毎日でぶどり – Wikipedia

毎日でぶどり(まいにちでぶどり)とは、橋本ナオキによる日本の漫画及びアニメである。ここでは単行本「会社員でぶどり」についても述べる。

作者である橋本がTwitter[1],Instagram[2],ブログ[3][4][5]に2018年1月1日から[6]ほぼ毎日(2019年10月以降は土曜日は除く[7])投稿をしている。

主人公のでぶどりと後輩のひよがブラック企業(名称不明)でハゲタカ部長にこき使われる「でぶどり社畜期」、待遇の良い会社に転職した二羽の日常を描く「でぶどりアルバイト期」「でぶどり正社員期」などに分かれている[6]

内容は主に4話から10話ほどで一つの話になっているものと、一話で完結する短編、「ありがちなこと」シリーズの3種類に分類できる。

登場人物はすべて鳥であり、初期の漫画では「人柄[8]」「人生[9]」といったように「人」の字の入った言葉をそのまま使っているが、次第に「他の鳥[10]」「大勢の鳥たち[11]」といったように「鳥」と置き換えている。

2019年03月、『会社員でぶどり』として書籍化された[12]

誕生の経緯[編集]

作者によると、LINEスタンプを始めて作った時に、「『LINEスタンプの人気キャラクターは白くて丸いのが多い』という理由から」、太ったニワトリのキャラクターにしたという。社会風刺系の漫画を描いたときに反響が大きかったことから、自らの会社員時代の経験をもとにしたりして話を作ったとのこと[13]

あらすじ[編集]

でぶどり社畜編[編集]

でぶどりがブラック企業に入社から10年、ひよが入社してから4年経過していた。でぶどり達は職場の異常さには気づきながらも、なんとなく仕事を続けていた。暫くして、この会社にも働き方改革が訪れる。しかし働き方改革とは名ばかりで残業が禁止になった分、サービス残業が増えるなどの結果となった。これにひよは「本当の働き方改革は自分でやるもの」とブラック企業を退職し、でぶどりの家での共同生活を始める[14]。その後、でぶどりはひよに度々(ひよの発言によると1000回[15])会社を辞めるために背中を押してもらったのち、なんとか退職を決めることに成功する。

でぶどり転職活動編[編集]

でぶどりは様々な会社の面接を受けるも、なかなか採用されない。「目ぼしい所は落ちまくり、行きたい所は募集していない(要約)」と、でぶどりが言うと、既に転職に成功していたひよは「その行きたい所に電話して入社したい旨を伝えること」を勧める。でぶどりは行きたい会社に電話すると「採用はしないが興味があったら遊びに来て」と会社側から伝えられる。
そして、実際に訪問するとアルバイトとしての入社が決まる。後日、ひよと共に通勤をしていくと同じビルに辿り着く。そこでアルバイト入社したのが、偶然にもひよと同じ株式会社ズメックであったと気付く。

でぶどりアルバイト編[編集]

でぶどりの入社後は、「ピノさん空を飛ぶ編」「ジャックさん後輩と仲良くなりたい編」など、でぶどりとひよのズメックの社員らとの日常が描かれる。「コンペと陰謀と成長編」では、ジャックがコンペに出ようとしていたところをおナスに妨害され参加できなくなってしまい、その代理としてコンペに参加したひよの代理としてでぶどりがスピーチに参加する。カンペを持って来るのを忘れてしまったものの、自身のブラック企業で働いていた経験を元にスピーチを行い、成功を収める。「オーちゃんと正社員編」では、でぶどりがズメから正社員になるための課題として、オーちゃんの悩みを解決することを挙げられる。始めは自力でやろうとしたが挫折、そしてひよたちの助言を受け、オーちゃんには時間をかけてやりたいことを見つけることを提案。
課題の達成はできなかったものの、でぶどりは正社員になることができた。

でぶどり正社員編[編集]

でぶどりは正社員になった少し後に、インターンシップ生としてパロとビルがやってくる。でぶどりはビルを、ピノはパロを担当し、ひよが総括役となる。その後は、社員旅行やズメ社長の入院、ジャックとミシェルの娘のキャロルの誕生など様々なストーリーが描かれている。

ズメックの新卒採用の面接が終わった後、でぶどり、ひよ、ピノ、ジャックの4羽でズメックの新規事業を起こすことになる。休職中のルーク(この時点ではズメとジャックしか顔を知らない)に代わってピノが部長を務める中、若鳥のキャリアサポートを行うこととなる。でぶどり達のブラック企業での経験とピノの会話術が役立ち、順調に事が進むと思われた矢先、経理部からズメックの大型契約が次々と破棄になってしまい、会社の存続が危ぶまれる。そんな中、事情を知ったオオトリが条件は悪いものの仕事を回してくれることになったが、急なことだからと言って条件をよくしてくれる気配はない。そのことについてでぶどりとひよが行きつけのかき氷屋の大将に愚痴をこぼしたところ、周囲の仕事を抑えてその後に条件の悪い仕事を回すというのがオオトリの策略だと大将が明かす。その後大将に励まされたでぶどり達若手の努力もあって消滅した取引が復活し、ルーク(大将)の説得もあってオオトリは非を認めて賠償することに[16]

