ブロカールの問題 – Wikipedia

ブロカールの問題 (ブロカールのもんだい、英: Brocard’s problem) とは、

n!+1=m2{displaystyle n!+1=m^{2}}

を満たす整数の組 (n, m) がいくつ存在するか、という数学の問題である。ただし、 n! は階乗を表す。アンリ・ブロカール英語版が1876年・1885年に自身の論文で提示した。1913年にはシュリニヴァーサ・ラマヌジャンが同じ問題を独立に提示している。

ブラウン数[編集]

上式を満たす (n, m) の組はブラウン数 (英: Brown numbers) と呼ばれる。ブラウン数の組は

(4,5), (5,11), (7,71)(小さい方の数はオンライン整数列大辞典の数列 A146968、大きい方の数はオンライン整数列大辞典の数列 A216071を参照)

の3つしか知られていない。ポール・エルデシュは、これ以外の解は存在しないと予想した。Overholt (1993) は、ABC予想が真だとすれば解の個数が有限であることを示した。Berndt & Galway (2000) は109までの n について計算を行い、その範囲で他の解がないことを確かめた。

Dabrowski (1996)はOverholtの結果を一般化し、ABC予想が正しければ、任意の自然数 A に対し

n!+A=k2{displaystyle n!+A=k^{2}}

を満たす解は有限組しか存在しないこと、A が平方数でないときはABC予想によらず解は有限個しか存在しないこと(実際 Ap を法として平方剰余ではないような最小の素数 p をとると

k2−A{displaystyle k^{2}-A}

p で決して割り切れないので n < p でなければならない)を示した。その後、京都大学の望月新一(日本)によってABC予想が証明され(2020)、任意の自然数Aに対して解が有限個であることが示された。Luca (2002)はこれをさらに一般化し、 2次以上で整数係数を持つ任意の多項式P(x)に対して

n!=P(x){displaystyle n!=P(x)}

を満たす解は有限組しか存在しないことを示した。

指数が2より大きい場合、および

x2+y2=n!{displaystyle x^{2}+y^{2}=n!}

の形の方程式については Erdős & Obláth (1937) が既に

xm+ym=n!(gcd(x,y)=1,m≥2){displaystyle x^{m}+y^{m}=n!(gcd(x,y)=1,mgeq 2)}

は 1+1=2! 以外の解を持たないこと、および

xm−ym=n!(x>y,gcd(x,y)=1,m≥3){displaystyle x^{m}-y^{m}=n!(x>y,gcd(x,y)=1,mgeq 3)}

m!±n!=xk(m>n>0,k≥2){displaystyle m!pm n!=x^{k}(m>n>0,kgeq 2)}

x4−1=n!{displaystyle x^{4}-1=n!}

は解を持たないことを示している。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]