メインフレーム – Wikipedia

IBM社製のメインフレーム「System Z9」

メインフレーム(英: mainframe)は、主に企業など巨大な組織の基幹情報システムなどに使用される、大型コンピュータを指す用語[1]汎用コンピュータ汎用機大型汎用コンピュータホストコンピュータ大型汎用機 などとも称される[2][3]

フランクリン生命保険会社に設置されたUNIVAC I
1960年代後半、NASAに設置されたSystem/360モデル91のオペレータコンソール

メインフレームは組織で共有し、何らかの業務処理を行わせるためのコンピュータである。メインフレームは商用コンピュータの最初の形態で、1950年代のレミントンランド社によるUNIVAC Iが最初のメインフレームで、以降は他社からも多様な製品が発売され、巨大な組織で業務処理を効率化するために用いられた。メインフレームとして実用化された技術をダウンサイジングして応用することで、ミニコンピュータ,オフィスコンピュータ,パソコン,スマートフォンなども生み出された。1990年前後から事実上の標準となったオープンシステムの普及後は、特に信頼性・継続性・コンピュータセキュリティなどが求められる基幹業務などに使用されている。

メインフレームの明確な定義は存在せず、複数のコンピュータ・アーキテクチャのコンピュータの総称で、観点により複数の呼称がある。本項「呼称」で詳述する。メインフレームは常時稼働を前提としているため、障害対応に特化し、高い堅牢性や冗長な整備性を特長とする。組織で共有するコンピュータのため、多数のサーバ用CPUやECCメモリを1台に集約しているが、計算性能はスーパーコンピュータに劣る。パーソナルコンピュータの場合も在りうる低信頼なノードを多数台ネットワーク接続して冗長化するクラウドと対極的なアーキテクチャである。

大企業や大組織向けの信頼性・安定性・容量やシリーズ間の互換性を保持し、ミニコンピュータやオフィスコンピュータより大型で、特定用途の特化型スーパーコンピュータ・組み込みコンピュータなどと異なり汎用性があり、オープンシステムと異なり各メーカーによるCPUやオペレーティングシステム (OS)、ネットワークなどに独自設計の比率が高い。

世界初のメインフレームは、世界初の商用コンピュータである1951年のUNIVAC Iとされる。1964年のIBM System/360は、命令セットアーキテクチャとチャネル制御言語から成るアーキテクチャを統一したことで「汎用コンピュータファミリ」の概念を確立し、以後のメインフレームの主流となった。

オペレーティングシステム、マルチタスク、仮想記憶、仮想機械、キャッシュメモリ、分岐予測、ハードディスク、フロッピーディスク、データベース管理システム、オンラインシステムなどの技術はメインフレームから生まれ、のちに他のコンピュータにも採用された。

メインフレームは1980年代迄は全盛期であったが、1990年代にオープンシステムが台頭してダウンサイジングが普及すると「レガシー」や「滅びゆく恐竜」とも揶揄された。しかし長年の設計・運用を含めた信頼性と、一部メインフレームは各種のオープン標準を取り入れたり、2000年代以降のインターネットに代表される新しい集中処理などの潮流もあり、2010年代からはクラウド・システムとの連携というオプションも進められている。このように、業務ミッションによって柔軟性の高いオープンシステムと、堅牢性・信頼性のメインフレームを組み合わせるなど、ハイブリッドなシステム形態が見直され[4]、2017年現在も基幹業務用に使用されている。

現在もメインフレームを製造・販売するメーカーは、IBM、富士通、日立製作所[5]、日本電気、ユニシス、Bullである。本項「種類」で詳述する。

2015年は世界シェアでIBMが80%で富士通、ユニシスが続く。2015年の市場規模は世界全体で約5000億円で、2000年の約1兆円規模から半減している[6]。日本の売り上げは世界市場の20%ほどを占める。かつては、日本の売り上げが世界全体の30 – 40%と最大の市場で、サーバ市場でメインフレームの比率が高く、メーカー数も世界で6社中3社と多く、世界有数の「メインフレーム大国」とも言われた[7]

メインフレームは複数のアーキテクチャのコンピュータを世代・用途・規模などで分類した用語のため、趣旨や経緯により以下のように多数の呼称が用いられる。1990年代以降は一部のメインフレームでオープンシステム対応が進み、各呼称の表す内容も変化がみられる。

メインフレーム(英語: mainframe
直訳は「主な枠」となる。由来は諸説あるが、周辺機器や端末などを含めたシステム全体の中核を構成するためと言われる。当初は単に「コンピュータ」と称されたが、1960年代にミニコンピュータや分散システムの対比語として使用され始めた。メインフレームを製造・販売しているメーカーをメインフレーマーとも称する。
汎用コンピュータ、汎用機(英語: general purpose computer, all purpose machine
System/360登場以前の、商用計算専用機や科学技術計算専用機など「専用機」の対比語である。厳密には、メインフレームで商用計算と科学技術計算を兼ねないものは汎用コンピュータとして扱わない。1990年代にUNIXサーバやパーソナルコンピュータなどが普及すると、この語の使用頻度は減少した。
大型コンピュータ(英語: large computer
筐体サイズ、金額、構築されるシステム規模などによる、コンピュータの分類である。対比語はミニコンピュータやオフィスコンピュータなど中型のミッドレンジコンピュータや、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどの小型コンピュータなど。必ずしもアーキテクチャは意味しない。
ホストコンピュータ(英語: host computer
本来は端末の、現在は分散システムなどの対比語として用いる。メーカーなどが公式に使用することは少ないが、日本の現場では伝統的に広く用いられ、メインフレーム系の技術者や営業など担当者を「ホスト系」、分散システムのそれを「オープン系」と称する場合も多いが、日本以外では必ずしも通用しない。
その他
1990年代のダウンサイジング全盛時代から、サーバ機能も兼ね備えるメインフレームを「メインフレームサーバ」、大企業向けサーバを「エンタープライズサーバ」、などと称するメーカーも見られる。

日本は従来、マスコミ・政府・通商産業省・JISの文献などで、「汎用コンピュータ」や「汎用機」の語が広く使用されたが、2000年以降は「メインフレーム」の語が代替して増加しており、主要メーカーは現在、主に以下を使用している。

誕生(1950年代 – )[編集]

