本事件の争点となった河井案里 夫で主犯格の河井克行 河井夫妻選挙違反事件(かわいふさいせんきょいはんじけん)は、2019年の第25回参議院議員通常選挙において起きた河井克行・河井案里夫妻による選挙違反事件である。 2019年(令和1年)7月21日に行われた第25回参議院議員通常選挙の広島県選挙区において立候補していた自由民主党の河井案里を当選させるために、その夫であり自由民主党の衆議院議員でもある河井克行が、案里と共謀して大規模な買収行為を行った。この結果、案里は当選し、また克行も同年9月11日、安倍晋三内閣において法務大臣に就任した。しかし、同年10月30日以降にこの選挙違反疑惑が報じられ、10月31日に克行は法務大臣を辞任した。 参議院選挙から11ヶ月が経過した2020年(令和2年)6月17日、河井夫妻は自由民主党を離党、翌6月18日、公職選挙法違反の容疑で東京地方検察庁特別捜査部によって逮捕された[1][2]。 2021年(令和3年)2月5日、案里には懲役1年4か月・執行猶予5年の有罪判決が確定し、5年間の公民権停止が命じられた[3]。これにより、案里は公職選挙法の規程により議員失職した。また、3月25日、克行は大島理森衆議院議長宛てに議員辞職願を提出し、4月1日に衆議院本会議で許可され議員辞職した。10月21日、克行には懲役3年・追徴金130万円の実刑判決が確定した[4]。 選挙結果[編集] 選挙前の現職だった森本真治(党派を超えた支援を得るべく政党の公認を受けず無所属で出馬、国民民主党党員)と溝手顕正(自由民主党(以下、自民党)・岸田派)に加えて、新人の河井案里(自民党・二階派)ら7人が立候補し、2枠を争った[5]。森本は立憲民主党・国民民主党・社会民主党・日本労働組合総連合会広島県連合会の推薦を受け、溝手と案里はともに公明党の推薦を受けた[5][6][7]。自民党分裂の結果、森本(329,792票)と案里(295,871票)が当選し、溝手(270,183票)の6選は叶わなかった[8]。 事件の背景[編集] この節の加筆が望まれています。 自民党岸田派に所属し岸田文雄党政務調査会長に応援された溝手顕正への党本部からの入金が1500万円だったのに対し、河井陣営には10倍の1億5000万円が入金され安倍晋三内閣総理大臣や菅義偉内閣官房長官に応援されたという格差があった[9][10]。 背景に安倍と溝手の確執があったと言われている。参議院広島県選挙区は参議院二人区で、長年自民党公認候補と民主党をルーツとする候補がそれぞれ1議席ずつ分け合っていた状態であり、事実上両者に対する信任投票に近い状態だった。今回の選挙戦においても溝手が自民党側の候補として出ると予想されたが、党本部の意向で安倍や菅官房長官に近い2人目、河井克行の妻である河井案里も擁立された。また、自民党広島県連には溝手が所属する岸田派が多数を占め、溝手のみを支持する動向があったため、次の党総裁を狙う岸田文雄と菅義偉の「代理戦争」とする見方もある[11]。 2018年[編集] 2018年7月20日、自民党が翌年の参院選の1次公認候補予定者を発表。広島県選挙区(定数2)では現職の溝手顕正が公認内定を受けた[12]。 7月31日、立憲民主党の枝野幸男代表が参院選で改選数2以上の選挙区に原則として候補者を擁立する方針を表明[13]。 11月28日、広島県選挙区において国民民主党現職の森本真治と立憲民主党の候補者が競合して共倒れすれば自民党が2議席独占できるとして、自民党の甘利明選対委員長が宮澤洋一広島県連会長に溝手に次ぐ2人目の候補者擁立を要請した[14]。 2019年[編集] 2019年2月19日、甘利が岸田文雄政調会長と会談し、河井案里や薬師寺道代を念頭に広島の2人目の候補者擁立に理解を求めたが、県連幹部は「擁立が決まったとは聞いてない」と不快感を示した[15]。 3月12日、自民党が広島県選挙区の2人目の候補者として河井案里の擁立を決定[16]。一方、久保田智子元アナウンサーらに立候補を打診していた[17] 立憲民主党では、3月24日に枝野代表が「(自民党に)二つ取られるかもしれない状況が、2人区で初めて広島で生じている」などと述べ、事実上独自候補の擁立断念と森本への候補者一本化を示唆した[18]。
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