ボーダーフリー – Wikipedia

ボーダーフリー (border free) とは、河合塾の入試難易予想ランキング表で定められた、入学学力試験をそもそも設けていない、または入学希望の受験者数不足で定員割れしている等で不合格者が皆無又は僅かであることで合格率50%となるボーダーがどの偏差値帯においても存在しないために偏差値を計算することが出来ない大学の総称である[1]。特に1990年代初頭以降に安易に設置が認可されて新設された私立大学・短大に多い。2015年時点で私立大学の43%である250校が定員割れしている。

ここから派生し、低偏差値大学の蔑称としてFランク大学(Fランク、Fラン[2])という言葉が生まれた。更に、インターネット上のマウントの意味で同年代学力平均を越えている偏差値の中堅大学や低偏差値の国公立大学に対しても使う者までもいるが誤用である[3][4][5][6][7][8][9]。大学偏差値帯別奨学金返済滞納率統計からボーダーフリー卒業生は延滞率が高いこと、貸与型奨学金がFランク大学の経営を支えていること、貸与型奨学金を受給してまで通うことへは返済不履行から懸念が示されている[10][5][6][7][11]。英語圈では「ミッキーマウス[12]学位」(Mickey Mouse degrees)と呼ばれる。

2007年時点で高卒後の専門を含む教育機関への進学率は76.3%、大学への進学率は47.2%であった。1990年の大学への進学率は24.6%であり、20年程で約2倍も上昇したが、

こうした大学への進学者の急激な増加はかつての大学受験というフィルターを通すことで、全ての大卒した者というだけでは同年齢人口の中で平均を超える学力を持っていることを保証しなくなったことを意味する。1990年代初頭に浪人生の数が最大だったなど当時の大学への進学はそれだけ高い学力と学習にかける時間、さらには進学への強い学習意欲と意志が必要とされるものだった。大学進学が容易化して大卒資格の価値が落ちた背景には少子化なのに非専門的系大学設置を安易に多数認めたこと、外国人で補充や定員割れを何年も起こしてるところに閉鎖命令を出さないことにある[要出典]。2000年6月23日の週刊朝日によるとFランクの大学が全国の私立大学の4割を占めていて、2009年7月31日の朝日新聞によると私立大の46.5%・短期大学の69.1%が定員割れなので日本約半数の大学は学力が低くとも進学出来てしまう閉鎖命令を出すべき無駄な大学と指摘されている。週刊ポストは18歳人口がより多かった1985年に大学生185万人だったが、2009年には285万人と100万人も増えた。偏差値上位校の卒業生の内定率は90%以上で昔と変わっていない一方で、逆に中堅以上大学卒は昔に比べても就職難易度は変わっていないと報道している[4][13]

関連項目[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 入試難易予想ランキング表 | 志望校をさがす | 河合塾 Kei-Net”. www.keinet.ne.jp. 2022年1月15日閲覧。
  2. ^ Fラン大学で人生がハードモードに。教育格差は自力で解決できない/ひろゆき”. news.yahoo.co.jp. news.yahoo.co.jp. 2020年8月30日閲覧。
  3. ^ Fランク化する大学p13(小学館新書)音真司
  4. ^ a b 危ない大学・消える大学p23-26. 2008年、島野清志
  5. ^ a b ボーダーフリー大学における学生調査の意義と課題 広島大学
  6. ^ a b 奨学金が支える「Fランク大学」の葛藤と不安 1300万円のハンデを負って通う価値はあるか | 奨学金制度はどうあるべきか” (日本語). 東洋経済オンライン (2016年4月26日). 2022年1月15日閲覧。
  7. ^ a b 舞田敏彦博士 (2017年4月21日). “データえっせい: 大学タイプ別の奨学金利用率・延滞率”. データえっせい. 2022年1月15日閲覧。 “借りた奨学金をちゃんと返せるものなのか。同じく大学のタイプ別に,奨学金返済の延滞率を出してみましょう。むうう。こちらはきれいな傾向がありますね。国立よりも公立,私立大学の内部では,大よそランクが下がるほど,奨学金の延滞率が高くなっています。Aランクでは0.91%ですが,Fランクでは2.69%,およそ37人に1人です。率の水準は高くはないですが,こうも明瞭な傾向が見出されることに,ちょっと驚かされます。「奨学金が支えるFランク」,「Fランクは,ATMのあるパチンコ屋のようなもの」という論もありますが,的を得ている気がしないでもない……。
    http://toyokeizai.net/articles/-/114808

    大卒学歴が欲しいばかりに,奨学金という借金を背負って,無理をして入ってくる。卒業後,それが返せなくて人生が破たんする。こういう「死」のコースに若者を呼び込んでいるのだとしたら,果たして存在意義はあるのか。先述のように,私はこの手の大学で6年間教えましたが,教育機関として機能してない……。在学中にかけて,学生の覇気がなくなってくるように感じました。”

  8. ^ 「日東駒専・産近甲龍」22年度入試は“狭き門”か、中堅私大が人気の理由” (日本語). ダイヤモンド・オンライン (2021年11月15日). 2022年1月15日閲覧。
  9. ^ 九九が言えない学生も…大学のバカ化が凄いことに | 女子SPA!” (日本語). 女子SPA! (2016年2月8日). 2022年1月15日閲覧。
  10. ^ Fラン大学の学生、就活の敵は「学歴フィルター」だけではない | マネーポストWEBマネーポストWEB” (日本語). マネーポストWEB (2018年7月10日). 2022年1月15日閲覧。
  11. ^ まるで小学校? 低レベル学生を過剰に“おもてなし”するFラン大学の実態 | マネーポストWEBマネーポストWEB” (日本語). マネーポストWEB (2019年5月27日). 2022年1月15日閲覧。
  12. ^ 英辞郎 on the WEB”. eow.alc.co.jp. 2022年1月15日閲覧。 “〈米俗〉重要でない、ささいな、取るに足りない
    〈米俗〉〔科目・講座などが〕単位の取りやすい、〔学校の宿題や課題〕簡単な”
  13. ^ 大学生ホワイトカラー内定率悪化はFラン大学生数増えたから” (日本語). NEWSポストセブン. 2020年7月17日閲覧。