1950年に世界最初の商用コンピュータUNIVAC Iが登場した。企業など大規模組織の基幹業務での使用に耐えるように、次第に以下の特徴を有した。

  • 大量のデータ処理能力(CPU性能だけでなく、特に入出力性能)
  • 1台で多数の業務処理を並行して処理するワークロード管理
  • 徹底した冗長化などによる、高度な信頼性と可用性
  • 大組織に必要な、厳格な運用管理機能とセキュリティ機能
  • メーカー側の長期計画や保守体制

1950年代から1970年代にかけて[8]、IBM・バロース・CDC(コントロールデータコーポレーション)・GE(ゼネラルエレクトリック)・ハネウェル・NCR・RCA・ユニバック(UNIVAC)の各社が大型コンピュータ(メインフレーム)を製造、各社は「IBMと7人の小人たち」と総称された。

IBMは現在、1952年のIBM 701以降をメインフレーム[9]と称する。IBMが1964年に発表したSystem/360シリーズは大成功を収め、System/360で集大成された以下の特徴の多くは、その後の各社メインフレームの特徴ともなった。メインフレームに限らず、1970年代中期以降のミニコンピュータや、1980年代中期以降のマイクロプロセッサも同様である。

汎用コンピュータ
従来はデータの移動や集計と十進計算を主とした商業的データ処理向けの機種と、科学技術計算など数値計算向けの「計算」機の、どちらかに偏らせた設計とするのが一般的で個々に設計されていたのを、両方を同時にまかなうことが可能な「汎用」コンピュータとした。
一貫したアーキテクチャ
従来は前述のように命令セットがモデルごとにまちまちであったのを、汎用として統一することで一貫した命令セットアーキテクチャによるコンピュータとし、ソフトウェアから見たハードウェアの仕様(CPUへの命令セット、I/Oへのチャネルコマンドワード (CCW) など)を一本化した。モデル間や世代間の互換性が確保された、単なる型番の連続ではない「シリーズ」が形成された。
オペレーティングシステム
アーキテクチャの統一により、メーカが多大な開発コストを掛けてでも汎用OSを提供する意義ができ、OS/360が開発された。なお「多大な」は予想以上となり、発表後にはおおむね順調にリリースされたSystem/360の各モデルのハードウェアと異なり、OS/360の開発の苦難はソフトウェア開発に関する『人月の神話』という書籍に残されている。

アーキテクチャの統一によりSystem/360が大ヒット機として普及し、メインフレームの標準となったことで、IBM互換の周辺機器を開発して商売とする企業や、さらには本体までも互換(プラグコンパチブル)機があらわれることになった。System/360の基本アーキテクチャは現在のSystem zシリーズにも受け継がれており、System/360用の24ビットのコード(実行モジュール)は最新のSystem zハードウェア上でも修正せずに動作させることができる(バイナリ互換、ただし近年はファームウェアによる仮想化が間に入っている)。

全盛期( – 1980年代)[編集]

IBMの競合会社は次々とコンピュータ事業の撤退・縮小に追い込まれたため、IBMは司法省と独占禁止法訴訟を続ける事になる。IBMは当初「顧客に製品ではなくソリューション(サービス)を提供する」ためにレンタルのみでの提供を行っていたが、独占禁止法の訴訟を緩和するため、OS(MVSなど)の有料化、更にはリース・買取政策を進めていく。

またSystem/360後継のSystem/370、更には 1981年のSystem/370-XA (eXtended Architecture) では、主要機能を著作権で保護したため、IBMへの独占批判は強まった。

「7人の小人」からGEとRCAが脱落すると、残るバローズ(Burroughs), ユニバック(UNIVAC), NCR, CDC, ハネウェル(Honeywell)の各社は”The BUNCH”(束)と呼ばれるようになった。また、System/360を開発したアムダールは、IBMを退職して富士通の援助も受け、IBM互換機(System/370 プラグコンパチブル)を開発するようになる(IBMのオペレーティングシステムを動かすため、ハードウェア互換と呼ばれる)。

米国以外で特筆すべき製造業者としては、ドイツのシーメンスとテレフンケン、イギリスのICL (現: Fujitsu Services Holdings PLC)、ソビエト連邦のラジオ産業省BESMなどのIBM互換機がある。

競争の激化に伴って1980年代初頭から市場の再編成が始まった。RCAはユニバックの親会社であるスペリーに、GEはハネウェルに売却してそれぞれコンピュータ事業から撤退した。
1986年、ユニバックはバロースと合併してユニシス(Unisys Corporation)となった。1991年、AT&TはNCRを実質的に所有することとなった。ハネウェルはフランスのブル(現:アトス)に売却された。

1981年にはレーガン政権のもと、米国司法省がIBM独禁法裁判を断念し起訴を取り下げた。

日本上陸( – 1980年代)[編集]

横浜市役所に設置された、日本電気 NEAC-2200 Model 200(2セット)

日本は、通商産業省(当時)を中心に外資規制と多額の補助金、そして行政指導により国産コンピュータへの誘導をおこなっていたため、最後までIBMがメインフレームを独占できなかった国である。日本以外ではメインフレーム・メーカーはIBM(およびユニシス・Bull)しか存在しないといっても過言ではない。

1950年代より、日本の電機・通信の大メーカーの一部が、それぞれコンピュータを開発していたが、徐々に海外と技術提携を進めることになる。

1961年 日立製作所はRCAと技術提携し、1964年にはRCAのSystem/360互換機をベースにしたHITAC8000シリーズを発売した。また、同64年のHITAC5020は、独自開発による。

1962年 日本電気はハネウェルと技術提携し、1964年にはハネウェルのH200シリーズをノックダウン生産したNEACシリーズ2200を発売した。

1964年 この年の4月、IBMがSystem/360を発表。東芝はGEと技術提携し、1970年にはGE-600シリーズの技術を導入したTOSBAC-5600シリーズを発売した。同64年10月に松下がコンピュータから撤退する。

1970年 これまで独自路線を通してきた富士通が、IBMを退社したジーン・アムダールが設立したアムダールと提携し、IBM互換機路線に転換した。なお同年には大手のGEがコンピュータから撤退し、IBMの「一人勝ち」状態は国内でも「脅威」として伝えられた。

