常任委員会 – Wikipedia

常任委員会(じょうにんいいんかい)とは、日本の国会または地方議会の委員会または、常設委員会ともいう。議員は、官職を兼ねる者を除き、必ずその議院・議会の常任委員会の一つ以上に所属する(国会法第42条第2項、各条例)。

常任委員会は法律・条例であらかじめその設置が規定され、衆議院・参議院の各々に17の常任委員会が設置されている。

国会の常任委員会の委員長は国会法第25条で本会議で常任委員から選挙で選出することになっているが、議長が指名(衆議院規則第15条・参議院規則第30条)する慣例になっている。

上述のように官職を兼ねる者を除いて、すべての議員が必ずいずれかの委員会に所属しなければならないが、通常、政党の要職に就いている議員は国家基本政策委員会に、総理大臣や議長の経験者は懲罰委員会に所属することが慣例となっている。

日本の国会の常任委員会[編集]

衆議院の常任委員会[編集]

衆議院の常任委員会は衆議院規則で以下のように定められている。

参議院の常任委員会[編集]

参議院の常任委員会は参議院規則で以下のように定められている。

名称 員数 所管
1 内閣委員会 20 内閣及び内閣府の所管に属する事項(総務委員会、外交防衛委員会、財政金融委員会及び経済産業委員会の所管に属する事項を除く。)
宮内庁の所管に属する事項
国家公安委員会の所管に属する事項
2 総務委員会 25 総務省の所管に属する事項(環境委員会の所管に属する事項を除く。)
人事院の所管に属する事項
3 法務委員会 20 法務省の所管に属する事項
裁判所の司法行政に関する事項
4 外交防衛委員会 21 外務省の所管に属する事項
防衛省の所管に属する事項
国家安全保障会議の所管に属する事項
5 財政金融委員会 25 財務省の所管に属する事項(予算委員会及び決算行政監視委員会の所管に属する事項を除く。)
金融庁の所管に属する事項
6 文教科学委員会 20 文部科学省の所管に属する事項
教育委員会の所管に属する事項
7 厚生労働委員会 25 厚生労働省の所管に属する事項
8 農林水産委員会 20 農林水産省の所管に属する事項
9 経済産業委員会 21 経済産業省の所管に属する事項
公正取引委員会の所管に属する事項
10 国土交通委員会 25 国土交通省の所管に属する事項
11 環境委員会 20 環境省の所管に属する事項
公害等調整委員会の所管に属する事項
12 国家基本政策委員会 20 国家の基本政策に関する事項
13 予算委員会 45 予算
14 決算委員会 30 決算
予備費支出の承諾に関する事項
決算調整資金からの歳入への組入れの承諾に関する事項
国庫債務負担行為総調書
国有財産増減及び現在額総計算書並びに無償貸付状況総計算書
会計検査に関する事項
15 行政監視委員会 30 行政監視に関する事項
行政評価に関する事項
行政に対する苦情に関する事項
16 議院運営委員会 25 議院の運営に関する事項
国会法その他議院の法規に関する事項
国立国会図書館の運営に関する事項
裁判官弾劾裁判所及び裁判官訴追委員会に関する事項
17 懲罰委員会 10 議員の懲罰に関する事項

国会法における常任委員会の変遷[編集]

  • 国会法の条項における序列に倣って左から記載(「委員会」の文字は省略)。
  • 1948年10月11日(第3回国会召集日)の上下2段の例(衆参共通)については、上段が同年7月5日公布の「国会法の一部を改正する法律(昭和23年法律第87号)」による内容で、下段が召集当日公布の「国会法の一部を改正する法律(昭和23年法律第214号)」による内容である。両者はともに召集当日施行のため前者による新委員会構成が後者によって即日上書き改正された形となっていて上段の委員会の存在実績はないが、前者が施行前に廃止されたわけではない(形式的には一旦施行されている)ことから、他例と同様に記載する。

衆議院[編集]

