麺商人 – Wikipedia

麺商人 煮干し中華そば・きほん

麺商人(めんしょうにん)は、熊本県熊本市出水で青森県のご当地ラーメンである魚介出汁[1]津軽煮干ラーメンを提供しているラーメン店。2009年11月30日創業[2]。店主は古用(ふるもち)秀明[3]ミシュランガイド熊本・大分 2018特別版に掲載[4][5]

現在に至る経緯[編集]

津軽煮干ラーメン[編集]

津軽煮干しラーメンは、大きく2つの潮流がある[6]。1つは煮干しや焼干しを生かした澄んだ醤油スープが特徴の王道系[注 1]、もう1つが、濃厚魚介スープの濃厚煮干し系[注 2]である[6]

  • 王道系は、焼干しや煮干しから取った出汁のみの100%系と鶏ガラなど動物系と合わせた昔ながらのあっさり系がある[注 3]
  • 濃厚煮干し系は、トンコツ、鶏ガラを煮出して作る白湯に、煮干しをたっぷり効かせた濃厚出汁を合わせた濃い口ラーメンである[6]
この系統の主な店舗としては、濃厚煮干し系の源流で独自の味で30年以上ラーメンを提供しているたかはし中華そば店(弘前市)、煮干しのうまさを引き出すのが秀逸な長尾中華そば(青森市)、煮干しを丸ごと味わう濃厚煮干し系である自家製麺中華そばひらこ屋(青森市)などが挙げられる[6][注 5]

なお、津軽煮干ラーメンは、日本国内外に影響を与えている。五所川原市のラーメンテーマパーク津軽ラーメン街道に出店した東京の店が、煮干しラーメンに影響され、首都圏に持ち帰って注目されている。そのほか、青森の煮干しラーメンの影響を受けた店も出て来ている[注 6][1]

麺商人[編集]

麺商人は、熊本県熊本市出水で津軽煮干ラーメンを提供しているラーメン店である[2]

  • 場所は、通称出水ふれあい通り沿い、セブンイレブン熊本出水2丁目店向かい。店のサインは心生麺商人[注 7]。女性客が1人でも入ることができる(「男女比3:7」)ような落ちついたモダンな雰囲気の店内である[2]
  • 店主の古用秀明は、生まれは大阪府であるが、幼い頃に福岡県田川郡大任町に移住[3]、高校卒業後は大阪府に戻る。大阪府の中華料理店に就職し、7年間勤務。ラーメンが好きで将来的には店を開業したいと思っていた所、大阪では当時余り見かけなかった熊本ラーメンがメディアで紹介されていたことで刺激を受け訪熊。その際、その味等に魅了され移住[7]し、県内老舗ラーメン店で4年半修行[8]。その後、独立し、2009年11月30日[2]に創業[9]
  • 開業当初は、熊本ラーメン[注 8]の他、焼き飯、手作り餃子等を提供していた[2][8][7]
    • くまもと市電散策MAPで「炙りちゃーしゅーめんは肉質の柔らかい宮崎県産きな粉豚を使用。七輪で焼いたチャーシューは肉厚でなんとも香ばしい。濃厚なスープは、一切ラードを使用していないこだわりよう。」と紹介された[11]
    • フードジャーナリストのはんつ遠藤は、こがし黒マー油らーめんについて「…マー油の真っ黒なインパクトが楽しい。」「自慢の一杯は、マー油がどっぷりかかる。意外にも見た目とは違い、苦みもなく、ゲンコツ等で取った濃厚トンコツスープとの相性ぴったり。コシのあるストレート麺は東京からの直送だ[12]。」と述べている[7]
古用秀明は、クラシカルにとどまることなく、手間暇[注 9][2]と素材を厳選する[注 10]等して、唯一無二の熊本ラーメンを探求していた[注 11][8]
  • 2014年食べログランキング・熊本ラーメンランキング金賞を獲得[13]
  • その後、青森を旅行する機会があり、現地(五所川原市)で津軽煮干しラーメンを食す[5]。独特の苦みがあり、最初は抵抗感があったがまた食べたくなり、現地を再訪し、食べ歩きをする中で[14]、自分でも作ろうと現地の津軽煮干しラーメン界をリードする店(長尾中華そば中華そばひらこ屋サンライズ食堂など)にアドバイスを受けながら、研究を始める[15][5]。熊本県内では津軽煮干しラーメンが珍しいため、紆余曲折を経る中で、徐々にそれにシフトし、現在は津軽煮干しラーメンに一本化した[16][17]
  • ラーメンフェスに参加し、熊本県からの津軽煮干ラーメンを発信する。
2016年8月 – 長尾中華そば主催の「全国にぼし喰らえ!にぼし祭り」に参加(RAB祭協力)[18]
2016年11月 – 「新潟ラーメン王国全国麺祭り2016」に九州熊本から初参加(BSN新潟放送主催)[19]
  • 古用秀明の功績が認められ、ミシュランガイド熊本・大分 2018特別版に掲載される[4]
ビブグルマン(コストパフォーマンスが高いレストラン、優れた料理に加えて、価格以上の満足が得られる。)を獲得。
ガイドでは、「…まずは看板の煮干し中華そばを試したい。平子煮干しを主とする数種の煮干しでだしを取ったスープは、雑味がなくて滋味深い。こってり味が好みなら濃厚煮干し中華そばがおすすめ。」と評価されている[5]
  • 提供されているラーメンは、大別すると3つの煮干しそばで、①煮干し中華そば(きほん・こいくち)、②背脂煮干し、③極濃煮干し、である。
店でオススメとされている煮干し中華そば(きほん)は、琥珀色に輝き、澄んでいる煮干し100%のスープで、丼からは魚介の香りが力強く匂い立つ王道系である。
麺商人 煮干し中華そば・こいくち
極濃煮干しは、大量の煮干し(一杯に煮干し150~200グラム)を使用した、酸味・苦味も兼ね備えた個性がある濃厚煮干系である[13][20]

