薔薇王の葬列 – Wikipedia
『薔薇王の葬列』(ばらおうのそうれつ)は、菅野文による日本の歴史・ファンタジー漫画。ウィリアム・シェイクスピアの史劇『ヘンリー六世』および『リチャード三世』を原案とした作品[2]で、『月刊プリンセス』(秋田書店)にて2013年11月号から2022年2月号まで連載された[2][3]。同誌4月号より番外編が掲載されることが発表され[3]、同号より『薔薇王の葬列 外伝』のタイトルで連載されている[1][4]。2021年10月時点で累計発行部数は180万部を突破している[5]。
派生作品として、本作のキャラクターたちが芸能人を育成する学園に通うという設定のスピンオフ『キング・オブ・アイドル薔薇王の学園』が、同誌2021年2月号より連載されている[6]。漫画は阿部川キネコが担当。またメディアミックスとして、2022年にテレビアニメが放送中[7]。2022年6月にテレビアニメ版を原作とする舞台作品が上演予定[3]。
あらすじ
白薔薇のヨーク家と赤薔薇のランカスター家の王位を巡る戦い「薔薇戦争」を描いた作品。主人公リチャード三世を両性具有の人物として描く。
第一幕(第1話 – 第31話)
リチャードは父ヨーク公リチャードが王となることを望み、父は現王のヘンリー六世と約束を取り交わす。ヘンリーの息子エドワードは廃嫡され、息子の次期王の座を奪われた王妃マーガレットは夫の不甲斐なさに悔しさを滲ませる。
リチャードは強い男でありたいと望むが、羊飼いの振りをしていた宿敵であるはずのヘンリー六世にそうとは知らずに惹かれていき、自分の中の「女」を実感する。ヘンリーの息子エドワードはリチャードを女だと思い執着していくが、父とリチャードの抱擁を見てしまい、父への怨みを募らせていく。
父リチャードはランカスター家との戦いに敗れ、王妃マーガレットに侮辱を受けながら処刑される。父の跡を継いだヨーク家の長男エドワードは、ランカスター家を打倒し、ヘンリー六世に代わって王位につく。フランスの姫君との婚約話が持ち上がる中、エドワードは小貴族の未亡人エリザベスの美貌に魅了され、王妃にする。しかしエリザベスの本当の目的は、亡き夫の復讐のために王位継承権を持つ王子を産むことだった。
エドワードの身勝手に怒りを抱いたウォリック伯は、ヨーク家の次男ジョージを誘い込んでランカスター派と手を結び、エドワードを追い落としてヘンリー六世を再び王座につける。エドワードは囚われの身となるが、リチャードによって助け出される。リチャードは策を使ってジョージを再び味方につけ、3兄弟はランカスター派を討ち破り、ウォリックはバッキンガムに殺される。マーガレットとエドワードの母子はなおも戦いを挑むが、敗れて共に捕らわれ、エドワードはジョージとリチャードの手で殺される。
捕らわれたヘンリー六世が、逢瀬を重ね愛しあった男・ヘンリーと知り、リチャードは父の仇と憎しみを向けながらも殺すことができない。母セシリーにそそのかされた兄エドワードに殺害を命じられ、ロンドン塔のヘンリーと再び対面したリチャードは、全てをさらけ出して、俺を愛してくれ、と乞うが、錯乱していたヘンリーは拒絶し、リチャードに刺される。
夫エドワード王太子を守れなかったことを悔いるアンは、亡父ウォリック伯の相続財産の独占を狙う妹イザベルのたくらみで、馬丁に身をやつしてイザベルに冷遇される。そうとは知らず、王エドワードは弟リチャードへの褒美として、アンとの結婚を促し、リチャードは応じる。リチャードの心のない求愛の言葉を、アンは受け入れる。
第二幕(第32話 – )
第一幕から約10年後。
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登場人物
声の項は特記が無い限り、テレビアニメ版の声優。
ヨーク家
- リチャード
- 声 – 斎賀みつき(アニメ・ドラマCD共通)[7][8]
- 主人公。ヨーク家の三男[注 1]。両性具有で、母セシリーから疎まれている。両性具有のことは、兄たちにも知られていない。
- オッドアイでもあり、左目を前髪で隠すようにしている。
- 武勇に優れ、父ヨーク公の死後は、ヨーク軍の要になり兄エドワードの王位獲得を助ける。一方で、胸には乳房があり、女装すれば女にしか見えず、これで危機を脱したり敵地に潜入してエドワードを救出したりする。
- エドワード
- 声 – 鳥海浩輔[7] / 佐藤拓也(ドラマCD)[9]
- リチャードの兄。ヨーク家の長男[注 1]。ヘンリー六世に代わって王位につく(エドワード四世)。女の扱いが上手い。女が好き。
- ジョージ
- 声 – 内匠靖明[7]
- リチャードの兄。ヨーク家の次男[注 1]。物事を深く考えない性格。酒が好き。
- ヨーク公リチャード
- 声 – 速水奨[7]
- 3兄弟の父。優しく、威厳がある。ランカスター家との戦いに敗れて処刑される。
- セシリー
- 声 – 久川綾[10]
- ヨーク公の妻、3兄弟の母。実の子のリチャードを悪魔の子と忌み嫌う。
エドワード四世の妻子
- エリザベス
- 声 – 伊藤静[10]
- 戦死した[注 2]夫の復讐のためにエドワード王に近付き、その寵愛を得て、密かに結婚、王子を産んで王位に就けようと企む。最初に娘、次いで息子2人を産む。
- ベス
- エドワードとエリザベスの長女で最初の子。
