略してトーン回線と呼ばれる。トーン信号の場合は各番号に割り当てられた固有周波数の音で番号を決定するため、電話番号を送信する時間が大幅に短縮されることとなった。
1964年にAT&Tがサービスを開始した。
1964年にウェスタン・エレクトリック社が発売した、最初の市販電話機Western Electric Model 1500(右写真。ボタン配列を、回転ダイヤル風だったモデル500から改めた機種)は、1から0の10ボタン式であった。1967年発売のModel2500から、「
日本での状況[編集]
日本においては、1969年に初めて販売されたトーンダイヤル方式専用の電話機「プッシュホン」[注釈 2]を指し、ダイヤルパルス方式専用である回転ダイヤル式電話機とあわせて、それら回線方式を区別する用語としても機能した。1985年の電話端末機器の自由化以後、ほぼすべての押しボタン電話機が、パルス信号・トーン信号を切り替えて発信する機能を備えているため、押しボタン式電話機であっても回線種別がトーンダイヤル方式とは限らなくなった[注釈 3]。
トーン回線/パルス回線の共用交換機の整備が遅れ、トーン回線は専用の交換機を使用する必要があった。そのため電電公社は、プッシュホンの基本料金をダイヤル式よりも高額に設定せざるを得ず、パルスダイヤル式電話回線が長い間併用されることとなった。加算は2005年に廃止され、同一料金になった[1]。
短縮ダイヤルサービス[編集]
短縮ダイヤルサービスは、(
多機能電話機で機能が置き換えできるため、PSTNマイグレーションに合わせて提供終了見込みである。
プッシュホンが、「ピッポッパ」と擬音語表記されるのは、短縮ダイヤルの3桁発信音のためである。
歴史[編集]
- 1969年5月17日 : 600-P形発売。
- 1969年 : 公募から「プッシュホン」と愛称が命名された。カラーはグレー。
- 1970年9月26日 : プッシュホンを使って計算を行う自動応答サービスDIALS開始。
- 1972年 : 「プッシュホン」のカラーが既存のグレーに加えて、レッド・ホワイト・グリーンが加わって4色になる。
- 1973年 : 送受話器にキーパッドが一体化された700-P形「ミニプッシュホン」発売。
- 1975年3月末 : 国鉄プッシュホン電話予約開始[2]
- 1980年10月 : 601-P形「プッシュホン」発売。
- 1982年10月 : DIALSサービス終了。
- 1983年 : 800-P形「ハウディ」発売。
- 1985年 : 電話端末機器の自由化。
- 1993年 : 900-P形標準電話機発売。
- 2013年1月末 : JRプッシュホン電話予約終了[3]。
NTTの各機種の概要[編集]
形式 | 発売年 | 機能 | 形態 | 技術 | 備考 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ダイヤルパルス切替 | スピーカー受話 | オンフックダイヤル | 再ダイヤル | 卓上 | 壁掛 | 卓上壁掛共用 | 送受話器に押しボタンダイヤル内蔵 | 送話器 | 受話器 | 呼び出し | 回路 | |||
600 -P |
1969 | – | – | – | – | 〇 | – | – | – | 炭素粉 | 電磁 | 磁石電鈴 | ||
601 -P |
1980 | – | – | – | – | 〇 | 〇 | – | – | トーンダイヤル回路電子化 | ||||
700 -P |
1973 | – | 〇 | – | – | – | – | – | 〇 | 電磁 | 電磁スピーカー | 完全電子化 | ||
701 -P |
1979 | マイクアンプ電子化 | 加入者線抵抗1500オームに対応 | |||||||||||
800 -P |
1983 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 圧電セラミック | 1チップIC | 1984年グッドデザイン賞 商品デザイン部門[4] | ||
900 -P |
1993 | 〇 | – | – | – | – | – | 〇 | – | デジタルIC・アナログICの2チップ構成 |
注釈[編集]
- ^ パルス送出時に、受話器が電話回線から切り離される回路構成になっている。ただし、電話機により「ブブブブ…」という音がかすかに聞こえることもある。
- ^ 「プッシュフォン」と呼ばれることもある。
- ^ トーンダイヤル方式/ダイヤルパルス方式共用の電話交換機普及も相まって、パルス回線専用の回転ダイヤル式電話機は減少している。
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