シンデレラ (1950年の映画) – Wikipedia
『シンデレラ』(原題:Cinderella)は、1950年のアメリカ合衆国のミュージカル・ファンタジー映画。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作によるアニメーション映画である。原作は、シャルル・ペローの童話『シンデレラ』。本国米国で1950年2月15日に公開された。 日本初公開は、1952年3月7日。初公開から1974年再公開時までのタイトルは『シンデレラ姫』。 21世紀に入り、続編として『シンデレラII』(2002年)、『シンデレラIII 戻された時計の針』(2007年)がOVAで製作されており、またリメイクとして実写映画版も製作された。 また本作は、2018年にNational Film Registry(アメリカ国立フィルム登録簿)に登録された[2]。 概要 原作はシャルル・ペロー童話の『シンデレラ』。ウォルト・ディズニーはこの映画の構想に27年もかけたという。1923年に企画を立案するも第二次世界大戦によるスタッフ不足の影響があり中断[3]。1944年に企画を再立案し終戦後の1945年に制作を開始。ウォルトはシンデレラのデザインを創るにあたって色々な資料を集め童話の挿画や少年少女のイメージにあわせる事にし、青い眼、ブロンドの髪、体重120ポンドに決めた。更に独自のシーンや演出を多数盛り込んでミュージカル作品に仕立てている。また馬のメジャーや犬のブルーノ、トレメイン夫人の飼い猫ルシファーなどの動物たちはディズニーオリジナルのキャラクターである。 5年の歳月をかけて、絵の数は150万枚。長編アニメーション映画としては、1942年公開の『バンビ』以来となった。 ディズニー社では『白雪姫』の公開以降、ヒット作は出ておらず、第二次世界大戦の終戦時には会社の負債額は約400万ドルを超え、(現在では名作と名高い)『ピノキオ』『バンビ』等もヒットには至らず、興行収入的には失敗が続いていた[4]。スタジオは経営危機に陥り、次の作品でヒットを出せなければディズニー社は先がない状況であった[4]。 そんな状況下でウォルトは「逆境にある少女の物語を…」と、満を持して制作に踏み切ったのが本作である。1950年、本作は公開されるや否や瞬く間に話題を呼び、念願の大ヒットとなった[3]。関連商品は飛ぶように売れ、挿入歌の『ビビディ・バビディ・ブー』が収録されたレコードは好評を得て、同曲はアカデミー歌曲賞にもノミネートされた。ウォルト自身、アニメという金脈を掘り当てたシンデレラ・ボーイだった[3]。 アメリカでのビデオ発売は1988年で[3]、前年ビデオ発売された『わんわん物語』の2倍以上の720万本を売る特大ヒットを記録し[3]、アメリカに於けるセルビデオ時代の幕を開けたといわれた[3]。日本でのビデオ発売は1992年10月21日(通常版5768円)[3]。 後にウォルトは、(ディズニーアニメーションで)一番好きな作品は『シンデレラ』だと答えている[5]。ウォルト自身もシンデレラ同様に逆境を乗り越えて夢を掴んだ人物であり、映画評論家のジョエル・シエゲルは「彼がシンデレラに惹かれたのは、ウォルト自身がシンデレラだったから」だと語っている[4]。 あらすじ 遠い昔。ある所にシンデレラという美しく優しい娘が立派な屋敷に住んでいた。母親を早くに亡くした後、父親は妻の分までシンデレラを大切に慈しみながら育てていたが、まだ幼い彼女の身を案じ、二度目の結婚相手として新しい母親のトレメイン夫人と、その連れ子である二人の義姉・アナスタシアとドリゼラを迎える。しかし父親が亡くなると継母は本性を表し、義理の娘であるシンデレラに辛くあたり、自分の二人の娘だけを可愛がるようになった。そして継母や義姉たちが財産を浪費したため、屋敷は荒れ果てていった。 シンデレラはわがままな上に意地っ張りで意地悪な三人にいつもいじめられては罵られ、ついには召使いとして扱われるようになり、毎日灰にまみれて朝から晩まで洗濯や掃除、雑巾がけ、皿洗い、食事の支度などを押しつけられ、屋敷の外れにある塔の部屋に住まわされてしまう。しかし、シンデレラはきっと幸せがやってくる、いつかは夢が叶うと信じ、明るさと希望を失わなかった。そんな彼女の味方は鼠のガスとジャックの仲間や小鳥達、馬のメジャーと犬のブルーノだった。 そんなある日のこと、お城の王子であるプリンス・チャーミングの花嫁選びを兼ねた帰国祝いの舞踏会を開くことになり、シンデレラの家にも招待状が届いた。義理の姉達は大はしゃぎし、自身も行きたいと願うシンデレラに継母は、全ての仕事を片付け、ドレスを用意できたら舞踏会に行ってもいいという。 シンデレラは亡くなった実の母のドレスを手直しして着ていこうとしたが、三人は仕事をわざと多く押しつけ、ドレスが出来上がらないようにした。そこで小鳥や鼠達は義姉達がいらないと言って捨てたサッシュやリボンを使い綺麗なドレスを作る。しかし、舞踏会に行かせまいとする継母の悪巧みによって、義姉達はシンデレラを自分達が捨てたものを盗んで使った泥棒だと勝手に決めつけ、ドレスをボロボロに破かれてしまう。シンデレラはショックのあまり父との思い出の噴水まで走って泣いていたところ、彼女を励ますように妖精の老婆、フェアリー・ゴッドマザーが現れた。彼女が魔法の呪文「ビビディ・バビディ・ブー」を唱えて杖を振ると、瞬く間にカボチャが馬車に、ブルーノとメジャーは立派な従者と御者に、鼠達が白馬に変わっていった。最後に杖を一振りすると、破かれたドレスは美しく輝くドレスに変わり、気が付くとシンデレラはガラスの靴も履いていた。「12時になったら魔法は解ける」という忠告を聞いた彼女は、カボチャの馬車に乗って王子のいる城に向かった。 その頃、城の舞踏会では王子が出席者たちにお目通りを兼ねた挨拶をしていたが、元々結婚するつもりなど毛頭ないためすっかり退屈してしまっていた。そしてドリゼラとアナスタシアの番になった時、偶然現れたシンデレラの美しさに目を奪われダンスを申し込む。そのまま二人は踊りながら会場を抜け出し、城の庭を巡りながら楽しいひと時を過ごすが、シンデレラは相手が王子だと気が付いていなかった。そして時計塔の鐘が12時を打った途端シンデレラは妖精との約束を思い出し、王子の制止を振り切って走り出した。途中階段で靴が片方脱げてしまうが、シンデレラは拾う暇もなく馬車に乗り城を飛び出す。その一連を見ていた大公は慌てて兵士に馬車を追わせるが、魔法が解けてしまったため元の破れた服に戻ったシンデレラに気がつかず走り去る。シンデレラは足に残っていた片方の靴を抱きしめながら「素敵な夢をありがとう」と、もうここにはいないフェアリー・ゴッドマザーに御礼を言った。
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