1973年には米国からの圧力などでコンピュータの輸入自由化が決定されたが、それを前に通商産業省は、当時の国内コンピュータメーカーの体力ではIBMをはじめとする海外メーカーに日本市場を席巻され打撃を受けるとして、当時6社あったコンピュータ業界の再編に乗り出した。

1972年 通商産業省は、富士通と日立製作所、東芝と日本電気、三菱電機と沖電気工業の3グループにまとめ、技術研究組合を作らせて5年間にわたって補助金を支給し、各社に「IBM対抗機」の開発に当たらせた。富士通と日立製作所はIBMのSystem/370の互換機を担当した(FACOM Mシリーズ、HITAC Mシリーズ。2000年までMVS系OSの動作を保証していた。両社の両シリーズの「M」は通産省 (MITI)の指導で始まったことに由来する)。東芝と日本電気はハネウェルと提携し、GCOS系であるACOSシリーズを開発した。日本電気はIBM互換路線を採らなかった。

6社がこの3グループとなった理由は以下とされる。上述のように日立製作所はRCAと、富士通はアムダールと技術提携してIBM互換機を開発していた。また東芝はGEと、日本電気はハネウェルと技術提携していたが、GEは1970年に撤退して商用コンピュータ部門をハネウェルに売却していたため、系統の差はあるがいずれもGCOS系を開発していた。そして残った三菱電機と沖電気が組み合わされた。

1981年にはIBMが発表した3081-K (System/370-XA) の技術情報をめぐり、1982年にIBM産業スパイ事件が発生し、日立製作所と三菱電機の社員が逮捕され、更に富士通も交渉の当事者となる。後に当訴訟は和解となった。

その後、日立製作所はIBMとの提携路線に転じてIBM互換路線を継続、富士通はIBM対決路線を徹底して以後の互換性確保は限定的となり、日本電気はACOSシリーズを継続しながら開発の比重をオープンシステムに移し、三菱電機は一時はIBMよりOEM供給を受けたが後に撤退、また沖電気工業と東芝は撤退した。

ダウンサイジングの波(1990年代)[編集]

1990年代になると、WindowsやUNIXなどのオープンシステムの価格性能比が向上し、クライアントサーバモデル (C/S) というシステム構成や、グラフィカルユーザインタフェース (GUI) に代表されるユーザインタフェース、NetBIOSやTCP/IPなどの通信プロトコルの普及と相まって、ダウンサイジングが世界的に発生する。

メインフレームは「レガシー」「滅び行く恐竜」と称され、IBMなどの殿様商売的な経営手法(顧客実情を無視した箱売り、市場に合わない一方的な契約条項など)もあり、各社メインフレームの収益は急速に悪化した。これらの影響は当時多数存在したメインフレーム専用のアプリケーションを開発する中小ソフトウェア会社にも及び、性能が向上し実用品となったパソコン向けソフトとして自社製品の一部機能を移植したり、中にはフロム・ソフトウェアのように業界自体に見切りをつけてゲーム開発に鞍替えする会社まで現れた。

この時期に各社は以下の対応を行った(→ オープン対応も参照)。

  • IBMはメインフレームを「オープン・メインフレーム・サーバ」と称し、CPUのCMOS化、64ビット化、オープン要素の取り込み、更にLinuxサポートを行った。
  • 富士通はメインフレームを既存業務用とし、CPUのCMOS化や性能向上は行う半面、64ビット化やLinux対応など大幅な拡張は停止した。
  • 日立製作所はIBMと技術提携を続け、CPUのCMOS化、64ビット化を行った。一時はLinux対応も公開していた。
  • 日本電気はメインフレームを既存業務用とし、小規模用のACOS-4はItanium 2に、ACOS-2はXeonに移行し、Windows Server等も同時稼働可能にした。
  • ユニシスは、UNIVAC系とバロース系の2系統のメインフレームを継続しながらも、WindowsやLinuxを同時稼動可能にした。

メインフレームの再評価(2000年代)[編集]

ダウンサイジングにより絶滅するかと思われた[要出典]メインフレームだが、特に日本では[要出典]現在でも大規模な企業・組織で使われ続けている。

  • 特性上、基幹業務での安定性・信頼性はオープンシステムより優れている。特にメインフレームが得意とするバックエンドのデータベーストランザクション処理は増加傾向にある。
  • クローズドな特性もセキュリティやデータ整合性には、かえって好ましい。
  • コスト面で価格性能比が向上し、導入後の保守運用 (TCO) を考慮すれば安価である。

2000年代に入ると、大規模で安定した巨大サーバが見直された。

  • インターネットによって処理形態が変化し、クライアント(PCなど)からブラウザの先(サーバ)に移動した。
  • サーバーの乱立などダウンサイジングの弊害から、大規模な企業・組織ではサーバー統合や仮想化が進められるようになった。仮想化はメインフレームから始まった技術である。

メーカーも方針を転換している。富士通は2005年頃からラインアップの拡充とWebサーバ機能を強化したGSシリーズを投入した。GSはGlobal Serverの略称で、「巨大Webサーバとしてのメインフレーム」を念頭に置いた製品であることを示している。

しかし台数ベースや金額ベースで見た場合、メインフレームは減少し続けている。仮想化を含むサーバ統合によって、台数が減少した。価格性能比の向上で、金額が減少したと解釈することも出来るが、「メインフレームの復権」かどうかはハッキリしない。なお最近のIBMの発表は出荷MIPS数比での発表が多い。

コスト面でも、未だに風当たりが強い。2003年、自由民主党の「e-Japan重点計画特命委員会」は政府に『電子政府及びCIO連絡会議に関する申入れ』を行った[10]。官公庁はメインフレームを使用したレガシーシステムに年間7000億円をつぎ込んでいた[11]。メインフレームを使用したレガシーシステムは随意契約の無駄もあり、1件当たりの年間平均コストは約170億円に及んだ。メインフレームを使用しない場合(約37億円)の約5倍であった[12]。またクラウドコンピューティングにおいても、Amazonやgoogleなどは市販のパソコンを並列化して安価な巨大サーバを構築し、エラー忘却型コンピューティングを実践している。それに対して日本は頑強なサーバーと高価なミドルウエアを使用している。2倍以上のコストという意見がある[13]

