ウルムチ市 – Wikipedia
ウルムチ市(ウルムチし、中国語: 烏魯木齊市、ウイグル語: ئۈرۈمچى、英語: Ürümqi)は、新疆ウイグル自治区に位置する地級市、自治区首府。自治区人民政府が設置される中国西北部最大の都市である。旧称迪化(てきか)。
テュルク系民族が居住する中央アジアの歴史的地域であるトルキスタン東部(東トルキスタン)の首府とされている。そのため、言語・文化・経済の面などにおいて、中国東部(北京、上海)よりも、タジキスタンやウズベキスタンのような、はるか西方の中央アジアとの結びつきが強く、中国・ユーラシア博覧会を開催するなど東西交易の拠点であり[3]、人口は200万人を超える規模で中央アジア最大の都市タシュケントに匹敵する大都市である[4]。
世界で最も内陸に位置し、四方のどの海からも2,300km以上離れて到達不能極に近く、「世界で最も海から遠い都市」としてギネス記録になっており[5][6]、1992年にアジア大陸の地理的中心を中国科学院はウルムチの永豊郷永新村と測量したことから「アジアの首都」とも呼ばれ[7][8]、「アジア大陸地理中心」(簡体字: 亚洲大陆地理中心)と呼ばれるアジア49カ国の国旗と文化が描かれた像で囲まれた記念の塔が建つ広場は観光名所になっている[9][10]。
ウルムチは、天山山脈北麓のジュンガル盆地東南縁に位置する。市の南側には天山山脈が連なっている。最も近い海岸線までの距離は2,500kmにもなる。
気候[編集]
標高919mの高原に位置し、内陸性気候の特色が強く出ている。ケッペンの気候区分によるとステップ気候に属し、年間を通して非常に乾燥し雨はほとんど降らない。7月の平均気温は24.2度、日中の気温は30度以上まで上がり非常に暑くなるが、乾燥している。また、朝晩は涼しくなり過ごしやすい。1月の平均気温は-12.4度と非常に寒く、-30℃以下まで下がることもある。雪は少ししか降らないが、一旦降ると、なかなか溶けない。年平均気温は7.2度、年降水量は258.3mmである。
ウルムチ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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雨温図(説明) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ウルムチ (1971-2000)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
平均最高気温 °C (°F) | −7.4 (18.7) |
−4.7 (23.5) |
2.7 (36.9) |
16.1 (61) |
23.1 (73.6) |
27.6 (81.7) |
30.1 (86.2) |
29.0 (84.2) |
23.1 (73.6) |
13.2 (55.8) |
2.0 (35.6) |
−4.4 (24.1) |
12.6 (54.7) |
日平均気温 °C (°F) | −12.6 (9.3) |
−9.8 (14.4) |
−1.7 (28.9) |
10.0 (50) |
16.7 (62.1) |
21.5 (70.7) |
23.7 (74.7) |
22.4 (72.3) |
16.7 (62.1) |
7.7 (45.9) |
−2.5 (27.5) |
−9.3 (15.3) |
7.4 (45.3) |
平均最低気温 °C (°F) | −16.6 (2.1) |
−13.7 (7.3) |
−5.4 (22.3) |
4.8 (40.6) |
11.2 (52.2) |
16.1 (61) |
18.2 (64.8) |
16.7 (62.1) |
11.2 (52.2) |
3.1 (37.6) |
−5.9 (21.4) |
−12.9 (8.8) |
2.2 (36) |
降水量 mm (inch) | 2.4 (0.094) |
10.0 (0.394) |
18.5 (0.728) |
22.3 (0.878) |
38.9 (1.531) |
36.2 (1.425) |
30.4 (1.197) |
23.3 (0.917) |
26.2 (1.031) |
26.3 (1.035) |
19.1 (0.752) |
4.6 (0.181) |
258.3 (10.169) |
% 湿度 | 78 | 77 | 71 | 48 | 43 | 43 | 43 | 41 | 44 | 58 | 74 | 78 | 58 |
平均月間日照時間 | 101.6 | 128.8 | 180.5 | 248.0 | 283.3 | 282.7 | 298.7 | 301.0 | 262.6 | 224.4 | 127.4 | 84.3 | 2,523.3 |
出典:中国气象局 国家气象信息中心 2009-03-17 |
行政区画[編集]
7市轄区、1県を管轄する。
行政区画の変遷[編集]
- 迪化
- 1755年 – 清が新疆での大規模開発を開始。
- 1758年 – 清軍が土城を建築。
- 1763年 – 土城が拡大され、乾隆帝が土城を迪化と命名。啓迪教化を意味する。
- 新疆省迪化
- 1884年 – 清朝が新疆省を設置、迪化を省都とし省会を置く。
- 新疆省迪化府
- 1885年 – 迪化が清朝直隷州の迪化府となる。
