イケヒコ・コーポレーション – Wikipedia

株式会社イケヒコ・コーポレーション(英: IKEHIKO CORPORATION Co., Ltd.)は、福岡県三潴郡大木町に本社を置く、い草製品メーカーである。

1886年 (明治19年) 、池上彦太郎が大莞村奥牟田にて畳販売を創業。1933年(昭和8年)、畳表卸売業を開始。1960年代は家族を含む従業員7、8人の家業に過ぎなかったが、企業への体質変換を進め、競争の激しい卸売では独自性を発揮できないとして製造業に参入。1967年(昭和42年)、い草風のポリプロピレン製カーペットを発売し、行楽用や海水浴用として爆発的な売上を見せた[3]。以降、退色しにくい加工を施した畳や、防ダニ防カビ効果のあるヒバ加工の製品を開発。また、夏の季節商材であるい草製品から取り扱いを拡大し、こたつ布団を含むオールシーズン対応の商品展開を図った[4]。1990年代初め、売上は5年間で1.5倍に成長し、い草関連商品で3割のシェアを示した。1995年9月期売上は100億5000万円[1]

地域振興を目指し、い草製品開発に力を入れるとともに、1995年(平成7年)には買い物の不便解消のため地元にスーパーマーケット「アスタラビスタ」を出店。本社のある大木町や、周辺の筑後地方に店舗を展開。

2000年代以降は海外に販路を求め、2007年からはインテリアの国際見本市へ出展するほか、カナダなどに販売窓口を開設[5]。国内でもい草と畳文化のPRを進め、子育て支援プロジェクトサポーター、子供向けワークショップイベントへの出展、「畳アンバサダー」講習会の実施、無印良品との共同イベントの開催などを行っている。

2020年(令和2年)、JETROの海外需要開拓プログラム「TAKUMI NEXT 2020[6]」で選定された「匠」企業121社のうちの1社となった。

生産体制[編集]

1985年(昭和60年)のプラザ合意を機に中国に進出、江蘇省でい草の生産を開始した。現地工場に自動織機と縦糸を提供する代わりに、製品を1割ほど安く買い受ける補償貿易の形で取引を始め、1987年から畳表、翌1988年からござ類の輸入を開始した[7]。2005年の輸入い草製品取扱量はトクラ(岡山県倉敷市)に次ぐ国内2位[7]。織機を用いた加工は地元い草農家や中国工場に外注し、自社では商品の企画・開発と半製品への縁付けやコーティングなど仕上げを行う[1][3]

2005年における同社のい草製品取扱量は、輸入品が77%、国産品が23%で[7]、普及品には大量生産可能な中国産を用い、上級品には国産を用いるという棲み分けがされている[8]。国産は高密度、高耐久性と評価[5]し、機能性を求める製品や海外向けの製品には熊本産と福岡産のい草[9]を使用するも、い草製品の開発輸入の伸展と住宅の洋風化で国内生産量は減少。「国産イグサの入手が厳しい[10]」状況となっていることから、い草・畳文化継承のため同社は2012年(平成24年)から自社栽培を開始した。

  • 1886年(明治19年)、池上彦太郎が大莞村奥牟田にて畳販売を創業[11]
  • 1932年(昭和7年)、ござ類の海外輸出を開始[7]
  • 1933年(昭和8年)、畳表卸売業を開始、日本全国に出荷
  • 1957年(昭和32年)、「有限会社池上彦太郎商店」を設立
  • 1966年(昭和41年)、PPカーペットの製造を開始
  • 1970年(昭和45年)、い草とPPの交織製品を開発
  • 1978年(昭和53年)、本社を現所在地に移転
  • 1979年(昭和54年)、こたつ布団の製造を開始
  • 1980年(昭和55年)、株式会社に改組
  • 1985年(昭和60年)、江蘇省でい草の栽培を開始
  • 1987年(昭和62年)、中国から畳表の輸入を開始
  • 1990年(平成2年)、「株式会社イケヒコ・コーポレーション」に社名変更
  • 1993年(平成5年)、浙江省でい草の栽培を開始
  • 1995年(平成7年)、アスタラビスタ大木店を開店
  • 1996年(平成8年)、ヒバ加工製品を開発、江蘇省に合弁工場を設立
  • 2012年(平成24年)、い草の自社栽培を開始

主な製品[編集]

  • い草製品
    • い草ラグ・カーペット
    • い草寝具
    • い草小物
  • 置き畳・ユニット畳
  • ラグ・カーペット
  • こたつ布団
  • 寝具
  • クッション

畳ヨガ[編集]

2017年(平成29年)6月に開催した「畳ヨガ」教室で好評だった、い草のヨガマットを商品化し同年10月14日に発売[12]。紋織りで富士山などの模様を描いたヨガマットは、2020年時点で米国、スイス、中国など10以上の国と地域で計1万枚を売り上げた[9]。国内でも、在宅時間の増加を受けて月に100枚ほどだった注文が2020年4月は約500枚、5月は約1000枚に伸びた[13]

外部リンク[編集]