『名探偵コナン 純黒の悪夢』(めいたんていコナン じゅんこくのナイトメア)は、2016年4月16日に公開されたアニメ映画で、劇場版『名探偵コナン』シリーズの20作目にあたる。上映時間は112分[2]。劇場版『名探偵コナン』の20周年記念作品であり、興行収入は前作から20億円近く上乗せし63億3,000万円を記録している。キャッチコピーは、「黒に染まれ」「ダブルフェイスはここまでだ」「暴かれるダブルフェイス」「暴かれたダブルフェイス!宿命が導く、頂上決戦(バトルロイヤル)ミステリー!!」。 2018年2月10日には4DX/MX4D版も公開された。 概要 沿革 原作やアニメでは黒の組織とFBIが対峙(たいじ)するのは定番だが、劇場版でこの2組がともに作品に関与して対峙することは初めてとなる。また、CIAや公安警察も初めて劇場版に関与する。 それぞれバーボンとキールのコードネームで黒の組織へ潜入捜査を行なっている公安警察の安室透(降谷零)とCIAの水無怜奈(本堂瑛海)が劇場版初登場となる。FBIの赤井秀一はすでに前々作の『異次元の狙撃手』で登場してはいるが、当時は回想シーンや声のみだったため[注 1]、こちらも初の本格的な劇場版登場となる。赤井と安室は、本作ではストーリーの中心人物として活躍する。また、明確な姿や影は描かれず変声機を通したような声のみではあるが、これまで原作とアニメの双方において謎に包まれていた、黒の組織のナンバー2にあたるラムも初登場する。さらに、原作とテレビアニメでも故人として描写されていた元・警視庁捜査一課の刑事だった松田陣平も、回想シーンにて初登場している[注 2]。赤井と同じくFBI捜査官で日本で活動しているジョディ・スターリング、ジェイムズ・ブラック、アンドレ・キャメルの3名は、赤井同様に『異次元の狙撃手』以来2年ぶりの登場となるが、ジェイムズの声は2014年9月30日に家弓家正が死去したため本作から後任として土師孝也が担当し、テレビシリーズに先駆けての出演となった。前作『業火の向日葵』に続いて白鳥警部が登場しておらず、2作続けて登場しないのも初である。 本作は従来のシリーズに比べてアクションの要素がかなり多く、推理要素は少なくなっている。また、エピローグは例年の笑いを誘う内容ではなく、第13作『漆黒の追跡者』以来シリアスな内容で締められている。 本作からオープニング映像が一新されており、片目で見ると3Dのように立体化する施工になった。内容も以下の通りに変更されている。新一がAPTX4869によってコナンになるまでの経緯や、灰原の紹介などが新規作画で描かれている[注 3]が、きちんと経緯を流していたそれまでの作品と比べて流れる時間は極端に短く、CGの中で断片的に数秒間流す程度になった。劇場版に初登場となる安室透と水無怜奈、FBIも紹介されているが、博士のアイテムの紹介などは省略されている。また、この紹介の中で降谷零が警察庁警備局警備企画課(ゼロ)の所属である事が、原作やアニメに先立って明言された。演出では、新一がコナンになった経緯と、灰原の紹介では、レンガもしくはパズルのピースを背景に、1カットずつ映像が挿入され、カットが変わるごとに映像が白黒になった。また、工藤新一、江戸川コナン、監督のクレジットなどが表示される際、過去の劇場版のタイトルの1文字が様々に組み込まれている。オープニングで大幅に演出が変わったのは第11作『紺碧の棺』以来9年ぶりとなる。本作と次作『から紅の恋歌』では、オープニングでの声の出演のテロップはコナン役の高山みなみに続いて、灰原役の林原めぐみが表示されている。 エンドロールにて、第17作『絶海の探偵』以来3年ぶりに事件後の様子が描かれており、前作に引き続きコナンの目は登場しない。また、終盤ではチーフプロデューサーとして2011年7月までの15年7か月間シリーズに携わり、2016年1月14日に逝去した吉岡昌仁が追悼されている。 本作では劇場版シリーズ初の試みとして入場者プレゼントが用意され、過去の劇場版作品の中から1本が無料で視聴できるシリアルコード付きのカードである「青山剛昌からの純黒の感謝状!」が全国先着400万人に配布された[8]。 劇場版シリーズの定番となっているエンディング後の次回作の予告が今作でも放映された。エンディングの後、満月と紅葉の落葉を背景に、服部平次の声[9][10]で「しのぶれど…ちゅうワケか」というセリフとともに[注 4]、次回作の製作が決定したという旨の字幕による予告が流れた。明らかになったのは2017年春に公開予定との情報のみで作品名や内容は明らかになっていなかったが、のちに『から紅の恋歌』であると明らかになった。 2016年10月24日からは東京・池袋HUMAXシネマズにて、「大応援上映会」が開催された。これはいわゆる応援上映の形式であり、当映画シリーズでは初めての実施であった。本作以降、毎年実施されるようになっている。 2018年2月10日にはシリーズ初となる4DX/MX4D版が期間限定で公開された。上映の際は当時『ゼロの執行人』公開を控えていたことを踏まえ、江戸川コナン役の高山みなみと安室透役の古谷徹らのサイン入り『ゼロの執行人』オリジナルポストカードが入場者先着で配布された。また、本編上映後には、同作のメインとなった安室透によるメッセージ映像が追加されている[11]。 近年のシリーズの他作品と同様に、本作も小学館ジュニア文庫から2016年4月14日に小説版が発売された[12]。
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