ヨーク家側の人物
- ケイツビー
- 声 – 日野聡[7] / 細谷佳正(ドラマCD)[9]
- リチャードが生まれた頃から仕える世話係。リチャードの体の秘密を知っている。
- バッキンガム
- 声 – 杉山里穂[11]、杉田智和(10年後)[12]
- 公爵。若年ながら、リチャードのキングメーカーになると宣言し、自らの思惑でリチャードに助力し行動を共にする。
ネヴィル家
- ウォリック伯
- 声 – 三上哲[7]、竹内恵美子(幼少期) / 子安武人(ドラマCD)[9]
- ヨーク公の右腕的存在。キングメーカーと名をはせるが、王位に就いたエドワードの勝手な行いで、整いつつあったフランスとの和睦が破談になって面目を失う。ジョージを誘い込んでランカスター派に寝返り、エドワードに反旗を翻す。
- アン
- 声 – 鈴代紗弓[10]
- ウォリック伯の長女[注 3]。リチャードを慕うが、ランカスター家の王子エドワードと結婚させられる。
- ウォリック伯死後の戦いでエドワードを守るため影武者となるが、目的を果たせずに終わる。
- その後、妹イザベル夫婦の元で虐待を受けながら過ごすが、リチャードの求愛を受けて再婚する。
- 息子エドワードを産むが、その実の父はランカスターのエドワードで[注 4]、リチャードもそれを承知で自分の子として育てる。
- イザベル
- 声 – 真野あゆみ[10]
- ウォリック伯の次女[注 3]。ジョージと結婚する。
- 娘と息子を産むが、ジェーンの薬で命を落とす。
ランカスター家
- ヘンリー六世
- 声 – 緑川光[7]、川井田夏海(幼少期) / 浪川大輔(ドラマCD)[8]
- ランカスター家の王。敬虔なクリスチャンで、戦や殺戮を嫌う。羊飼いに憧れ、森の中でリチャードと出会い、互いの素性を知らないまま惹かれあう。
- ヨーク派に捕らわれ、錯乱に陥った末、リチャードに刺される。
- マーガレット
- 声 – 大原さやか[7]
- ヘンリー六世の王妃。不甲斐ない夫に代わって軍を指揮し、王位を巡ってヨーク家と抗争する。夫との関係は冷めている。
- エドワード
- 声 – 天﨑滉平 / 松岡禎丞(ドラマCD)[8]
- ヘンリー六世の息子。驕慢な性格。幽閉中のリチャードを訪ねた際に、はだけた胸元を見てしまい、リチャードを女だと思い込んで懸想する。
- 最後の戦いで母の束縛を嫌って戦場に飛び出し、リチャードに捕らえられる。ヨーク家のエドワードと捕らわれた母の前に引きたてられて、ジョージとリチャードに刺される。
エドワード四世宮廷の人物
- ヘイスティングス
- 声 – 伊丸岡篤
- エドワードの側近。
- ドーセット侯、グレイ卿
- 田丸篤志(ドーセット)、土岐隼一(グレイ)[13]
- エリザベスと先夫の息子たち。
- ジェーン
- ロンドンの商人の妻で、エドワードの愛人になる。自ら魔女を称し、様々な薬を調合して、呪術も行う。宮廷を淫らに堕落させ、ジョージ夫婦を陥れる。
その他
- ジャンヌダルク
- 声 – 悠木碧[11]
- 「男装の罪」で処刑されたフランスの魔女。亡霊となってリチャードを惑わす。
- 白猪
- 怪我をしていたところをリチャードに助けられて以後、彼に懐く。リチャードには「白いの」と呼ばれる。
- ジェイムズ・ティレル
- 声 – 緑川光[13]
- 左目に傷を持つ謎の殺し屋。本当の名は誰も知らず、本人は記憶を失っているよう。リチャードを己の王と崇めている。
書誌情報
ノベライズ
- 真楠ヨウ(著)、菅野文(原案・イラスト) 『薔薇王の葬列 original novel 五つの幕間』 KADOKAWA〈富士見L文庫〉
テレビアニメ
2022年1月よりTOKYO MXほかにて連続2クールで放送中[7][32]。当初は2021年秋に放送予定としていたが[33]、制作上の都合により放送時期が変更となった[34]。ナレーションは大塚芳忠[7]。
スタッフ
主題歌
- 「我、薔薇に淫す」[35]
- 古川慎による第1クールオープニングテーマ。作詞はALI PROJECTの宝野アリカ、作曲は酒井拓也、編曲は河合泰志。
- 「荊棘輪舞曲」
- 古川慎による第2クールオープニングテーマ。作詞は磯谷佳江、作曲・編曲は河合泰志。
- 「悪夢」[35]
- ZAQによる第1クールエンディングテーマ。作詞・作曲はZAQ、編曲は石川智久。
- 「螺旋」
- Nowluによる第2クールエンディングテーマ。作詞・作曲・編曲は白戸佑輔。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 初放送日 |
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第1話 | Wars of the Roses | 内田裕基 | 鈴木健太郎 | 田中瑛 |
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橋詰力 | 2022年 1月9日 |
第2話 | Father Is My Light | 松井郁洋 |
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1月16日 | |||
第3話 | I Am the Shadow, the Darkness Behind the Light |