- 新疆省迪化県
- 1913年 – 中華民国政府が新たに新疆省を設立。迪化府を廃止し、その区域を迪化県に編入した。
- 新疆省迪化市
- 1940年 – 迪化市政府委員会成立。
- 1945年11月1日 – 迪化が正式に市となり、迪化市政府が設置された。このとき、市域は一、二、三、四及び五区に区分けされ、迪化県に隷属する郷鎮は迪化専員公署の管轄となった。
- 1949年9月25日 – 中国人民解放軍が迪化に進入。
- 1949年12月17日 – 中華人民共和国新疆省迪化市人民政府が発足。市域を7つの区に分けて、54の街公所を設置。
- 1953年11月20日 – 迪化市をウルムチ市に改称することを決定。
- 新疆省迪化専区
- 新疆省ウルムチ市
- 1954年2月1日 – 迪化の正式市名がウルムチ市(烏魯木斉市)に変更された。
- 新疆ウイグル自治区ウルムチ市
- 新疆省ウルムチ専区
- 1954年3月16日 – ウルムチ県・米泉県・昌吉県が昌吉回族自治州に編入。(9県)
- 1954年7月17日 – モリ河県が自治県に移行し、モリ・カザフ自治県となる。(8県1自治県)
- 1955年9月13日 – 新疆ウイグル自治区の成立により、新疆ウイグル自治区ウルムチ専区となる。
- 新疆ウイグル自治区ウルムチ専区
- 1958年4月28日
- トルファン県・トクスン県・ピチャン県が自治区直轄県級行政区となる。
- 奇台県・阜康県・マナス県・ジムサル県・フトビ県・モリカザフ自治県が昌吉回族自治州に編入。
- 新疆ウイグル自治区ウルムチ市
- 1959年11月9日 – 天山区・サイバグ区・新市区・水磨溝区・頭屯河区を設置。(5区1県)
- 1970年11月25日 (6区3県)
- 1975年1月30日 – トルファン県・トクスン県がトルファン地区に編入。(6区1県)
- 1987年11月27日 (7区1県)
- ウルムチ県・水磨溝区の各一部が合併し、東山区が発足。
- 南山区が南山鉱区に改称。
- 1999年8月9日 – 南山鉱区が南泉区に改称。(7区1県)
- 2001年1月13日 (7区1県)
- ウルムチ県の一部が天山区・新市区・サイバグ区・頭屯河区・水磨溝区・東山区に分割編入。
- 東山区の一部が水磨溝区に編入。
- 2002年3月9日 – 南泉区および天山区・ウルムチ県の各一部が合併し、達坂城区が発足。(7区1県)
- 2007年6月30日 – 東山区が昌吉回族自治州米泉市と合併し、米東区が発足。(7区1県)
- 2011年3月9日 – ウルムチ県の一部が新市区に編入。(7区1県)
- 2016年1月9日 – サイバグ区の一部が天山区に編入。(7区1県)
中国地名の変遷 | |
建置 | 清 |
使用状況 | ウルムチ市 |
清 | ウルムチ庁(1760年) 迪化直隷州(1773年) 迪化府(1886年) |
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中華民国 | 迪化県(1913年) 迪化市(1945年) |
現代 | 迪化市(1949年) ウルムチ市(1954年) |
古くから周辺の遊牧民族と漢民族による領土の奪い合いが行われてきた。紀元3世紀、車師後国が現在のウルムチ市南郊、烏拉泊貯水池周辺に淤賴城(おらいじょう)を建設した。13世紀以降、モンゴル系民族ホシュート部の遊牧地となった。
清朝初期にはジュンガル・ホンタイジ国が統治していた。乾隆帝によるジュンガル部親征を経て、18世紀後半に城壁が設けられ、迪化城(「啓迪」と「教化」、反抗者を教導するという意味が込められている)と名付けられた。1773年、迪化直隷州が置かれ、巴里坤道に属する。その後、巴里坤道から鎮迪道への改称に伴い、鎮迪道に属する。清朝光緒帝の1884年に甘粛新疆省(ᡬᠠᠨᠰᡠ
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ᡤᠣᠯᠣ)が設置されると、迪化は同省の省都となった。1886年、迪化直隷州は迪化府に昇格し、迪化府の下に迪化県を設置した。
1913年、中華民国政府は鎮迪道の道尹を観察使と改名し、迪化府を廃止して迪化県を存続させた。
ウルムチという言葉はジュンガル部の言葉で「美しい牧場」を意味するが、これが1955年の新疆ウイグル自治区の成立に伴って正式な市名となった。
空港[編集]
ウルムチ地窩堡国際空港には、北京、成都、西安、カシュガルなどの都市との間に毎日定期便が運航されている。また日本からも山東航空が1日1便、大阪・関西国際空港から定期便を運航させている。
鉄道[編集]
- 高速鉄道
自治区内初の高速鉄道新線である蘭新線第二複線も開通している。
- 中国鉄路総公司(CR)
- 地下鉄
道路[編集]
ウルムチは自治区内の道路網の拠点の一つであり、G216国道、G312国道、G314国道の3本の国道が接続する。
名所[編集]
スポーツ[編集]
プロバスケットボールチーム新疆フライングタイガースの本拠地である。中国プロバスケットボールリーグに所属している。
また、2006年に新疆ウイグル自治区最初のサッカークラブ(zh:新疆体彩足球俱乐部)が創設され、中国リーグ乙級(3部相当)に所属していたが、2009年に解散した。
対外関係[編集]
姉妹都市・提携都市[編集]
- 姉妹都市
外部リンク[編集]
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