石山駅 – Wikipedia

石山駅南口バスターミナル(2017年11月)
石山駅北口(2017年11月)
のりば(2006年12月15日)

石山駅(いしやまえき)は、滋賀県大津市粟津町(あわづちょう)にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)東海道本線の駅である。駅番号はJR-A27。「琵琶湖線」の愛称区間に含まれている。

石山駅は瀬田川橋梁のすぐ西側に位置する。大津市南部の拠点であり、市内南部圏域のバス路線や京阪石山坂本線との乗換駅になっている。駅周辺には商店街が形成され、工場なども集積している。1985年時点では利用客の7割以上が定期客で占められ、通勤・通学において重要な役割を果たしているといえる。

1889年(明治22年)に東海道線が敷設されたが、石山駅はのちの1903年(明治36年)に開設された。位置は旧膳所町にあたるが、石山駅の名称は石山寺への入口を意識したものと考えられる。

開業当初は広い平野の中に小さな駅舎があるのみで、乗降客は少なかった。次第に駅前に茶店や運送店が開店するようになったが、本格的に駅が発展するようになったのは旭ベンベルグや東洋レーヨン(現在の東レ)などの工場が操業した大正末期からである。1928年(昭和3年)12月から駅舎の改築補修や駅前の区画整理が行われ、1929年(昭和4年)4月1日に竣工した[7]。この駅舎は木骨コンクリート製で洋風の建築であり、当時は横浜駅・金沢駅でしか導入されていなかった1人ずつ処理する方式の出札口が導入された[7]。一方で、石山駅の存在が東レなど工場の立地に大きな役割を果たし、東海道本線や草津線の広い範囲で労働力を求めることができるようになった。また、工場内への引き込み線を設置することで、原材料の入荷や製品の出荷に利便が図られた。戦後はさらに多くの企業が進出し、駅周辺が工業の町となり、石山駅を利用する貨客の数は本格的に増加した。

1965年(昭和40年)から1970年(昭和45年)にかけて東海道本線草津 – 京都間で複々線化工事が実施されたが、石山駅では駅舎の改築や駅北口の新設、駅前広場の新設・整備が関連工事で行われた。貨物用の待避線が上下線で設置されたほか、3線に対応したホームを改良して2面4線のホームになった。これらの工事が石山駅周辺に平和堂石山店や西友石山店が出店するきっかけとなる。

石山駅の上下線に工場への専用線が設けられていたが、2013年現在では廃止されて跡地が失われつつある。

東海道線石山駅急行列車脱線転覆事故[編集]

脱線転覆事故の現場(石山駅草津方)

1930年(昭和5年)4月25日 、東京発下関行き急行第5列車(14両編成、牽引機C53 30(国鉄C53形蒸気機関車)、乗客約650名)が石山駅に差し掛かり下り本線から中線へのポイントを通過時に脱線転覆し、13名が重軽傷を負った。石山駅はカーブになっており、普段は通らない中線への渡り線も急角度で、そこに遅れを取り戻すため高速で進入した事が原因とされた[14]。木造客車ならば1926年(大正15年)9月23日の山陽本線特急列車脱線事故のように粉砕していた所だが、半鋼製客車だったため被害は少なく済んだ。機関士は100円の罰金刑を受けた[15]。この事故で東京のある新聞が「急行列車脱線転覆、死傷者多数」の号外を出したが、結局誤報となってしまい、物笑いになってしまった[16]

この事故を受けて、山陽本線河内駅構内の配線と速度制限の調査が行われ、誤ったポイント付け替え工事がされた事が、9ヶ月後の山陽線急行列車脱線事故の原因となったという[17]
瀬田川が写っていることから、写真は跨線橋から草津方を見た撮影と思われ、当時の石山駅にはランプ小屋があった事が分かる。

島式ホーム2面4線に外側待避線を持つ地上駅で橋上駅舎を有している。改札口の横にキヨスク、みどりの窓口の横にセブンイレブン石山店がある。改札外部は北口・南口でエレベーターやエスカレーターが設置されている[18]

直営駅(大津駅の被管理駅)。ICOCA利用可能駅であり、ICOCAの相互利用対象カードも利用可能。

のりば[編集]