その騒動も終わり、インターン期間が終了した後、新入社員としてパロ、ポリー、トールの三羽がズメックに入社。メンターとしてポリーにはひよ、トールにはピノ、パロにはでぶどりがなることになる[17]

登場キャラクター[編集]

作者によると登場人物が鳥になったのは作業の手間を減らし、話の展開やセリフを練るのに時間を割きたかったからだという。可愛いだけでは印象に残らないので興味を持ってもらえるよう、「ホワイト企業に勤める黒いカラス」といったようなギャップを大事にしているという[18]

でぶどり
声 – 橋本ナオキ
できれば毎日寝て過ごしたいニワトリ。一人称は「おれ」。大学卒業後「ダメ就活」のために採用が通らず、合同説明会に行こうとしたところをハゲタカに拾われて後[19]、10年間ブラック企業に勤めていたが、少し前に退職したひよの後押しもあって退職。現在は株式会社ズメックで勤務している。最初はアルバイトとしての勤務だったが、のちに正社員になる。好きな食べ物はわかめうどんとカレー。
ひよ
声 – 藤木英史
でぶどりの後輩のひよこ。一人称は「僕」。ハーバードリ大学を卒業後、海外で起業した友人を手伝った後に、姉に「業績の良くない企業を経験した方が良い」と勧められたため、でぶどりの勤めていた会社に就職[20]。4年間勤務したのち、退職したのちはでぶどりの家で共同生活をしている。その後、ズメックにでぶどりより先に入社。一羽の姉と、その子どものぴよがいる。ブラック企業で働き始めた時に、同僚にミスを捏造されたのをでぶどりにかばわれて以来、彼のことを慕い、「先輩」と呼んでいる[21]。好きな食べ物は刺身。休日は本を読んで過ごす。

でぶどりの前職のブラック企業[編集]

ハゲタカ部長
声 – 山ちゃん
でぶどりとひよの元上司。一人称は「俺」。長時間働くことが真の労働だと心の底から信じている。部下の手柄を自分の指導のおかげとする、サービス残業を強要するなどの行為が部下から嫌われ、「クソ上司」「ハゲ」などと呼ばれている。最初は部下に優しくしようとしていたが、初めての後輩に侮られたのをきっかけに部下に厳しくするように。その後も部下に優しくするとつけあがると思うようになってだんだんと厳しさが理不尽なものとなり、今に至る[22]
まるどり
でぶどりたちが退職した年に入社した[23]後輩。ゆとり世代だが、本人たちはそう呼ばれるのを嫌う。

株式会社ズメック[編集]