しかし実際問題として、PCサーバ並列化はリスク分散のメリットとは裏腹に1基のCPUがダウンすることで、ストレージの一部が参照できなくなったり、一部のタスクが丸ごと止まってしまい、結果として広範にトラブルが広がるというデメリットがあり、しかもCPUが過負荷に弱い。この為、用途やTCO、また保守性・信頼性で評価すれば、一概にメインフレームが高いと言えない。

2000年ごろは、メインフレーム大国である日本に対して厳しい視線が注がれていた。しかし、2004年ごろからメインフレームの見直しは世界的なものになり、IBMや富士通のMIPSベースでの出荷数が増加している中、逆に日本の官公庁などがPCサーバの不得手とするデータベース集中管理をPCサーバに移行するなど、逆転現象が発生している。

メインフレーム大国[編集]

日本はかつて世界有数の「メインフレーム大国」であった。2007年時点では、日本のサーバ市場の約4分の1を占め、欧米の2倍以上の金額が費やされていると言われていた[7]。JEITAの出荷自主統計参加会社の調査[14][15]を見ると、メインフレームは金額も構成比率も一貫して減少している。2011年現在は、市場の中心は1億円前後のメインフレームよりも100万円以下のIAサーバに移っている[16]

JEITA出荷自主統計参加会社の日本の出荷金額ベースの構成比率
1998年度 2002年度 2007年度 2011年度
メインフレーム 51%
8231億円
38%
3702億円
25%
1658億円
17%
603億円
UNIXサーバ 25% 41% 33% 28%
IAサーバ 9% 15% 38% 54%
独自OSサーバ他 15% 7% 4% 2%
統計参加会社の日本への出荷金額 1兆4710億円 9867億円 6701億円 3641億円
国内の推定出荷金額
(IDC Japan)
7731億円[17] 6364億円[18] 4691億円[19]

2017年現在、現存メーカーも世界6社中3社が日本企業(富士通・日立製作所・日本電気 (NEC))であるが、世界全体ではIBMが市場の80%を占有しており、日本メーカーの売上は国内が中心であり、三社合わせても世界シェア20%に届かない。金融機関および公共機関への出荷が多い(後述)。

メインフレームは長い歴史と複数のアーキテクチャを持ち、また専用のハードウェアと専用のソフトウェアが一体として設計・拡張される。一般的な特徴と傾向は、以下が挙げられる。

  • 各メーカー独自のハードウェア、OSなどを備える場合が多い(ただしオープン対応も進められている)
  • 複数業務の並行稼動性に優れている(I/Oを含めた平行稼働、ワークロード管理)
  • 特に大規模バッチ、大規模帳票出力業務などに強い(安定したスループット)
  • 各種の信頼性(徹底した冗長化、問題判別用の各種トレース、細かい単体FIXの迅速な提供など)
  • 販売価格、保守費用とも非常に高価(個別見積もり、リース利用が大半)
  • 筐体が大きい(過去には複数フロアー占有、CMOS空冷化以降はUNIXハイエンドと同規模)
  • 良くも悪くもベンダーへの依存度が高まりやすい(他社との単純比較は困難、詳細な運用情報のガイド等)

以下は主にIBM系(IBM、富士通、日立製作所)を中心に説明する。

CPU[編集]

マイクロプロセッサの時代以前は、メインフレームの「本体」と言うべき筐体がCentral Processing Unitすなわち「CPU」であった(そもそもそれが「メインフレーム」であるわけだが)。マイクロプロセッサが生まれた後も、性能上の理由から(マイクロプロセッサはMOS(初期以降はほぼCMOS)であり、メインフレームで使われていたTTLやECLに比べて遅い)メインフレームのCPUは複数チップから構成されていた(CMOSに比べて集積度が上げられないため)。

1980年代までは、そのため発熱も大きく、とくに上位モデルでは液冷(水冷)とする機が多かった。1990年代に各社ともCMOSマイクロプロセッサに移行し、同時に発熱量が下がったため空冷として低価格・小型化した。その余裕をマルチプロセッサ化に振り向けることで性能は保たれた。ECLを使用した最後に近いものとしては1999年日立のMP6000がある。2001年発表のAP8000ではCMOS化した。

現在は、独自仕様のマイクロプロセッサを複数(最大64個など)搭載するものが多い。

IBMのアーキテクチャでは、System/360は32ビット(アドレス24ビット)、System/370-XA 以後は32ビット(論理31ビット。1ビットは互換性のために使用)、z/Architecture 以後は64ビットである。

GE・ハネウェル系である日本電気のACOS-6系はワードマシンであり、独自アーキテクチャである。同社のACOS-4やBullのGCOS 8は、バイトマシンであり、仮想化技術を使用してItanium 2によるエミュレーションに移行した。またACOS-2はXeonに移行した。しかし2012年にはi-PX9800/A100を発表し、将来性や性能面から上位機種はItanium2から独自開発プロセッサの「NOAH-6」に戻った[20]

日本国内でも、メインフレームの需要が減少したことから、メインフレームの製造は減少しているが、日立 (AP8800E)と富士通 (GS21)は共に独自プロセッサによるメインフレームを続けている。前述のようにIA-64プロセッサによるエミュレーションに移行した日本電気も、上位機種で独自プロセッサを再開した(詳細は#メインフレームの再評価(2000年代)を参照)。なお日立は2000年に北米市場での新規営業を停止している[21]

ただし、日立とIBMのプロセッサは2001年の発表によれば共同開発である[22]

ユニシスの場合、大型機では独自のプロセッサを搭載している。中小型機では、Xeonを搭載し、OS2200系及びMCP系中型機ではLinuxベースのファームウェアによるエミュレーション、MCP系小型機ではWindows Server上で稼働するエミュレータ(MCPvm)によりそれぞれ独自OSを稼働させている。大型機・中型機の場合、コンソール制御用にオペレーション・サーバと呼ばれるXeon搭載のWindows Serverを搭載しており、また、Javaアプリケーション実行用に、JProcessorと呼ばれるXeon搭載のLinuxサーバを搭載可能である。

各社に共通して、メインフレームではCPUの性能は全体性能に比例するとは限らない。汎用マイクロプロセッサをほぼそのまま使用するIAサーバやUNIXサーバと異なり、チャネルなどの専用IOを多数搭載し、ファームウェアが性能に大きな比重を占める(使用頻度の高い命令群のファームウェア化、使用頻度の低下したファームウェア機能の削除など)ためである。