のりば 路線 方向 線路 行先 備考
1 A 琵琶湖線 下り 外側線 京都・大阪方面 一部列車
2 内側線
3 上り 草津・米原方面
4 外側線 一部列車
  • 上表の路線名は旅客案内上の名称(愛称)で記載している。
  • ホームの有効長は260 mで、現行は12両に対応しているが将来的に16両まで対応できるよう想定されている。
  • 上下線それぞれに有効長600 mの貨物待避線が設置されている。
  • 上下線間の渡り線はなく、内・外側線の転線もできない。
  • 上下線のホームでエレベーター・エスカレーターが設置されている[18]

日中時間帯は1時間に7本(新快速が3本、普通(大阪方面行きは高槻駅から快速)が4本)停車する。朝晩は本数が多くなる。

貨物取扱[編集]

2007年まで専用線発着の車扱貨物を取り扱っており、貨物列車の設定があったが、現在は臨時車扱貨物のみを取り扱っており、そのため貨物列車の発着は無い。

駅北側にある日本電気硝子大津事業所へ関西日本電気が保有する専用線が上り線側から分岐し、石油輸送を行っていた。そのため塩浜駅 – 当駅間に石油輸送貨物列車が運行されていた。

駅南側にある東レ滋賀事業場へ専用線が下り線側から分岐し、石油輸送を行っていた。災害時など公共性の面があり権利だけは残っている。但し線路は2009年7月頃に全て撤去されており、国道1号との平面交差の踏切のレールも外され溝は埋められ、踏切信号も撤去されたが、専用線の路盤と踏切警報機のみ残存している。交通科学博物館で静態保存されている1801号機(鉄道記念物)は、1964年に国鉄に寄贈されるまではこの専用線での入換作業で使用されていた。

利用状況[編集]

2020年度の1日平均乗車人員は19,236人である。滋賀県内の駅では草津駅、南草津駅に次ぐ第3位で、JR西日本全体の駅では第39位である[19]。また、大津市内にある駅では最も多い。

滋賀県統計書によると、近年の1日平均乗車人員推移は下表のとおりである。

年度 1日平均
乗車人員
出典
1992年(平成04年) 23,456 [20]
1993年(平成05年) 23,992 [21]
1994年(平成06年) 24,192 [22]
1995年(平成07年) 24,851 [23]
1996年(平成08年) 25,081 [24]
1997年(平成09年) 24,758 [25]
1998年(平成10年) 24,322 [26]
1999年(平成11年) 23,764 [27]
2000年(平成12年) 23,623 [28]
2001年(平成13年) 23,438 [29]
2002年(平成14年) 23,043 [30]
2003年(平成15年) 23,039 [31]
2004年(平成16年) 22,949 [32]
2005年(平成17年) 23,320 [33]
2006年(平成18年) 23,677 [34]
2007年(平成19年) 24,098 [35]
2008年(平成20年) 24,412 [36]
2009年(平成21年) 23,977 [37]
2010年(平成22年) 24,156 [38]
2011年(平成23年) 24,475 [39]
2012年(平成24年) 24,722 [40]
2013年(平成25年) 25,004 [41]
2014年(平成26年) 24,285 [42]
2015年(平成27年) 24,596 [43]
2016年(平成28年) 24,429 [44]
2017年(平成29年) 24,413 [45]
2018年(平成30年) 24,223 [46]
2019年(令和元年) 24,103 [47]
2020年(令和02年) 19,236

表玄関として機能しているのは南口。当駅から国道1号にかけて市街地が形成されている。北口は大規模な工場が複数存在する。

北口[編集]

南口[編集]

平和堂石山店(画像の建物は2018年8月に閉店。建て替えを経て、2020年11月に「平和堂石山」として再オープンした)

バス路線[編集]

現行では京阪バス・近江鉄道バス・帝産湖南交通が路線バスとして乗り入れている[48]

(※京阪バスの「唐橋前」は進行方向(石山寺山門前方面 または 石山高校前方面)により、バス停の位置が異なる)

現行路線[編集]

