Month: July 2019

聖職者の巣穴 – Wikipedia

聖職者の巣穴(せいしょくしゃのすあな、priest hole)とは、近世イギリス(イングランド)のカトリック迫害の時代において、有力なカトリック教徒の家の多くに作られていた司祭(神父)の隠れ場所(隠し部屋)である。英語をそのまま読んだプリースト・ホールとも呼ばれる[1]。 特に女王エリザベス1世の治世下において、女王を排除しようとするカトリック教徒の陰謀がいくつか発生し[2]、これを受けて最高刑である首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑を含むカトリック司祭に対する厳しい措置が取られた。このため、多くの豪邸(城やカントリー・ハウス)では、家宅の捜索を受けても司祭の存在を隠せるように聖職者の巣穴が作られていた。これらは壁の中、床下、羽目板の裏などにあり、しばしば隠蔽に成功した。 多くの巣穴は、イエズス会平修士(英語版)ニコラス・オーウェンが設計したものであり、迫害された司祭たちの命を守るために彼は人生の大半をこの建設に費やした。火薬陰謀事件を受けてオーウェン自身も捕らえられ、ロンドン塔に連行のち拷問台による尋問によって命を落とした。彼は1970年に教皇パウロ6世によって殉教者として列聖された。 時代背景[編集] 1533年から1540年にかけて、ヘンリー8世はローマ教皇庁より、国内における宗教の実権を奪うべく行動を起こし、数十年にわたる宗教的緊張が始まった。イングランドのカトリック教徒たちは、旧教より分離し、新たに設立されたプロテスタントのイングランド国教会が支配する社会での生活を強いられた。ヘンリーの娘であるメアリー1世の時代に少し揺り戻しが起こるものの、1558年に同じくヘンリーの娘でメアリーの妹である女王エリザベス1世の時代になると、彼女は公職や教会の役職に就いた者は、教会と国家の長である君主に忠誠を誓うことを義務付ける「エリザベス朝の宗教的和解」を導入し、宗教対立の激化に対応した。イングランド国王が最高統治者であることを認めることを誓う「至上権承認の宣誓」を拒否した場合の罰則は厳しく、誓約を守らなかった場合は罰金を科せられ、再犯者には投獄や処刑の危険があった。特にイングランド人やその他プロテスタントをカトリックに改宗させた「教皇派」の司祭または信徒を発見した場合は大逆罪によって処刑(首吊り・内臓抉り・四つ裂きの刑)される法律も制定された。こうした時勢を受けて、隠れた神父を探し出し、当局に通報する司祭ハンター(英語版)という職業も登場した[4]。投獄された神父に対する拷問もあった。こうして司祭たちは拷問や処刑の脅威に晒されながらも、秘密裡に信仰を続けた。 1603年にエリザベス1世が亡くなった後も、後を継いだジェームズ1世の治世下で起こった火薬陰謀事件(1605年)を機に、神学校の神父らに対する取り締まりなど、さらに迫害は苛烈になっていった。 具体事例[編集] ハーヴィントン・ホールの隠し部屋の一つ。大階段の段差を利用した入り口がある。 イングランドの城や地方領主の邸宅(カントリー・ハウス)は、奇襲を受けた時の対応として、隠し部屋や隠し通路など、何らかの対策が講じられているのが一般的であった。カトリック迫害時代になるとカトリックの旧家では、さらに隠し部屋や隠れ場所を増やしていった。そこは邸内の奥まった場所や屋根裏に、居室や礼拝堂のような様式で建築されていることが多く、そこではプライバシーが守られ、安全にミサを執り行うことができた。さらにその近くに巧妙な隠し部屋があり、緊急時に司祭が潜り込めるようになっているだけではなく、祭服や聖器、祭壇などがすぐに収納して隠せるようにできていた[5]。これが「聖職者の巣穴」と呼ばれ、暖炉や屋根裏、階段などに作られ、主に1550年代から1605年の間に建築された[4]。 ニコラス・オーウェン[編集] このような隠れ場所はイエズス会の平修士(英語版)ニコラス・オーウェン(1606年没)が、迫害された司祭たちの生命を守るために人生の大半を捧げて作ったといわれている。 オーウェンは比類なきスキルで、司祭たちを地下道に沿って安全地帯に逃がす方法や、壁の間やそれ以上は進めない奥まった場所に隠す方法、迷路状や幾重にも曲がりくねった通路の中に隠し部屋を設ける方法などを熟知していた。さらに彼が長けていたのは、その出入口を偽装して、まったくそんな部屋があるとは思わせないようにすることであった。オーウェンはこれらの場所を完全に守秘し、他人に明かすことはなかった。彼のみが設計者であり、かつ建設者であった。彼がどれほどの数の隠し部屋を作ったかは不明であり、おそらく未だ発見されていないものもある[5]。 他にも煙突(煙道)から派生させる形で作ることもあれば、羽目板の後ろに設けることも気に入った方法であった。この典型例がノース・ヨークシャーにあるリプリー城である。他にケンブリッジ近郊のチェスタートン・ホールのように、水洗便所の中に組み込まれたものもある。ウスターシャーのハーヴィントン・ホールは、大階段、羽目板の裏、偽の暖炉からの出入り口を含めた、7つの聖職者の巣穴が設けられた邸宅である[6]。 火薬陰謀事件の後、オーウェン自身もウスターシャー州ヒンドリップ・ホールで捕まり、ロンドン塔に投獄され、拷問台による尋問を受けて亡くなった。1970年、教皇パウロ6世により殉教者として列聖された。 聖職者の巣穴の有効性は、当時の捜査記録に登場する「追跡者(司祭ハンター(英語版))」の徹底的な探索から逃れることに成功したことによって実証されてきた。 捜索隊は熟練の大工や石工を伴い、型通りの測定や打診から、実際に羽目板や床板を剥がしたり、あらゆる可能な手段を試した。諦めて帰った振りをして、隠し部屋から出てきたところを発見するという手法もあった[4]。 神父たちは飢えや窮屈、長時間にわたってわずかな身動きもできないゆえの身体の痛みを感じ、わずかな物音も立てないように呼吸の音すらも聞こえないかと恐れていた。時には飢餓や酸素不足で命を落とすこともあった[5]。 注釈[編集] 出典[編集]