IBM System zでは、チャネル以外の専用プロセッサには、Linux専用プロセッサー (IFL: Integrated Facility for Linux)、Java専用プロセッサー (zAAP: System z Application Assist Processor)、DB 専用プロセッサー (zIIP: System z Integrated Information Processor) などがある。これらのプロセッサを使うことでCPUの負荷を低減できるとともに、ソフトウェアのライセンス料の低減も行うことができる。

I/O[編集]

チャネルと呼ばれるI/O専用プロセッサを多数(モデルにより最大1024個など)搭載できる。チャネルはI/Oに伴うCPUの負荷を軽減する。オープン系で一般的なインテリジェントな外部バスと異なり、接続経路が高負荷(ビジー)な場合には別経路を選択して使用する、I/Oの飛び越し(優先度の高いI/O要求が来た場合、既に実行中の他のI/Oに優先して結果を返す)などができる。

一般に「メインフレームのCPUは高速と思えないのに、高負荷時にも安定稼動して一定の応答時間も得られる」、「オープン系のCPUは高速なのに、負荷がある時点に達すると急速にスループットが低下する」などはI/Oの基本設計の違いによる場合が多い。これは、メインフレームの場合、I/Oの制御をOSから切り離し、上記の専用プロセッサに任せているためである。したがって、一つの重いI/O要求が発生しても、OSは併行してタスク処理を進めるので、著しいレスポンスの低下を回避できる。これに対し、オープン系は、I/O要求が発生するとWIO (Wait I/O) 状態となり、CPU側でビジー状態ではないにもかかわらず、資源が使えなくなる事がある。よって、高速CPUを用いても、I/O処理が重い、高負荷等の事象が重なると必然的にレスポンス低下に至る。以前はメインフレームも似たような方式であったが、1980年代頃より現在の制御方式となり、I/O処理の部分がさらに強化された。なお現在のIBMメインフレームでは、各チャネルの内部的には複数のPOWER系プロセッサが搭載されている。

また周辺機器との物理接続は、昔は同軸が主流だったが、現在はファイバー(FICON・ファイバーチャネル・FIBARCなど)が主流である。同軸ケーブルの場合、接続上の制約(パラレル転送による制限長)やケーブリング自体の負荷(1つのチャネルに直径3 – 4cmの同軸ケーブル2本の敷設が必要)など、インフラ面での設計が容易ではなかったが、FICON以降、軽減されている。

クラスタリング[編集]

メインフレームでは複数のOSが同一の磁気ディスク装置を共有(シェア)する事は一般的であり、整合性を保つためのキャッシュやロックなどの排他制御は、OSレベルで実現している(IBM IRLM・並列シスプレックスなど)。

更にミドルウェアのクラスタリング機能 (IBM XRFなど)を組み合わせた場合は、障害発生時にディスクやプロセスの引継ぎをする事なく、待機系(アクティブスタンバイ)が瞬時に処理を引き継ぎ、ユーザには瞬間的な業務停止も見せない、更には障害機で処理中であったトランザクションも、TPモニタのログから可能な限り復元し引き継ぐ事ができる。

これらの機能は1980年代には一般的で、2008年現在でも多数の金融機関などで使用されている。

OS[編集]

メインフレームでは各社の複数の独自OSに加え、一部はオープン系のOSも同時稼働できる。

IBM系(IBM、富士通、日立製作所)の主流OSは、歴史的にはバッチ処理主体で始まり、複数アドレス空間、I/O割込ベースのマルチタスク、ジョブ制御言語によるプログラマーとオペレータの分離などを持つ。更にオンライン・リアルタイム処理のためのタイムシェアリング、トランザクション処理を構築した。各社OSとも大規模用と中小規模用の流れがあり、コマンドやジョブ制御言語の構文などが異なる。「メインフレームのOS」と言うとこれらを指す場合が多い。

IBM系では以上の主流OSの他、仮想化用、特殊用途用、UNIXやLinuxなどのオープン系OSもある。

日本電気のACOSとBullのGCOSは、歴史的にMulticsの流れを汲み、最初からオンライン(タイムシェアリング)とバッチ処理を行い、UNIXのような階層化ファイルシステムを持つ。

なおオープン系OSの稼働方法には以下があり、サーバ統合のレベルや、サポートされるアプリケーションに相違がある。

  • オープン系OSをメインフレーム専用CPUに移植する (IBM Linux on System zなど)
  • 専用OS用の専用CPUとは別に、オープン系OS用のCPUを搭載する(ユニシス ClearPathなど)
  • オープン系OS用のCPUに、専用OSを移植する(日本電気 ACOS-4, ACOS-2, Bull GCOS 8など)

仮想化[編集]

IBM系(IBM・富士通・日立製作所)では、以下の組み合わせでOSを同時稼動させる事ができる。

  • 物理分割(物理パーティション (PPAR) ごとに、OSを稼動できる)
  • 論理分割(論理パーティション (LPAR) ごとに、OSを稼動でき、割当資源を動的に変更できる)
  • ソフトウェア分割(専用の仮想化用OSを使用し、仮想機械上でOSを稼動でき、割当資源を動的に変更できる)

IBMの場合は、いずれの場合でも専用OS (z/OS, z/VSE, z/TPF) およびLinux for System z が同時稼動できる。(Linux だけを多数稼動させても良い)。

ユニシス (ClearPath Server シリーズ)では、最大8パーティションに分割できる(IBM系の物理分割に相当すると思われる[独自研究?])。

オープン対応[編集]

1990年代に各社とも、イーサネット・TCP/IP・各種の連携機能などには対応しているが、オープン系のOS (UNIX, Linux, Windows) そのものを稼動させる方法は、各社で相違がある。大別して外資系(IBM・Bull・ユニシス)は積極的で、国産各社は消極的と言える。

IBMはOS/390以後は専用OSでもUNIX互換環境 (USS) を標準とし、更にLinuxはネイティブ(専用OSを全く使用しない)でも稼動できる。

富士通は、PRIMEQUEST・PRIMEFORCE等で同一筐体にIA/UNIXサーバ (Solaris, Windows Server等)を搭載できる。

日立製作所は一時Linux for MP Seriesを出したが現在出荷はされておらず、現状ほとんどの環境で上位シリーズ (VOS3系)では下位シリーズ (VOS1, VOSK系)ともに、オープン系のOSは稼動しない。