ズメ社長
株式会社ズメック社長のスズメ。毎朝会社の前とトイレを掃除している。一人称は「わたし」。寛容な性格だが、不誠実な対応にはとても怒る。自分のやりたいことのために[24]株式会社ズメックを起業。社員に負担をかけるくらいなら自分でやろうとする傾向があり、無理をして倒れ、入院したことがある[25]
ピノ
声 – 小林葉月
コミュニケーション能力が高く、誰とでもすぐに仲良くなれるペンギン。一人称は「ぼく」。入社3年目のときにでぶどりたちが入社してきたのででぶどりは後輩にあたるが、ひよが「先輩」と呼ぶのにつられて「でぶどり先輩」と呼んでいる。ペンギンではあるが、でぶどり達の協力により驚いたときに少しだけ飛べるようになった。ペンギンには難しいギターを弾きこなし、ライブも開催している[26]。ペギーによると、ピノは「母親のことがあって気持ちの伝え方として」音楽を始めたという[27]。実の母親は幼いころに亡くなっており、父と継母の鶴に育てられる。実の母親が最期に「ピノにもっと伝えたいことがあった」と言ったのをきっかけとなり、父が伝えたいことを伝えられるように努力した結果、おしゃべりになったという。[28]
ジャック
ズメックで社外交渉や営業をしているクジャク。一人称は相手によって「私」と「俺」などを使い分けている。かつては仕事があまりできなかったが、後に妻となるミシェルに鍛えられ、力を付けた。後輩たちに嫌われたくないからと最初はあまり話せなかったが、ミシェルに送るはずのLINEを間違ってひよに送ったことがきっかけとなり、ひよの助力により次第に話せるようになった[29]。妻が産卵してからは、卵休[注釈 1]をミシェルと交互にとることから早く帰ったり休む日が増えている。娘のキャロルが卵から孵化して以降は、少しでも多く娘の顔を見られる時間をとろうとしている[30]
オーちゃん
ズメ、ジャックに次ぐ古参のオオハシ。受付から秘書まで、さまざまな仕事を幅広くしている。やりたいことが無いのが悩み。でぶどりのアルバイトから正社員への昇格のための課題も兼ねて社長から悩みを解決してやってほしいと頼まれたでぶどりの助言で、やりたいことを見つけるためにさまざまなことに挑戦するようにしている。娘のパーちゃんを何よりも溺愛している。その後、自分のやりたいことは料理であると結論を出している[31]
パロ
学生時代にビルとともにズメックのインターンに参加したサクラブンチョウ。話すのが得意で相手にズバズバと言うことも多い。でぶどりのスピーチに感動してズメックへのインターンに参加。インターン期間終了後、改めてズメックに入社した。でぶどりに憧れていて、大将(ルーク)のスイーツ屋台に一緒に行ったことがある[32]。食パンが好きで、疲れた時に、かけられるだけ塩をかけて食べるほか、パンのにおいを嗅いだら気分が高揚して集中力も増すからと、パン屋のアルバイトを副業でしようとしたこともある[33]
ビル
パロとともにズメックのインターンに参加したハシビロコウ。行動力が大きく、親や先生などに教えてもらったことを広く浅く実践している。経験値が広く浅くなっているので、これと言った武器がなく、それを気にしてインターンを途中でやめようと考えたこともあったが[34]、ひよの助言により元気を取り戻している。その後はズメックの内定を得たが入社を辞退し、親戚の企業(オオトリの会社かどうかは不明)に勤めることにした[35]。オオトリの息子で、会社を継いで業界一の企業にする後継者として期待されていた[36]
ポリー
パロ、トールとともにズメックに新卒枠で入社したオナガ。やる気はあるが言われたことを重く捉えて落ち込みやすい[37]。いろいろなことが不安の元となってしまうことが悩みで、偶然会ったひよの姉に相談したことがある[38]。尾羽が長く、お辞儀をしたときには前に垂れてくる。尾羽を引きずることで尾羽が汚れないように、毎朝尾羽をワックスで固めているという[39]。飲み会には乗り気で、久しぶりの飲み会で、あと5軒行こうとでぶどり達に提案したことがある[40]
トール
パロ、ポリーとともにズメックに新卒枠で入社したフクロウ。トールは体が高く伸びることからついたあだ名で、本名はヴィンセルバルトウルトフスキ[35]。外国から来た鳥で、その発音を笑いものにされていた時期があり、初対面の鳥とはできるだけ言葉少なく会話する癖がついている。

その他登場人物[編集]

カラスくん
でぶどりと同じ大学に通っていたカラス。一人称は「僕」。新卒時代からかなりのホワイト企業に勤めている(企業名は不明だが、烏鶏グループに属している企業である模様[41])。残業ができないことを退屈に思っている[42]。自分が成長できていないような気がして、ひよに相談をしている。
おナス
ジャックに対して劣等感から敵対心を抱き、陰ながら邪魔をしていた鳥(野菜のナスをモチーフとしている)。一人称は「俺」。紫色の体に、茄子のヘタのようなものが頭の頂上についている。子供のトマとマトをかわいがっている子煩悩。ズメックの面接に参加したが、新卒枠であったため(「心はいつでも新卒」と言っていたが[43])不採用になり、そのまま元の会社で働いている[44]
ミシェル
ジャックの妻の白鳥。ジャックがかつて勤めていた会社の上司。外資系企業にヘッドハンティングをされ、のちに最高執行責任者(COO)になる。その後、COOの役職を降り、自分で会社を作ることにしている[45]
オオトリ
ズメックの取引先の社長を務めている鳥。体が大きいため、会社のビルから出るときに部下に引っ張ってもらうことがあった[46]。ジャックが入社した頃から共に仕事をしている。ルークとともに会社を立ち上げたが、会社のが大きくなるにつれ、他社の悪評を立ててその企業の仕事を吸収するなどの手法をとるようになっていたが、その手法についていけなくなって退職したルークとの再会により、非を認めて事業を吸収しようとしていたズメックに賠償することに[47]
ルーク(大将)
でぶどりの行きつけのスイーツ屋台の大将。最初に登場した当時は本名は明かされていなかった。一人称は「オレ」。オオトリの会社を離れたのち、ズメックに入社。ジャックがズメックに入社した時の面談を務めた。その後「部下に厳しくしすぎて[48]」ズメックから離れ、屋台を始めるように(書類上はズメックを休職扱いだったが、ズメックへの復帰をする気はなかった模様[49])。その後ジャックらの懇願もあり一番下の立場からではあるがズメックへ復帰することに[50]。屋台では新しいことを取り入れるのが得意で、かき氷の種類は、でぶどりがパロを連れて来店した時には68種類[51]となっている(会社員でぶどり3のキャラ紹介では65種類となっている)。ズメックに復帰してからも、ズメ社長の要請もあって、[52]週末だけではあるものの屋台の経営を続けている[53]
ペギー
ピノの高校の同級生のペンギン。ピノの憧れの鳥で、再開時にピノはペギーに恋するように。高級アイス店にて、ピノに自分が彼のギターのファンであったこと、そのギターを自分の結婚式で弾いてほしいことを伝える[54]。しかし、その予定されている結婚が不自然に延期され続けていて、政略結婚ではないかという噂も立つ[55]。その真意を問おうとしたピノの説得もあり、「自分にウソをつくことに慣れてしまいたくない」と、結婚の取り決めを考え直すように自分から両親に働きかける[56]
チック
大学卒業後すぐ海外で起業し、ひよがしばらく手伝っていた友人の鳥。頭に割れた卵の殻を被っていて、感情が爆発した時などにそれを弾けさせる(その後自分で直している)。起業した会社は急成長を遂げ世界でも注目されている[57]が、いかに効率的にたくさんのお金を稼ぐかばかりを考えるようになってしまい、小さな会社やそこで働く鳥たちをバカにするようになってしまう。鳥国(でぶどりたちの住む国)での活動をしようと、ひよを挑発してズメックから引き抜こうと「1万円を上限にどれだけ相手を喜ばせられるか対決」を仕掛けるが[58]、ひよが「チックの会社に入る」という条件を提示したため勝負が不成立になり、引き抜きに失敗する。

