王林 (リンゴ) – Wikipedia
王林(おうりん)は、福島県で結実したリンゴで、主に長野県、青森県などで生産される[2][4]。黄緑色の果皮の表面に茶色い果点があるのが特徴で、そばかす名人、ナシリンゴなどとも呼ばれた[4]。日本においてはふじ、津軽に次ぐ生産量を誇っている[2]。
王林は芳醇な香りと甘みの強さが特徴で、酸味が弱く、食感は非常に軟らかい[5]。果皮の表面に多く見られる果点は熟すにつれて荒れていき、細かいヒビ(サビ)となってしまうため、B級品リンゴとして安価で取引消費される[2][6]。味と値段から人気を博し、また着色管理が不要なため、省力品種として生産者からの支持も得ている[1][7]。
りんごポリフェノールの主成分であるプロシアニジンを多く含む品種であり、その含有量はふじと並んで多い[8]。また、赤色色素を作るアントシアニンが少ないため、成熟しても赤くなりにくいことから、「青リンゴ」として販売される[9][10][3]。
晩生品種であり、貯蔵性に優れているため、10月下旬より翌8月ごろまで出荷が見られるが[3]、旬の時期としては11月から翌2月ごろとなる[2]。
1931年ごろよりリンゴの品種改良に取り組んでいた、福島県伊達郡桑折町の大槻只之助はゴールデンデリシャスと印度を掛け合わせることにより、1943年に初めて結実した[4][11]。栽培当初は王林という名前ではなく、そばかす名人やナシリンゴなどと呼称されていたが、1952年、当時伊達農協の組合長を務めていた大森常重により「りんごの中の王様」という意味をこめて「王林」と命名され、市場に出回るようになった[4][5][12]。
果点の目立つ独特な外観が欠点とされ、農林水産省の品種登録には至っていない[1][12]が、1961年には桑折町の生産者によって「王林会」が設立され、王林の普及が推進された[12]。無袋栽培に適した品種であり、生産工数低減に寄与した王林は着実に生産数を増やしていき、2011年時点で5.1万トンあまりが出荷され、リンゴ品種としてはふじ、津軽に次ぐ生産量となっている[2]。アメリカ・ワシントン州では王林が奨励品種として登録されている[12]。
王林を交配親とした品種もあおり9[13]、きおう[14]、トキ[15]、秋しずく[16]など、複数登録されている。
農林水産省の「平成30年産果樹生産出荷統計」[17]による王林の2019年の都道府県別生産出荷量は以下の通り。
順位 | 都道府県名 | 収穫量(トン) | 出荷量(トン) | 結果樹面積(ha) |
---|---|---|---|---|
1 | 青森県 | 41,500 | 37,700 | 2,130 |
2 | 岩手県 | 2,960 | 2,530 | 161 |
3 | 山形県 | 2,140 | 1,850 | 121 |
4 | 長野県 | 2,040 | 1,860 | 136 |
5 | 秋田県 | 1,650 | 1,480 | 95 |
6 | 福島県 | 774 | 677 | 45 |
7 | 北海道 | 377 | 336 | 24 |
8 | 宮城県 | 144 | 123 | 11 |
9 | 富山県 | 55 | 42 | 6 |
10 | 広島県 | 50 | 46 | 3 |
11 | 群馬県 | 47 | 41 | 3 |
12 | 岐阜県 | 42 | 37 | 3 |
13 | 山梨県 | 35 | 30 | 3 |
14 | 石川県 | 15 | 14 | 1 |
合計 | 全国合計 | 52,300 | 47,200 | 2,770 |
関連項目[編集]
Recent Comments