日本電気は各シリーズ (ACOS-6, ACOS-4, ACOS-2系)ともオープン系のOSは稼動しないが、仮想化技術を使用してACOS-4はItanium2に、ACOS-2はXeonに移行した。

Bullは NovaScale 9000 (Itanium2) で、独自OS (GCOS 8) の他、Linux・Windows Serverも稼動できる。

ユニシスは ClearPath Server(独自CPUおよびXeon)で、独自OS (OS2200またはMCP)と、Linux・Windows Serverも稼動できる。

なお、同一筐体であってもオープン系OSをネイティブで稼動する場合は、メインフレームの利点はハードウェア面の信頼性や仮想化などになり、ソフトウェア面(専用OS)の利点・特徴は無くなる。

セキュリティ[編集]

メインフレーム(ハードウェアおよび専用OS)のセキュリティは、最初から企業などの大規模組織での使用を考慮した、基本設計によるものが大きい。

  • ユーザーやプログラムは、自分以外のアドレス空間は原則アクセス不可能。(ハードウェアでフラグを持っている。他に起動しているアドレス空間(プロセス)を知る事も不可能。アドレス空間同士の連携はCSAなどメモリ上のデータ域か、SSIなど極めて特殊な権限事前登録後の特定アドレス間のみ。)
  • ユーザーやプログラムは、自分用に指定された磁気ディスク装置以外は、原則アクセス不可能。(ジョブ制御言語 (JCL) で指定されたデータセット以外は存在を知る事も不可能。動的割当(ダイナミック・アロケーション)も基本的には同様。)
  • システムの権限が分散されている。(OS管理ユーザ、データ管理ユーザなどが別々に設定できる。オープン系のようなスーパーユーザは存在しない。いわゆるセキュアOS。)
  • 運用上もプログラマとオペレータは分離されている場合が多い。(プログラマはOSのコマンドは使わない、オペレータはプログラムを書くことはない)
  • ソフトウェアからマイクロコードにアクセスする事はできない。
  • 論理パーティション (LPAR) 間のTCP/IP通信を仮想化した場合、メモリ間となり筐体外に出ない。

オープン系では通常、ネットワーク経由で進入後、脆弱性を攻撃しスーパーユーザに昇格さえできれば、そのコンピュータは完全に支配下に置ける。メインフレームの場合は、仮に同様の攻撃に成功しても、1アドレス空間しか支配できず、他のアドレス空間や他のデータセットへの読み書きもできず、システム全体の管理ユーザーにもなれない。

なお、過去には以下も要因であったが、メインフレーム固有とは言えない。

  • 施錠されたマシンルームに保管され入室が厳しくチェックされていた。
  • ネットワーク回線は専用線を基本とした。(公衆回線は避けられた)
  • ネットワークプロトコルが独自で、各セッション単位で集中管理でき、常時監視(ポーリング)されていた。

また「メインフレームのセキュリティが高いのは、数が少なく標的とした攻撃やウイルスが少ないため」という説明が広くされているが、メインフレームには世界中の銀行・政府・軍事情報が格納されていることを考えると妥当ではない。

ただし、上記は全て専用OSの場合であり、UNIXやLinux, Windowsをネイティブで稼働した場合は、OSレベルのセキュリティは、そのOSのレベルとなる。

プログラミング言語[編集]

メインフレーム上で使われている主なプログラミング言語には、当初からの各アーキテクチャ用のアセンブリ言語に加え、伝統的な高級言語であるCOBOLやFORTRANやPL/I、およびC言語・C++・Javaや、各ベンダー独自の4GLなどがある。

メインフレームでは同一アークテクチャ内のCPU命令セットや入出力命令の上位互換が厳密に維持されている場合が多いため、アセンブリ言語は制御系や特に性能を重視する個所などに2010年現在でも使われ続けている。高級言語は普及時期がメインフレーム全盛期と重なった事もあり、商用計算ではCOBOL、科学技術計算ではFORTRANが2010年現在でも広く使われている。なおIBMは1980年代のSAA CPIではCOBOL・FORTRAN・C言語を採用したが、メインフレームではPL/Iを併用し続け、1990年代後半からはJavaも推進している。富士通・NEC・日立などでは伝統的なCOBOLやFORTRANを中核とし、C言語やJavaなどを併用している。

性能[編集]

メインフレームはI/Oを含めた平行稼働やワークロード管理により複数業務の並行稼動性に優れている。スループットが安定しているので、大規模バッチ、大規模帳票出力業務などに強い。

メインフレームのスピードはベンチマーク値で表される事が多い。歴史的にはMIPS (million instructions per second) で計測されてきた。MIPSはメインフレームの性能を簡単に比較できる。IBMのメインフレームzSeriesの性能は約26MIPS (z890 Model 110) から20000MIPS以上 (z9-109 Model S54) とされている。

しかし、MIPSは誤解を与える指標である。命令そのものの粒度が異なるため、プロセッサのアーキテクチャの変遷に伴って、MIPSが本来持っていた実行命令数という意味は失われている。MIPSは技術的には意味はなく、単に昔のマシンとの性能比較の目安となっているにすぎない。このためIBMはメインフレームに数種類の負荷をかけて計測するLSPR (Large System Performance Reference) レシオを公表している。

同様のことがUNIXサーバでも見受けられる。顧客は用途に合ったタイプのベンチマークで性能を比較するようになってきた。例えばSPECintやTPC-Cなどである。もっとも、それらのベンチマークも全く問題がないわけではない。顧客が自分のシステムにどういったタイプの負荷がかかるのかを分析することは非常に難しく、結果として単にLSPRの値などを使う事になる。そういった意味でMIPSの使い道は残り、IBMや他のコンサルタントはMIPSを公表し続けている。

2005年(平成17年)の調査によると利用別のシェアにおいて、基幹業務では「汎用機とオフコンが依然7割近く」使われている[23]。特にメインフレームは高い信頼性や大量のトランザクション処理が求められるシステムで使用されている。

