全日本仏教会 – Wikipedia

公益財団法人全日本仏教会(ぜんにほんぶっきょうかい)は、日本の伝統仏教諸宗派(2012年4月現在59宗派)によって合同で設立された伝統仏教を代表する財団法人。略称は「全仏」(ぜんぶつ)。「ぜんふつ」は誤読。仏旗および法輪をシンボルとして掲げる[1]

会長職は各派の管長が2年交代で務める。2020年9月現在の会長は浄土真宗本願寺派門主の大谷光淳[2]

1900年(明治33年)に設立された国家の宗教統制に反対して結成された「仏教懇話会」に淵源を持ち[3]、「大日本仏教会」「日本仏教連合会」を経て[3]、1957年(昭和32年)友松円諦が中心となって再組織化し、財団法人全日本仏教会と改称[3]。2012年(平成24年)4月に公益財団法人となる[3]

2018年時点で、59の宗派、36の都道府県仏教会、10の各種仏教団体が加盟している[3]。日本の伝統仏教界を代表する唯一の総連合体である[3]。加盟団体に所属する寺院・教会等は7万を超える[3]。日本仏教界を代表して世界仏教徒連盟に加盟している[3]ほか、神道・キリスト教・新宗教の連合体と日本宗教連盟を構成している[3]

その名称から、弁護士会と同様、日本の伝統仏教諸宗派・寺院全てが加盟していると思われがちだが、実際には全仏に加盟していない宗派・単立本山寺院も存在する(日蓮正宗など)。一方で、仏教系新宗教である念法眞教、孝道教団、本門佛立宗が全仏に加盟している。また、国柱会や日本山妙法寺大僧伽など、全仏を脱退した団体も存在する。

町田発言[編集]

1979年(昭和54年)に世界宗教者平和会議で、全日本仏教会理事長の町田宗夫(曹洞宗宗務総長当時)が「日本には部落差別はない」と発言(町田発言)した事がきっかけで、宗教界に対する強い糾弾が行われ、これが引き金となり、2年後の1981年に同和問題にとりくむ宗教教団連帯会議(同宗連)が結成された[4]。1985年に、天台宗延暦寺において同宗連の第9回同和研修会が行われ前述の町田宗夫が基調講演を行った事を全国仏教会の機関誌「全仏」が伝えている[5]。これによれば、部落解放同盟による糾弾会は5回行われ、それによって「自らの真摯な懺悔を根幹として、同和問題への取り組みへの姿勢を切々と語った」「同和問題の解決こそが我々宗教者の真の使命」と述べた。

組織図[編集]

公式ホームページで確認できる組織図は以下の通り。巨大組織であるが故に複雑な構造となっている。なお、団体では「機構図」と呼んでいる[6]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

副会長

 

WFB日本センター

 

 

評議員会

 

評議員選定委員会

 

 

 

 

 

 

宗派代議員会議

 

 

 

理事会

 

監事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都道府県仏教会
仏教団体代議員会議

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総務財政審議会
社会人権審議会
国際交流審議会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事務総局
関西支部

 

 

宗教教育推進委員会

 

事務総局[編集]

  • 総務部
  • 財務部
  • 広報文化部
  • 社会人権部
  • 国際部
  • 関西支局

諮問委員会[編集]

  • 総務財政審議会
  • 社会人権審議会
  • 国際交流審議会

加盟団体[編集]

計106団体(平成30年11月現在)

歴代会長[編集]

イオンとの軋轢[編集]

イオンが2010年(平成22年)、イオンクレジットサービスが手がける葬儀紹介サービスにて「布施の価格目安」を打ち出したところ、全日本仏教会が「戒名や布施に定価はない。企業による宗教行為への介入だ」と反発した。しかし8宗派、全国約600の寺院の協力が得られることになった。今後、これが『定価』として一人歩きしてしまうことも懸念されているが、消費者の立場からすれば「明瞭な布施価格の明示」は、ありがたいとの声もある[7][8]

宗派・寺院の協力が得られた背景として、イオンの葬儀サービスは決して低額ではなく、むしろ多くの寺院・僧侶にとっては、イオンを経由した方が寺院収入の増加につながるという背景がある[9]

僧侶派遣についての軋轢[編集]

Amazon.co.jpでは、2015年(平成27年)12月から、葬儀会社紹介サイトである「みんれび」が提供する、法事の僧侶派遣サービス「お坊さん便」を掲載するようになったが、これに対して、全日本仏教会が、宗教行為を商品化しているなどとして、アメリカ合衆国のAmazon.comに対し、ウェブサイトの掲載中止を申し入れることになった[10]

宗教行為の商品化によって、宗教法人への租税優遇の根拠が揺らぎかねないと、仏教会側が懸念していることが背景にある[11]。2016年(平成28年)4月、アマゾンから「お坊さん便の中止に応じない」との回答があったと報じられた[12]。その後、2019年に全日本仏教会とよりそう(旧:みんれび)が会談し、双方合意の上で2019年10月によりそうはAmazon.co.jpへの掲載をとりやめた(サービスそのものは自社サイトにて継続している)[13]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]