メディア[編集]

  • 2014年1月 – ファイブチャンネル[21]
  • 2014年10月 – くまパワ[22]
  • 2017年7月 – てれビタ[23]
  • 2018年5月 – WELCOME[24]
  • 2019年8月 – くまパワ[25]、週刊山崎くん[26]
  • 2020年2月 – 英太郎のかたらんね[27]
  • 2020年6月 – サタココ[28]

注釈[編集]

  1. ^ 大崎裕史は「…煮干しが軽めに効いた醤油味のさっぱり系…」[1]と呼称している。
  2. ^ 大崎裕史は「…煮干しがガツンと効いたパワフル系…」[1]と呼称している。
  3. ^ この系統の主な店舗としてマル海(青森市)、くどうらーめん(青森市)などがある[1]。鯵と焼干しが醸し出すマイルドなスープであるサンライズ食堂の店主三上善史無化調にこだわりを持っており、麺は自家製の中太縮れ麺を使用している。取材で「昔は、魚のにおいが強すぎるものが苦手な人が多かったですね。そこから鯵干しを使うようになりました。」と述べている。濃い鯵ラーメンは、鯵干しのダシにトンコツ、鶏白湯、野菜から取ったスープを合わせた濃厚な味わいである[6]
  4. ^ 店主の三上玲は取材で『たかはし』の味にひかれて、食べれば食べるほどクセになっていったんです。それで自分でも作りたいと思ったのが始まりです。」と述べている。以来、研究を重ねて現在の味を確立。「煮干し脂泡を追加して『にぼだく』もできますよ。」とさらに濃厚な味になるという。あっさり味の煮干し中華もある。提供しているとんこつ煮干しそば(こいくち)は、「煮干しの苦手な方はご遠慮ください。」とあるように、強烈な煮干しスープはインパクトが抜群である。煮干しはひらご、カタクチの他鯵干しもブレンドしている。こいくち用の麺は一日寝かせてコシを出した自家製麺である[6]
  5. ^ 大崎裕史は「…まず、たかはし中華そば店が筆頭に挙がる。煮干しがたっぷり効いた濃厚とんこつ並みのインパクトあるラーメンだ。さらにひらこ屋[注 4]…など、インスパイア系が何軒も出店し、新たな流れを生み出している。…」と述べている[1]
  6. ^ 大埼裕史は「…その中で一番影響を受けたのはラーメンだろう。福岡出身の店主が青森の煮干しラーメンにはまってしまい、西新宿店ではトンコツから煮干しに変えてしまった。つけめんTETSUの新ブランドであるきみはんも煮干しが主張したラーメンを提供している。…」と述べている[1]
  7. ^ 心生」には一杯のラーメンに心を込めているという意味がある[2]
  8. ^ 熊本ラーメンは、九州のラーメンとしては、関東では博多に次ぐ知名度を持つ。同じ九州豚骨ラーメンでも、博多に比べて太い麺、鶏ガラを加えコクはあるがマイルドになったスープなどが特徴。また、博多では生で使うニンニクを、熊本では火を通して使う。脂で揚げる、煎る、香油にするなど方法は色々あり、より香ばしさが増し、熊本ラーメンの個性となっている。紅生姜を入れる店もいくつかあるが、キクラゲの方がより主流の模様[10]
  9. ^ 古用秀明は取材で「お客さんを感動させる職人になりたい。」との想いで炭火でチャーシューを丁寧に焼いている。」と述べている。
  10. ^ 素材としては、自ら足を運んで見極めた四国と天草の天日塩や900mlで1,500円もする和歌山の醤油など、厳しい目で選び抜いている[2]
  11. ^ 日々進化する熊本ラーメンであるが、古用秀明は取材で「県外から来た俺だからこそ作れるラーメンがある!」「毎月のようにスープや麺を変え、試行錯誤してますよ。」と述べている。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]