1のりば 京阪バス
4系統 唐橋前・京阪石山寺・赤川・南郷・新浜 大石小学校
54系統 唐橋前・京阪石山寺・野々宮・赤尾町・南郷二丁目東・南郷・新浜 大石小学校 平日運転
52系統 唐橋前・京阪石山寺・野々宮・赤尾町・南郷二丁目東・南郷 新浜
唐橋前・京阪石山寺・野々宮・赤尾町 南郷二丁目東 夜のほぼ全便
53系統 唐橋前・京阪石山寺・野々宮・千寿の郷・赤尾町 南郷二丁目東
55系統 唐橋前・京阪石山寺・野々宮・赤尾町 びわこ池田墓園 土休日朝昼2本運転
1系統 唐橋前・京阪石山寺・野々宮・樋ノ口 石山団地
30A系統 東レ正門前・石山高校前 大津車庫 平日朝1本運転
31系統 唐橋前・石山高校前・大津車庫 石山団地
31A系統 東レ正門前・石山高校前・大津車庫 石山団地 朝運転
3系統・3B系統 唐橋前・石山高校前・幻住庵 国分団地
3A系統 東レ正門前・石山高校前・幻住庵 国分団地 朝運転
直通 滋賀大学 平日朝1本運転
11系統 東レ北門前・滋賀病院前・国道膳所 大津市民病院 平日朝1本運転
14系統 東レ北門前・滋賀病院前・国道膳所・大津市民病院・県庁前 大津駅 平日朝1本運転
25系統 膳所公園・馬場一丁目・義仲寺・大津署前・県庁前・大津駅 びわ湖浜大津 湖岸経由
2のりば 近江鉄道バス
野郷原線 橋本・神領三丁目・西武大津グリーンハイツ入口 瀬田ゴルフ場 朝1本運転
橋本・野郷原・西武大津グリーンハイツ入口 松陽三丁目
神領団地線 橋本・神領建部大社前 神領団地 一部の便は瀬田駅まで運行
国道線 東レ北門前・滋賀病院玄関前・国道膳所 大津市民病院玄関前 平日運転
東レ北門前 滋賀病院玄関前 平日運転。行き先幕は滋賀病院
湖岸線 膳所公園・馬場一丁目・義仲寺・大津署前・県庁前・大津駅 浜大津
3のりば 帝産湖南交通
30系統 橋本・稲津・石居口・里・枝東口・新免 田上車庫 平日朝1本運転
40系統 橋本・稲津・太子・もみじが丘・新免 田上車庫
橋本・稲津・太子・田上市民センター前・里・枝東口・新免 田上車庫 平日朝4本運転
50系統 橋本・稲津・石居町・堂橋・新免・田上中学校前 田上車庫
150系統 橋本・稲津・石居町・堂橋・新免・田上車庫・平野・牧・大鳥居 MIHO MUSEUM MIHO MUSEUM開館時運転
130系統 橋本・稲津・石居口・里・田上小学校前 湖南アルプス登山口
140系統 橋本・稲津・太子・もみじが丘 湖南アルプス登山口 朝夕運転
120系統 東レ北門・永大団地・焼野・観音口・焼野・東レ北門 東レ・焼野循環
210系統 橋本・建部大社・堂・堂橋・平野・牧 牧口 夕方運転
310系統 橋本・建部大社・野郷原一丁目 龍谷大学 平日運転
橋本・建部大社・野郷原一丁目・大津市公設市場 龍谷大学 土曜3本運転
西日本旅客鉄道
A 琵琶湖線(東海道本線)
新快速
南草津駅 (JR-A25) – 石山駅 (JR-A27) – 大津駅 (JR-A29)
普通(京都駅または高槻駅以西は快速となる列車を含む)
瀬田駅 (JR-A26) – 石山駅 (JR-A27) – 膳所駅 (JR-A28)

参考文献[編集]

  • 『大阪工事局50年史』日本国有鉄道大阪工事局、1977年3月。
  • 晴嵐史編集委員会『晴嵐史話』晴嵐コミュニティ推進委員会、1980年9月1日。
  • 『粟西のあゆみ(粟西会館創立三十周年記念号)』粟津西町自治体、1985年2月25日。
  • 大津市『新修大津市史9 南部地域』大津市役所、1986年11月29日。
  • 今田保「東海道本線 歴史の興味 -名古屋-神戸間-」『鉄道ピクトリアル』第63巻第3号、2013年3月1日、 10-19頁、 ISSN 0040-4047
  • 大津市都市計画部都市計画課『大津市都市計画マスタープラン2017-2031』大津市、2017年2月。2020年2月1日閲覧。
  • 滋賀県教育委員会事務局文化財保護課『街道でめぐる滋賀の歴史遺産』サンライズ出版、2019年10月25日。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]