取引先3兄弟[編集]

ズメックの主要取引先の三羽。実の兄弟ではないが、四六時中一緒にいて、同じ墓に入ると約束するほど仲がいいのでそう呼ばれている。

名前はそれぞれイヴァン(青)、ジェイコブズ(赤)、トラヴィス(緑)[59]。トラヴィスが他の二羽に助けてもらったのが仲良くなったきっかけだという[60]

会社[編集]

毎日でぶどりでは主に二つの会社が登場する。

でぶどりの前職のブラック企業[編集]

社内規則では、始業時間、休憩時間などの決まりは厳格だが、残業時間については規定がない[61]。壁には、「残業禁止」「残業するならタイムカード切るべし」などと書かれているなど、サービス残業が常態化している。でぶどりたちの退職後、月に1回は土日両方休めるようになり、残業は60時間に減った(書籍では「サービス残業が半分に減った」となっている)。まるどりによるとこれでも労働環境は「かなりマシに」なっているという[62]

株式会社ズメック[編集]

ズメが起業した会社。ビルの6階を丸ごと借りていて、でぶどり達が在籍する部署のほかに経理部などの部署があり、未登場の社員も複数いる[63]。ひよによると在宅勤務可能で週休3日制、年収は前職の倍近くになったという[64]。フレックスタイム、ライフイベントに合わせた休暇や一時金の支給、資格取得など成長のための投資の全面的支援があり、社内託児所や無料の社員食堂の導入を予定している[65]。実際に常設ではなく出張という形式ではあるがヒナ預り所を設置している[66]

単行本「会社員でぶどり」[編集]

  • 橋本ナオキ 『会社員でぶどり』 産業編集センター〈SHCブックス〉、既刊6巻(2021年6月1日現在)

アニメ「毎日でぶどり」[編集]

作者の橋本ナオキがYouTubeのでぶどりチャンネル[74]でアニメ化している。過去の漫画に音声をつけただけのものから、新しく描きなおしたものまでと様々な種類がある。登場人物の声は橋本と藤木、小林、山ちゃんが担当しており、BGMは藤木と小林が作曲している。

作者によると、始めは独学で作っていたものの、最近(2019年12月時点)では質の向上のため動画の専門学校に通っているとのこと[75]

ラジオ番組「でぶどりラジオ」[編集]

2020年1月29日、毎週月曜日に作者が司会を務めるラジオ番組「でぶどりラジオ[76]」が放送されている。

2020年4月18日、毎週水曜日にでぶどりラジオの生放送が始まった。生放送第3回の2020年4月29日から第11回の2020年5月6日まで8日連続生放送。その後、不定期で生放送はされている。

ゲストとして藤木が初回から連続出演している。また、小林もゲストとして出演することがある。なお、BGMはアニメ内で使われている楽曲と同じものが使われている。

注釈[編集]

  1. ^ 卵を温めるための休みで、産休のようなもの。

出典[編集]

外部リンク[編集]