Continue reading

篠崎さん気をオタしかに! – Wikipedia

『篠崎さん気をオタしかに!』(しのざきさんきをオタしかに)は、氷川翔による日本の漫画作品。ウェブコミック配信サイト『COMIC メテオ』にて、2012年12月19日から2017年6月21日まで連載。コミックスは全9巻。 ストーリー[編集] 大のオタク嫌いな篠崎秋菜は、高校入学時におたふく風邪をひいて1週間休学し、学園生活で大事な女子グループ結成の機会を逃してしまう。このままでは友達もできないまま学園生活を過ごすことになると大慌てする秋菜だが、偶然にもクラスメイトでオタクの佐々村楓が美少女だと気付き、何とかして彼女とお友達になって、真人間に戻そうと、会話の接点を作るため、苦手なオタク話を克服しようと努力する。 これは、オタク嫌いな少女がオタクな友人を厚生させようと色々と画策していく内に、いつの間にかどっぷりオタクに染められていく物語である。 登場人物[編集] 声はドラマCDのキャスト。 主要人物[編集] 篠崎 秋菜(しのざき あきな) 声 – 石原夏織[1] 物語の主人公。15歳。重度のオタクである兄・真の影響で大のオタク嫌い。眼鏡を外した楓の素顔に一目惚れし、何とか彼女と友達になろうとする。そのために、まずは彼女との接点を築くために苦手なオタク関係の知識を身に着けようとするが、いつの間にか本人もどっぷりオタクに染められてしまう。 本来の趣味は衣装選びで、服のセンスは周囲が認めるほど。巨乳で、楓曰く「おっぱいマウスパッドと同じ感触」。文武両道・容姿端麗とクラスメイトからは高く評価されており、クラスメイトも内心友達になりたいと思っているが、秋菜は楓たちと話を合わせるために本人も気づかない内にオタク関係の専門的なことまで熟知するようになり、クラスメイトからは「オタクで残念な美少女」と評価されている。 『まもプリ』でのキャラ名は「ピュアオータム」。 佐々村 楓(ささむら かえで)

Continue reading

仮カレ – Wikipedia

本来の表記は「仮カレ♡」です。この記事に付けられたページ名は技術的な制限または記事名の制約により不正確なものとなっています。 この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(ハートマーク)が含まれています(詳細)。 『仮カレ♡』(かりカレ)は2015年11月3日より12月22日までNHK BSプレミアム『プレミアムよるドラマ』で放送されたテレビドラマ。 ネット通販会社のチームリーダーとして働くアラサーの豊島杏(相武紗季)と、事務所デスクとして働くアラフォーの原田美樹(中越典子)を中心に、アラサー・アラフォーの結婚観、恋愛観を描いたラブコメディである。 題名は「今の彼氏は好きだが、一生のパートナーとは考えられない」として、一応仮に付き合っている恋人の事を指している。 キャスト[編集] 〈〉内はドラマ設定年齢。 豊島 杏〈29〉[1] 演 – 相武紗季 ネット通販会社ホライズンで働く上昇志向のアラサー女子。仕事も男も妥協しないと主張を掲げるが、繋ぎのカレとして派遣社員の村井と秘密交際中。 原田 美樹〈38〉[1] 演 – 中越典子 ホライズンで働くおっとりタイプのアラフォー女子。事務職としては有能だし気遣いもできる。長く交際して結婚目前だった彼氏(佐野)がおり、会社のブライダル企画を利用して結婚予定だった。ところが一転、彼に二股を掛けられていることが発覚し、相手の女が妊娠したため婚約解消となりどん底に落ちる。異動で杏と同じ部署になる。