  • 企業、官庁、自治体などの基幹業務システム
  • 自治体(市町村)基幹業務システム
    • 住民基本台帳システム
    • 税務システム
    • 内部管理システム
  • 装置産業である銀行など大手金融機関(いわゆる、勘定系システムを中心とする「基幹系システム」とも称する計算機群)
  • コンビニエンスストアなどのオンライン業務のDBサーバ
  • 交通機関の座席予約システム(CRSやマルスなど)のような、大量のトランザクションの高速処理
  • 大手自動車メーカーの世界規模の部品表管理システム(メインフレームにLinuxを搭載)
  • 航空路管制システム(特に高い信頼性・性能が必要なため、TPFなど特殊なOSを使用している)

日本の産業別の出荷傾向では[14]、トップは一貫して公共機関で、1998年度から2007年度の平均は37%。なお金融機関の平均は19%である。

出荷金額ベースの公共機関の構成比率
1998年度 2002年度 2007年度
国家公務・政府関係機関 2298億円 1029億円 517億円
地方公務 748億円 600億円 220億円
構成比率 41% 44% 45%

メインフレームとオープン系[編集]

メインフレームからオープン系へ移行することもある。

メインフレームとオープン系の違い[編集]

メインフレーム(正確にはメインフレーム用の専用OS)で稼動しているシステム(業務・プログラム・運用)をオープン系 (Windows・UNIX・Linux等)に移行する場合は、特に以下に考慮する必要がある。単純にコンバージョンできるシステムもあるが、多少とも複雑なのものは、システム構築(設計)時の背景にある、「文化の違い」を把握し、ユーザーに十分説明し、場合によっては割り切りや、マイグレーション断念(メインフレーム継続使用の方が望ましい)などの場合もある。

ただし、以下の考慮点はあくまで商用における一般的な傾向であり、個々のシステムでは限らない。

  • 主な言語の相違
    • オープン系は、伝統的にC言語・Java・各種シェルなどが多い。
    • メインフレームでは、伝統的にアセンブリ言語・COBOL・PL/Iなどが多い。またJCLはシェルと異なり必須であり、論理(プログラム)と物理(オペレータ)を分離している。このため単純コンバージョンすると運用と乖離する場合がある。
  • データ格納文化の相違
    • オープン系は伝統的に、単純なデータはファイルに、重要なデータは関係データベース管理システム (RDBMS) に格納し加工する傾向が強い。
    • メインフレームは伝統的に、データはデータセットやVSAMなどに格納して加工後、必要最小限の箇所のみ階層型DBMSまたはRDBMSにロードする傾向が強い。
  • バッチ文化の相違
    • オープン系は伝統的に、オンラインを中心とし、大規模なバッチは組まない傾向が強い。
    • メインフレームは伝統的に、オンラインシステムであっても夜間などの大規模なバッチが多く、先行関係も複雑な傾向が強い。
  • 多重度の相違
    • オープン系は伝統的に、応答速度重視のため、ある処理(業務・バッチ・プログラム)の負荷が高くなると、その処理に全力(CPUなどのリソース)をかけてしまう。このため負荷分散・安定稼動のため「サーバ乱立」に陥る傾向がある。ワークロード分散などのツールもあるが、広く使われているとは言いがたく、またジョブまたはトランザクション投入単位でしかない場合が多い。
    • メインフレームは伝統的に、1台にて多数の処理(業務・バッチ・プログラム)を並行稼動させるよう設計されている。常駐プログラム間やバッチ間で細かいリソース優先順位設定ができ、I/Oも並行稼動性が高い(大量データ転送の際のCPU負荷が少ない)。このため並行稼動・安定稼動・スループットの実績が高いが、逆に1処理当たりの応答速度は遅い場合が多い。
    • 多数の処理が並行稼動しているメインフレームを単純に1台の高速サーバに移行する場合は、特に注意する必要がある。逆に、処理ごとにサーバを分けて回避すると、月次処理など特定処理のピーク時に全サーバのリソースを集約できずにボトルネックとなる場合もある。
  • 運用文化の相違
    • オープン系は伝統的に、起動したまま、あるいは定期的な単純な保守(FIX・バックアップ・リブート)の場合が多い。
    • メインフレームは伝統的に、定型化された運用手順書による専任オペレーターによる工場的な運用(プログラマーやシステムエンジニアは操作が禁止されている)が多い。
  • セキュアOS
    • オープン系は歴史的にセキュアOSではない。管理者権限を奪われるとシステムのコントロールを掌握されるため、各種の設定・ツールでハードニングを行い、更には最初からセキュアOS(SELinuxなど)を検討する必要がある。
    • メインフレームは伝統的に、最初からセキュアOSで権限分散を前提に設計・構築・運用がされている。(逆に、本当に全ての場合で必要かはあるが)
  • ベンダー側のOS保守文化の相違
    • オープン系(特にWindows)は伝統的に、製品障害(不具合)にはFixPackや次回バージョンアップで対応する場合が多い。
    • メインフレームは伝統的に、製品障害(不具合)には単体FIXで対応する場合が多く、大量のFIXの前提(先行関係)を把握するために大規模システム(ユーザ)には専任の技術者を置いている場合もある。
    • 従って、メインフレームではレベル管理が非常に大変な反面、製品障害(不具合)が単体FIX(最低限の修正)で修正できる場合も多いので、重点的な確認テスト(および副作用発生時の単体でのFIX戻し)が可能となり、業務確認を含めた保守工数が最小で済む場合がある。(同様の事はオープン系でも可能な筈だが[独自研究?]、ベンダーの対応レベルには差があるのも事実)

メインフレームとオープン系のデータ交換[編集]

メインフレーム(特に専用OS)とオープン系 (Windows, UNIX, Linuxなど)、または異なるアーキテクチャのメインフレーム同士のデータ交換での考慮点には以下などがある。