中嶋清人 | 橋詰力 | 1月23日 | |||
第4話 | I’m Afraid I’m Going to Lose the Answers I’ve Gotten and…Everything Else. |
松根マサト | 黒瀬大輔 |
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1月30日 | ||
第5話 | If I Don’t Grab Your Hand, I Won’t Have to Let Go. |
西田健一 |
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橋詰力 | 2月6日 | ||
第6話 | A man who has no awareness as king… A man who is not qualified to be king… Neither of them is fit for the throne. |
鈴木行 | 田中瑛 |
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小森篤 | 2月13日 | |
第7話 | Even if I sin… | 安藤良 | 羽迫凱 |
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2月20日 | ||
第8話 | Even alone, it wasn’t frightening. Rather…the loneliness has been kind ever since losing Father. |
鈴木行 |
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小森篤 | 2月27日 | |
第9話 | I remember when Christmas was approaching. The time when I lost Father. |
栗井重紀 |
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3月6日 | |||
第10話 | My name is Richard Plantagenet. | 黒瀬大輔 |
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3月13日 | |||
第11話 | That is my… my punishment… | 鈴木行 | 山内東生雄 |
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3月20日 | ||
第12話 | Richard is dead, died alone in the woods that day. |
鈴木健太郎 | 田中瑛 |
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3月27日 | ||
第13話 | After all, this body is just a prison of the soul… |
西田健一 |
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4月10日 |
放送局
BD
巻 | 発売日[38] | 収録話 | 規格品番 | |
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A-on STORE・ アニメイト限定版 |
特装限定版 | |||
1 | 2022年3月29日 | 第1話 – 第6話 | BCXM-1714 | BCXA-1710 |
2 | 2022年5月27日予定 | 第7話 – 第12話 | BCXM-1715 | BCXA-1711 |
Webラジオ
リチャード役の斎賀みつきによるWebラジオ『薔薇王の葬列Radio〜リチャードの部屋〜』が、2021年1月7日より音泉にて月1回配信[39]。
舞台
テレビアニメ版を原作とする舞台「薔薇王の葬列」が、2022年6月10日から19日に日本青年館にて上演予定[3]。
キャスト(舞台)
スタッフ(舞台)
- 原作 – TVアニメ「薔薇王の葬列」
- 演出 – 松崎史也[3]
- 脚本 – 内田裕基[3]
- 主催 – 舞台「薔薇王の葬列」製作委員会
- 制作 – バンダイナムコライブクリエイティブ / Office ENDLESS
脚注
注釈
- ^ a b c エドマンド(エドワードとジョージの間の兄弟)や早世した兄弟たちは省かれている。
- ^ 実はリチャードに殺害されたが、このことはリチャード本人以外には知られず、一方でリチャードは殺害した相手の妻がエリザベスだとは知らない。
- ^ a b 史実とは姉妹の順が逆になっている。
- ^ 史実では、ランカスターのエドワードがテュークスベリーの戦いで敗死したのが1471年5月、アンとリチャードの結婚が1472年7月で、息子エドワードの誕生は1473年頃とされる。
出典
外部リンク
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