改編日 常任委員会
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
1947年
5月3日
外務 治安及び
地方制度
国土計画 司法 文教 文化 厚生 労働 農林 水産 商業 鉱工業 電気 運輸及び
交通
通信 財政及び
金融
予算 決算 議院運営 図書館運営 懲罰
1948年
10月11日
行政調査
及び人事
地方行政 経済安定 法務 外務 大蔵 文部 厚生 商工 農林 水産 運輸 逓信 労働 建設 予算 決算 議院運営 懲罰 図書館運営
内閣 人事 地方行政 経済安定 法務 外務 大蔵 文部 厚生 商工 農林 水産 運輸 逓信 労働 建設 予算 決算 議院運営 懲罰 図書館運営
1949年
10月26日
内閣 人事 地方行政 法務 外務 大蔵 文部 厚生 農林 水産 通商産業 運輸 郵政 電気通信 労働 建設 経済安定 予算 決算 議院運営 懲罰 図書館運営
1955年
3月18日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 社会労働 農林水産 商工 運輸 逓信 建設 予算 決算 議院運営 懲罰
1980年
7月17日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 社会労働 農林水産 商工 運輸 逓信 建設 科学技術 環境 予算 決算 議院運営 懲罰
1991年
8月5日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 厚生 農林水産 商工 運輸 逓信 労働 建設 科学技術 環境 予算 決算 議院運営 懲罰
1991年
11月5日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 厚生 農林水産 商工 運輸 逓信 労働 建設 安全保障 科学技術 環境 予算 決算 議院運営 懲罰
1998年
1月12日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 厚生 農林水産 商工 運輸 逓信 労働 建設 安全保障 科学技術 環境 予算 決算行政
監視
議院運営 懲罰
2000年
1月20日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 厚生 農林水産 商工 運輸 逓信 労働 建設 安全保障 科学技術 環境 国家基本
政策
予算 決算行政
監視
議院運営 懲罰
2001年
1月31日
内閣 総務 法務 外務 財務金融 文部科学 厚生労働 農林水産 経済産業 国土交通 環境 安全保障 国家基本
政策
予算 決算行政
監視
議院運営 懲罰

参議院[編集]

改編日 常任委員会
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
1947年
5月3日
外務 治安及び
地方制度
国土計画 司法 文教 文化 厚生 労働 農林 水産 商業 鉱工業 電気 運輸及び
交通
通信 財政及び
金融
予算 決算 議院運営 図書館運営 懲罰
1948年
10月11日
行政調査
及び人事
地方行政 経済安定 法務 外務 大蔵 文部 厚生 商工 農林 水産 運輸 逓信 労働 建設 予算 決算 議院運営 懲罰 図書館運営
内閣 人事 地方行政 経済安定 法務 外務 大蔵 文部 厚生 商工 農林 水産 運輸 逓信 労働 建設 予算 決算 議院運営 懲罰 図書館運営
1949年
10月26日
内閣 人事 地方行政 法務 外務 大蔵 文部 厚生 農林 水産 通商産業 運輸 郵政 電気通信 労働 建設 経済安定 予算 決算 議院運営 懲罰 図書館運営
1955年
3月18日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 社会労働 農林水産 商工 運輸 逓信 建設 予算 決算 議院運営 懲罰
1980年
7月17日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 社会労働 農林水産 商工 運輸 逓信 建設 予算 決算 議院運営 懲罰
1991年
8月5日
内閣 地方行政 法務 外務 大蔵 文教 厚生 農林水産 商工 運輸 逓信 労働 建設 予算 決算 議院運営 懲罰
1998年
1月12日
総務 法務 地方行政・
警察
外交・防衛 財政・金融 文教・科学 国民福祉 労働・社会
政策
農林水産 経済・産業 交通・情報
通信
国土・環境 予算 決算 行政監視 議院運営 懲罰
2000年
1月20日
総務 法務 地方行政・警察 外交・防衛 財政・金融 文教・科学 国民福祉 労働・社会政策 農林水産 経済・産業 交通・情報通信 国土・環境 国家基本
政策
予算 決算 行政監視 議院運営 懲罰
2001年
1月31日
内閣 総務 法務 外交防衛 財政金融 文教科学 厚生労働 農林水産 経済産業 国土交通 環境 国家基本
政策
予算 決算 行政監視 議院運営 懲罰
  • 1980年7月17日の改編前は、衆参両院の常任委員会の名称・総数は国会法の同じ条項で規定されていたため同一であった(理事・委員の数などの内部構成は各議院規則で規定するため別)。なお、当該再編では参議院の委員会には変動がなかったが、衆議院との条項分離(独立)のため国会法の条文改正は行われているので、1955年3月18日のセルとは統合せず別扱いとした。

常任委員長の選挙[編集]

地方議会の常任委員会[編集]

普通地方公共団体の議会には、条例で常任委員会が置かれる(地方自治法109条1項)。
予算その他重要な議案、陳情等について公聴会を開催し、真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる(109条5項)。
  1. ^ 水岡俊一解任決議可決後の選出。
  2. ^ 大久保勉解任決議可決後の選出。

関連項目[編集]