  • 主な文字コード
    • オープン系はASCII・EUCなど。
    • メインフレームは、例えばIBM及びIBM互換機(富士通・日立製作所)並びにACOS-4及びACOS-2はEBCDIC。
    • ただし、SBCSだけならば簡単な変換テーブルで容易に変換可能である(FTPのオプション、iconvコマンド、FederationなどのDBMS機能など)。
    • またUNICODEや、UNICODEを内部使用するJava、一部メインフレームOSのUNIX互換環境、メインフレーム上のLinuxなどによってもハードルは下がっている。
  • 主な漢字コード
    • MS-DOS (Windows)は、レガシー的にはシフトJISによるSBCS/DBCS(日本では)。近年ではUTF-8N。
    • メインフレームは、JIS漢字コードが基本だが、IBMはIBM漢字コード、富士通はJEF、NECはJIPS、ユニシスはLETS-JとJBIS など細部(ベンダー拡張部分)が異なり、更に年度や外字などの相違もある。またJIS漢字コードの特徴である、SBCS/DBCS混在を可能とする制御コード (SO/SI = Shift-Out/Shift-In) が必要なため、この付加・削除、更にはそれにより発生しうる桁数の変動(画面/帳票レイアウトへの影響)までも考慮する必要がある。
    • ただし、JIS第一水準・第二水準などの基本的な日本語 (DBCS) は、上記の制御コードさえ考慮すれば、ツールで容易に変換できる(FTPのオプション、iconvコマンド、FederationなどのDBMSの機能など)。
    • またUNICODEや、UNICODEを内部使用するJava、一部メインフレームOSのUNIX互換環境、メインフレーム上のLinuxなどによってもハードルは下がっている。
  • 主なファイルシステム
  • 主なファイルの構造(簡単なテキストのみの場合)
    • 通常のオープン系は、OSレベルでレコード属性が標準化されていないため、改行コードによりレコードを区別するデザインが一般的。更にCSVも多用する。
    • メインフレームは、OSレベルでファイル(データセット)ごとに「固定レコード長」属性を持って改行コードは使わないデザインが一般的。
    • このためレコードごとに改行コードを追加/削除する、末尾のブランクを削除/追加する、場合によっては複数レコードをまとめる、などの考慮が必要になる。
  • 主なテープ
    • 通常のオープン系は、簡単なバックアップはtarなどのコマンドでDDS/DAT72に、重要なデータのバックアップはツールを使用してLTOなどに保管する場合が多い。
    • メインフレームは、(TAPEとDISKの変更がJCLの指定だけでできるため)容量が大きいもの、使用頻度が低いものはテープ保管し、それを後続バッチで入力とする場合が多い。またテープには「SL (Standard Label)」「NL (No Label)」などのラベルを記入し、専用のカートリッジテープ (CMT/CGMT) やMTが使われることも多い。最近では、カートリッジテープの生産終了に伴い、メインフレームでもLTOに移行しつつある。

現存するもの[編集]

現存する各社の主なメインフレームとその系譜は以下の通りである。

過去に存在したもの[編集]

過去に存在した主なメインフレームには以下がある(観点によってはメインフレームと呼ばれないものも一部含む)。

メーカー 製品名 OS 備考
IBM 701、702、704、709、7030、7090 S/360以前のメインフレーム
富士通 FACOM 230シリーズ Mシリーズ(日立製作所と共同開発)以前のメインフレーム
FACOM Mシリーズ(IBM S/370互換、日立製作所と共同開発)[26] UTS/M → UXP/M[26] UNIX系。OSはスーパーコンピューター用のUXP/V[26]、ワークステーション用のUXP/DSに引き継がれたが、その後、サン・マイクロシステムズのSolarisに移行した。
日立製作所 HITAC 3000/4000/5000 → 8000 Mシリーズ(富士通と共同開発)以前のメインフレーム。RCAと技術提携。8000はRCA系のIBM S/360互換機。
HITAC Mシリーズ(IBM S/370互換、富士通と共同開発) → AP8800/AP8000/AP7000 VOS1 中小型用(AP7000上ではCPUにPOWERを採用、エミュレーション動作となっている)
VOSK 中小型用(AP7000上ではCPUにPowerを採用、エミュレーション動作となっている)
HI-UX/M UNIX系
VMS → VMS/AS 仮想化用
日本電気 NEAC 2200 ハネウェルと技術提携
ACOS 600/700/800/900 → 1000/2000 → PX7900 ACOS-6 大規模用。GE → 東芝 → 日本電気。Multicsの流れを汲むワードマシン(9ビット = 1バイト、36ビット = 1ワード)。現在のCPUはCMOS独自仕様(NOAH)。
東芝 TOSBAC 2000/4000/5000 GEと技術提携
三菱電機 MELCOM 1530 → 3100 → 7000 → COSMO → EX800 UTS、他 TRWと技術提携。COSMOは沖電気との共同開発。
沖電気 COSMO UTS、他 三菱電機との共同開発
電電公社 DIPS 101 → 106 電電公社仕様にて富士通・日立製作所・NECが製造。1992年に開発終了。
RCA 601 → Spectra 70シリーズ TSOS IBM S/360互換機。日立製作所と技術提携
スペリー UNIVAC 90/60 → 9200/9300/9400 TSOS、VS/9 RCA系のIBM S/360互換機。
(旧ソビエト連邦) ES EVM (BESM) OS ES → OS EC 1960年代 – 1998年。冷戦時代に東側諸国で使用されたIBM S/360互換機。
アムダール Amdahl 470、58×0 IBM MVS 等 1975年発売のIBM S/370互換機(プラグコンパチブル、IBMのOSを稼動させる)。富士通経由でも販売。現在は開発終了。
アイテル (Itel) AS-4、AS-5、AS-6、AS-6000/7000/9000 IBM MVS等 IBM S/370互換機(プラグコンパチブル)。1977年に日立製作所と提携。AS-6は日立製作所 M-180ベース、AS-6000/7000/9000は日立製造。
マグナソン、ツーパイ、ナノデータ、シーアイテル IBM MVS等 1978年 – IBM S/370互換機(プラグコンパチブル)。
BASF、伊 Olivetti IBM MVS等 IBM S/370互換機(プラグコンパチブル)。日立製作所製造。
Siemens IBM MVS等 IBM S/370互換機(プラグコンパチブル)。富士通製造。
英 ICL (International Computers Ltd.)

その他[編集]

Platform Solutions Inc. (PSI)
米PSI社は1999年にアムダール社出身者などにより創立され、ItaniumベースのサーバーでIBMメインフレームをエミュレートし、IBMのOS (z/OS) を稼働させていた。2006年にIBMと相互に訴訟となった[27]が、2008年にはIBMに買収されSystem z事業部に統合された[28]
T3 Technologies
T3 Technologies社は1999年に創立された。上記のPSI社の技術を使用し、ItaniumベースのサーバーでIBMのOS (z/OS) を稼働させている。2009年に欧州でIBMに対し独禁法訴訟を起こした[29]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]