カール5世騎馬像 – Wikipedia
『カール5世騎馬像』(カール5せいきばぞう、伊: Ritratto di Carlo V a cavallo, 英: Equestrian Portrait of Charles V)、または『ミュールベルクのカール5世』(ミュールベルクのカール5せい、英: Charles V at Mühlberg)は、イタリア・盛期ルネサンスのヴェネツィア派の巨匠、ティツィアーノ・ヴェチェッリオによるカンヴァス上の油彩画である。ティツィアーノがアウクスブルクの神聖ローマ帝国の宮廷にいた1548年4月から9月の間に制作された。この作品は、1547年4月のミュールベルクのプロテスタント軍との戦いで勝利した後の神聖ローマ皇帝カール5世へのオマージュである。現在、マドリードのプラド美術館に所蔵されている。 本作品のもたらす衝撃性は、その直接性と内包されている活力の印象を部分的な拠り所にしている。馬の力は適切に抑制されているように見え、カール5世の鮮やかに輝く鎧と絵画の深紅色は、戦闘と英雄的行為を想起させる。ヒュー・トレヴァー=ローパーによれば、カール5世は「勝利に歓喜していない。落ち着いていて、抑制されていて、思慮深いが、穏やかである」[1]。ティツィアーノは実際の戦闘で使用されたものを利用して、前景にあるすべての要素(馬、その馬衣、および皇帝の鎧)を描いた。鎧と馬具の両方が現存しており、マドリードの王宮に所蔵されている[2] 。本作は1827年にプラド美術館に移されるまで、スペイン王室のコレクションにあった。 肖像画は、カール5世の妹であったマリア・フォン・エスターライヒ(オーストリアのマリア、ハンガリー女王)から依頼され、カール5世は、自身をどのように描いてもらいたいかを指示した[3]。皇帝は、他者にどのように見られるかを決定する際の、肖像画の重要性を非常に認識しており、画家としてのティツィアーノの熟練した技量だけでなく、皇帝を支配者として提示する手法をも高く評価していた[4]。
Continue reading
Recent Comments