Continue reading

池田芳正 – Wikipedia

池田 芳正(いけだ よしまさ)は日本の実業家、ゲームクリエイター。大阪府出身。フランチャイズチェーンのカードショップ「カードキングダム」の創業者。また、ブシロードから発売されていた『フューチャーカード バディファイト』の原作者でもある。カードショップ経営時代からの愛称「池っち店長」で知られている。 スーパーマリオブラザーズ発売前から大手玩具店の店員として10数年テレビゲームを販売していた[1]。 2000年に徳島県にてフランチャイズのトレーディングカードゲーム(TCG)販売店「フューチャービー徳島店」を出店[2]。カードゲームメーカーに直訴してエラッタを実現するなど精力的に活動し[1]、2004年に拠点を東京都へ移し有限会社遊縁を創業、カードショップ「カードキングダム」を展開。販路を拡大する傍ら、ニコニコ動画にTCGの対戦動画を投稿し、カードゲーム動画の草分け的活動を行った。 2006年から2008年の間、インターネットラジオのかないみか&いけっち店長のカードキングダムラジオを配信した。 2009年から2011年の間、HiBiKi Radio Stationにてカードキングダムラジオを配信した。 2013年、『フューチャーカード バディファイト』の原作者としてカードゲームの製作に関わる(ゲームシステムやアニメにおけるストーリー、キャラクター設定、棋譜、プロモート計画等を考案したと語る[3])ようになり、8月31日にはカードキングダムグループの代表と遊縁の社長の座を退き[4]、スタジオ池っちを立ち上げる。 2015年、関係者間でのイメージ共有ができ、自らの仕事がなくなったとして、7月にはバディファイトの製作から離れた[5]。 2016年6月8日、カードキングダムの動画にて再び登場[注 1]、グループ店舗でのイベントに参加することを告知し[6]、以後動画への出演を続けている。 2017年3月22日にFORCE OF WILLがクラウドファンディングを開始したアニメ連動型TCG『ドミネイター』において原案を担当する[7][8]。『ドミネイター』は2019年内にアニメの放送を開始する計画であったが、企画が頓挫[3]。その後2018年末に権利がブシロードへ移管され、商品展開の計画を見直されている[9]。 2020年には株式会社大遊で新作カードゲーム『ゲートルーラー』の制作を行っていることをTwitterで公表した[10]。12月10日には一般ユーザー向け発表会を行い、12月26日から正式発売された[11]。 2021年1月9日、ブシロードからの提訴を受けて、大遊の代表取締役を辞任する声明を発表した[2]。「ゲートルーラー」の制作は継続する意向[12]。

Continue reading

ダッカ県 – Wikipedia

ダッカ県(ダッカけん、ベンガル語:ঢাকা জেলা)は、バングラデシュの中央部に置く県である。ダッカ管区の一部に含まれる。   この節の加筆が望まれています。 7世紀から8世紀にかけてサヴァールという都市はサンバーグの王国の首都として置かれた。この街はカマルパの仏教徒の王国やヒンディーの王朝の支配権を過ぎたパラエンピーレによる習慣として支えられた。 12世紀ごろ多くの信仰者がこの地の名についてバラール=セナによってゴッデスダケシュワリの寺院の設置後見出させた。 ダッカとその周辺はベンガル人が地方を回った際に、その地方都市であるラクシミバザールやシャンクリバザール、タンティバザール、パトゥアトゥリー、クマルトゥリー、バニアナガールそしてゴールナガールに似たいくつかの商業地を成立する街の形へとなっていった。 1608年ダッカではトルコ人やアフガニスタン人それにムガル到達前のデリーから下ってきたアフガニスタンの統治者によって規則書を引き継がれた。 人口と行政区画[編集] バングラデシュの中のダッカ県内の地図 ダッカ県の人口は2012年の時点で18,305,671人に及ぶ。 ダッカ県には以下の郡に分かれている。 ダムライ郡 ドハール郡 ケラニガンジ郡 ナワブガンジ郡 サヴァール郡 さらにその一部の郡内ごとに領地がいくつか分かれていて、以下がある[1][2]。 アダボール バッダ ビマン

