ジス・ボーイ – Wikipedia

ジス・ボーイ」(This Boy)は、ビートルズの楽曲である。レノン=マッカートニー名義となっているが、ジョン・レノンによって書かれた楽曲。イギリスでは1963年11月に発売されたシングル盤『抱きしめたい』のB面に収録されて発売された。アメリカでは1964年1月に発売されたキャピトル編集盤『ミート・ザ・ビートルズ』のA面3曲目に、カナダでは1964年3月9日に発売されたシングル盤『オール・マイ・ラヴィング』のB面に収録されて発売された。シングル盤発売当時の邦題は「こいつ」。本作は、1964年2月16日に放送された『エド・サリヴァン・ショー』に出演した際に演奏された。

1964年に公開された映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』では、「リンゴのテーマ」(Ringo’s Theme (This Boy))と題されたジョージ・マーティンによる本作のオーケストラ・アレンジ版が使用され、ユナイテッド・アーティスツ・レコードから発売されたサウンドトラック・アルバム『A Hard Day’s Night (United Artists)』に収録された。シングル盤としても発売され、アメリカでは最高位53位を獲得した。

曲の構成[編集]

本作はレノンがスモーキー・ロビンソンのスタイルに触発されて書いた楽曲で[5]、ドゥーワップのようなコード変更やメロディー、アレンジが取り入れられている。なお、アレンジはボビー・フリーマンの「You Don’t Understand Me」[6]テディ・ベアーズ英語版の「逢った途端にひとめぼれ」に影響を受けている。

本作はレノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンの3声コーラスが特徴となっており、後に発表された「イエス・イット・イズ」や「ビコーズ」でもこのコーラス・アレンジが取り入れられた。当初ミドルエイトにはギターソロが当てられていたが、レコーディング中に変更された。

レコーディング[編集]

「ジス・ボーイ」のレコーディングは、「抱きしめたい」ととも1963年10月17日に行われた。15テイク録音されたのち、2回オーバー・ダビングが施された。10月21日にミキシングが行われ、2つのテイクを結合して最終マスターを作成した後にミドルエイトの最後のヴァースを切り貼りし、曲の最後がフェード・アウトするように編集された。

1996年に発売されたシングル盤『フリー・アズ・ア・バード』のカップリング曲として、本作のテイク12と13が収録されていて、同テイクでレノンは「Thas Boy」と歌詞を間違えて歌っている。

1963年10月21日にステレオ・ミックスとモノラル・ミックスが作成され、1966年11月に新たなステレオ・ミックスが作成されたが、ビートルズ活動中に発売されることはなかった。1966年11月に新たなステレオ・ミックスが作成されたのは、1966年発売のコンピレーション・アルバム『オールディーズ』のためのミキシング・セッションにて、EMIスタッフの連絡ミスにより「バッド・ボーイ」と「ジス・ボーイ」を取り違えて作成したため。「ジス・ボーイ」のステレオ・ミックスは、解散後の1981年12月に発売された『ザ・ビートルズ EPコレクション』収録の『ザ・ビートルズ』のB面2曲目に収録された。CD作品では、1988年3月に発売されたアルバム『パスト・マスターズ Vol.1』で初収録となった。

リンゴのテーマ[編集]

ジョージ・マーティンがオーケストラ・アレンジを手がけた「ジス・ボーイ」のインストゥルメンタル・バージョンは、映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』の中でリンゴ・スターが川辺を歩くシーンで使用された。このバージョンは、「リンゴのテーマ」(Ringo’s Theme (This Boy))と題され、1964年に発売されたシングル盤『アンド・アイ・ラヴ・ハー (オーケストラ・アレンジ版)』のB面に収録され、アメリカのBillboard Hot 100で最高位53位を獲得した[9]

1964年6月26日にアメリカでユナイテッド・アーティスツ・レコードから発売されたサウンドトラック・アルバム『A Hard Day’s Night (United Artists)』や、1965年2月19日にパーロフォンから発売されたマーティンのアルバム『Off the Beatle Track』にも収録されている。

クレジット[編集]

カバー・バージョン[編集]

出典[編集]

  1. ^ Pedler, Dominic (2010). The Songwriting Secrets Of The Beatles. Omnibus Press. pp. 81–82. ISBN 9780857123466. https://books.google.com/books?id=O8w1cyT65ZIC&pg=PT81 
  2. ^ Past Masters – The Beatles|Songs, Reviews, Credits – オールミュージック. 2020年4月26日閲覧。
  3. ^ Sheff, David (2000). All We Are Saying. New York: St. Martin’s Griffin. p. 193. ISBN 0-312-25464-4 
  4. ^ All Together Now, the ABC of the Beatles songs and albums, David Rowley (2013), page 183–84
  5. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1964年8月22日). 2020年10月1日閲覧。
  6. ^ Bush, John. Sweet Soul – Joe Bataan | Songs, Reviews, Credits – オールミュージック. 2020年11月26日閲覧。
  7. ^ Schnee, Stephen. Seamless – The Nylons | Songs, Reviews, Credits – オールミュージック. 2020年11月26日閲覧。
  8. ^ “竹内まりや「まるで学生時代に戻ったような」新曲PV公開”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2013年5月28日). https://natalie.mu/music/news/91551 2020年11月26日閲覧。 
  9. ^ Monalisa Twins Play Beatles & More – Monalisa Twins | Songs, Reviews, Credits – オールミュージック. 2020年11月26日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]