『葬送のフリーレン』(そうそうのフリーレン)は、山田鐘人(原作)、アベツカサ(作画)による日本の漫画。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、2020年22・23合併号より連載中[1]。 魔王を倒した勇者一行のその後を描く後日譚ファンタジー[1]。2022年3月時点で累計発行部数は560万部を突破している[2]。 第2巻が発売された時、有野晋哉、浦井健治、江口雄也、小出祐介、近藤くみこ、須賀健太、鈴木達央、豊崎愛生が本作にコメントを寄せている[3]。 原作担当の山田の前作である「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」の連載終了後、いくつかの読切のネームを描くもうまくいかず、担当編集者から、最初の受賞作が勇者・魔王物のコメディーだったことから、その方向でギャグを描いてみてはと提案したところ、いきなり「葬送のフリーレン」の第1話のネームが上がってきた[4][5]。その後、作画担当をつけることになり、同じく担当していたアベにネームを見せたところ「描いてみたい」と反応があり、フリーレンのキャラ絵を描いてもらったところ、山田からも「この方ならお願いしたい」と返答をもらったため、アベが作画担当になった[4][5]。ちなみにマンガ大賞を受賞した2021年3月現在、山田とアベは一度も会ったことがないという[4]。 「葬送のフリーレン」のタイトルの由来は、山田が考えたタイトル案がありながら、編集部でも検討をし、編集部会議で「いいタイトルが決まったら自腹で賞金1万円出します」と担当編集者が募ったところ、副編集長が出したタイトル案の中に「葬送のフリーレン」があり、最終的に山田、アベに決めてもらい「葬送のフリーレン」になった[6]。 あらすじ[編集] 魔王を倒して王都に凱旋した勇者ヒンメル、僧侶ハイター、戦士アイゼン、魔法使いフリーレンら勇者パーティー4人は、10年間もの旅路を終えて感慨にふけっていたが、1000年は軽く生きる長命種のエルフであるフリーレンにとって、その旅はきわめて短いものであった。そして、50年に一度降るという「半世紀エーラ流星」を見た4人は、次回もそれを見る約束を交わしてパーティーを解散する。 50年後、すっかり年老いたヒンメルと再会したフリーレンは、ハイターやアイゼンとも連れ立って再び流星群を観賞する。まもなくヒンメルは亡くなるが、彼の葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るための旅に出るのだった。 登場人物[編集] フリーレン一行[編集] フリーレン 本作の主人公。魔王を討伐した勇者パーティーの魔法使い。見た目は少女だが長命なエルフ族の生まれで、既に1000年以上の歳月を生き続けている。人間とは時間の感覚が大きく異なるため、数ヵ月や時には数年単位の作業を全く苦に思わず、ヒンメルを始めとしたかつての仲間との再会も50年の月日が経ってからのことだった。ヒンメルが天寿を全うした後は、彼女にはたった10年程度の付き合いでしかなかった彼のことに関心を抱くようになり、人間を知るための旅を始めることになる。 1000年以上昔、故郷であるエルフの集落が魔族に襲われ死にかけた際に大魔法使いフランメに助けられ、彼女の弟子になる。師匠のフランメからは闘いの技術や魔力制御の方法を伝授された。天才的な資質に加えて1000年以上に渡り魔法を研鑽したため、魔法使いとしての実力は極めて強大で圧倒的な魔力を誇る。加えてその魔力をほぼ完全に隠匿する技術を習得しており、魔族に過小評価させて油断させる事で勝機を得る。その実力は魔王亡き後の現在の魔族を弱いと感じ、七崩賢のアウラですら難なく倒すほど。歴史上で最も多くの魔族を葬り去った魔法使いとして「葬送のフリーレン」の異名を持ち、魔族から忌み恐れられている。ただし、魔法の欠点[注 1]や敗北経験[注 2]が全くない訳でもない。また、服が透けて見える魔法やかき氷を作る魔法など、およそ役に立たない魔法を収集するのが趣味で、そうした魔導書を対価に仕事を引き受けたりもする。 再会したハイターの差し金でフェルンを弟子にとって以降は彼女と共に旅をしているが、人間であるが故、日々、大人の女性へと成長していく彼女と自分の身体を見比べるなど、思うところがあるようである。性格はドライで厳しい一面もあるが、普段はやさしく面倒見も悪くない。また、エルフであるが故に人間の気持ちに対して鈍感であり、人との接し方はやや不器用である。朝は苦手なのか寝坊は日常茶飯事であり、たまに早起きした場合はフェルンに驚かれ、褒めて貰う。 「歴史上で最もダンジョンを攻略したパーティーの魔法使い」と自称するだけあり、ダンジョンには詳しい。道中で宝箱を発見するとその中身に異常なまでの興味を示し、判別魔法によりそれが99%の確率でミミック(宝箱に化けた魔物)だとしても、残り1%の可能性に賭けて宝箱を開ける。そのせいで、過去には幾度となくミミックに食べられそうになった。 フェルン 現時点でフリーレン唯一の弟子である少女。10歳→17歳。南側諸国の戦災孤児だったが、両親を失い絶望して飛び降り自殺を図ろうとした所を勇者パーティーの僧侶ハイターに助けられる。幼少期をハイターの元で過ごしながら、「一人で生きていける力」を得る為に魔法の修行を始める。その後、9歳の頃にハイターを訪ねてきたフリーレンと出会って彼女に魔法の教えを請い、一人前の魔法使いに成長する。ハイターの死後、15歳の頃にフリーレンの弟子として共に旅立つ。フリーレンのことを師として尊敬し慕ってはいるものの、人間であるためエルフの彼女とは時間の感覚がズレており、長期滞在に辟易したりすることもある。また、フリーレンの散財を戒めたり、私生活がだらしのない彼女の面倒を見るうちに、自分のやっていることが完全に「お母さん」であることに気付くなど苦労も多い。あまり感情を表に出さず、怒った時も静かに不機嫌になるので却ってフリーレンやシュタルクを畏れさせている。発言も結構辛辣で、特にシュタルクには容赦無い。 甘いものが好きなようで、食事のシーンでは甘味を食べていることが多い。
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