Continue reading

ウクハランバ・ドラケンスバーグ公園 – Wikipedia

ロイヤル・ナタール国立公園の景観 ウクハランバ・ドラケンスバーグ公園 (uKhahlamba Drakensberg Park, uKhahlamba-Drakensberg Park, uKhahlamba/Drakensberg Park) は、南アフリカ共和国クワズール・ナタール州にある自然公園である。南アフリカとレソトにまたがるドラケンスバーグ山脈(ウクハランバ)に設定されており、ロイヤル・ナタール国立公園(英語版)をはじめとする複数の自然保護区群で構成される。 2000年にUNESCOの世界遺産リストに加えられた。その理由としては、自然美と生物多様性からなる自然要素、サハラ以南のアフリカでは岩絵が最も密集している地域であることなどの文化要素の両面があり[1]、複合遺産としての登録となった。2013年に隣接するレソトのセアラバセベ国立公園が拡大登録されたことにより、世界遺産としてはマロティ=ドラケンスバーグ公園の一部となった。 ウクハランバ・ドラケンスバーグ公園は以下の複数の国立公園や自然保護区をまとめて、1993年に設定されたものであり、1997年にはラムサール条約の登録地にもなった[2]。以下にこの自然公園を構成する国立公園や保護区を掲げるが、国有林の面積には、森林内の野生生物保護区の面積を含まない。 名称(仮訳) 英語名 IUCNカテゴリー 設定年 面積(ha) ロイヤル・ナタール国立公園 Royal Natal

Continue reading

トインビー・タイル – Wikipedia

上:ワシントンD.C.のダウンタウンで発見されたカラフルで大きなトインビー・タイル。 下:上の写真のタイルの下にある小さなタイルのクローズアップ。”As media U.S.S.R. and Fronts are against it.”(メディアとしてのU.S.S.R.やFrontsはそれに反対している)と書かれている。 トインビー・タイル(英語: Toynbee tile)は、アメリカ各地や南アメリカの路上で発見された、出所不明のタイルである。アメリカの主要都市約20か所と南米の4都市で、アスファルトに埋め込まれた状態で発見された[1][2]。1980年代以降、数百枚のタイルが発見されている。タイルは、アメリカのナンバープレート程度の大きさ(約30×15センチメートル)だが、中にはかなり大きいものもある。これらのタイルには、以下のような文言が書かれている。 TOYNBEE IDEAIN MOViE ‘2001RESURRECT DEADON PLANET JUPiTER (日本語訳)

Continue reading

フォルクスワーゲン・ポロ R WRC – Wikipedia

フォルクスワーゲン・ポロ R WRC(Volkswagen Polo R WRC )は、フォルクスワーゲンが2013年から世界ラリー選手権 (WRC) で使用している競技専用車(ワールドラリーカー)である。本項目では、公道仕様のポロ R WRC ストリートについても併せて記述する。 2013年からのWRC参戦に合わせて、S2000WRCの規定に対応させるため、S2000車両をベースとして、かつてF1チームのザウバーで技術部門の責任者であるテクニカルディレクターを長く務めたウィリー・ランプが指導し、ダカール・ラリーで3年連続の優勝を果たしたVWモータースポーツのエンジニアを中心に約17ヶ月を掛けて開発された[1]。走破性を高めるためにボディの幅を規定限界の1,820mmまで拡大、外側に大きく張り出したオーバーフェンダーが特徴。 主なテストドライバーはセバスチャン・オジェとカルロス・サインツ。プロトタイプマシンによる実戦での合計走行距離は4,800km、SSは120に及んだ。フォルクスワーゲン・モータースポーツ・チームの監督を務めるヨースト・カピートは、WRC会場でのインタビューに対して「出来る事は全て行った」と答えている[2]。 メカニズム[編集] エンジンは、1.6 リットル直列4気筒と直噴ターボを組み合わせたTSIにターボラグを解消するミスファイアリングシステムが備わる。トランスミッションはフロアシフトの6速シーケンシャル、駆動方式はディファレンシャルギヤを介する4WDで、0-100km/h加速は3.9秒となっている。最高出力は318PSだが、レギュレーションで33mm径のエアリストリクターの装着が義務付けられているため300PSに制限されている[3]。 2011年5月、第5戦 サルディニアの会場にて2013年からの参戦が表明されスタディモデル (コンセプトモデル)

Continue reading

松平乗薀 – Wikipedia

この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。出典検索?: “松平乗薀” – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年9月)   凡例 松平乗薀 時代 江戸時代中期 生誕 享保元年(1716年) 死没 天明3年7月6日(1783年8月3日) 改名 永之助(幼名)→乗薀

Continue reading