ハリー・ポッターシリーズの地理 – Wikipedia

ハリー・ポッターシリーズの地理では、J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズおよび、その派生作品の舞台となる場所について記述する。

ホグワーツ魔法魔術学校[編集]

イギリスのスコットランドあたりに存在する、全寮制の魔法学校。

ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、サラザール・スリザリンの4人の魔女と魔法使いによって創設された。

ダイアゴン横丁[編集]

魔法使いや魔女が必要とする、ありとあらゆる魔法道具が売られている横丁。ロンドンにあるパブ「漏れ鍋」の裏庭にある壁の特定の煉瓦を杖で叩くと、ダイアゴン横丁に入ることができる。

横丁名は対角線を意味する「diagonal」からで、英語でDiagon Alley(ダイアゴン横丁)というとDiagonally(斜めの)と同じ発音になり、建物も斜めに建てられている。また、「夜の闇横丁」に隣接している。

漏れ鍋
漏れ鍋の入口のモデル
デイジー・ドッダリッジが創業した、マグルのロンドンとダイアゴン横丁を繋ぐパブ。同時に宿屋も兼ねており、第3巻でダーズリー家を出たハリーがしばらくのあいだ滞在する。第3巻時点での亭主はトムという頭のはげた老人で、物語終了後はハンナ・アボットが亭主になる。
本屋とレコード屋に挟まれており、ほとんどのマグルはこの店の存在に気付くこともなく通り過ぎる。第6巻におけるアルバス・ダンブルドアとトム・マールヴォロ・リドルの会話のなかで、マグルには「漏れ鍋」を視認することさえ不可能であることが示唆されている。ただし「漏れ鍋」の存在を知っていれば中に入ることはできるようで、第2巻ではハーマイオニー・グレンジャーの両親が入店する。
映画『アズカバンの囚人』では、店の出入り口をシトロエン・エグザンティアで塞いでおり、客が店を訪れると車の警報装置が作動して店内に知らせる仕組みになっている。撮影した場所はレデンホール・マーケットの眼鏡屋で、映画のなかでハリーが使用しているものに似た眼鏡も飾られている。
グリンゴッツ魔法銀行
魔法界唯一の銀行。ゴブリンが経営している。ただしビル・ウィーズリーやフラー・デラクールのように、グリンゴッツに勤務する魔法使いや魔女もいる。地下金庫の管理、マグルの通貨との両替、財宝の発掘などを行なっている。
建物はダイアゴン横丁と夜の闇横丁の交差点付近にあり、ひときわ高くそびえ立っている。金庫は地下深くにあり、大理石のホールからトロッコを使って金庫へ向かうという仕組みになっている。
地下金庫へ向かう道の途中には、「盗人落としの滝」と呼ばれる、侵入者の魔法や呪いを洗い流す防衛装置が存在する。また金庫のなかには、ゴブリンでなければ開けることができない金庫や、ドラゴン(映画版ではウクライナ・アイアンベリー種のドラゴン)によって守られている金庫が存在する。こうした厳重な警備から、ルビウス・ハグリッドは「ホグワーツ以外でもっとも安全な場所」と語るが、作中では2度金庫が破られる。
第7巻において、分霊箱が盗まれ激怒したヴォルデモートによってほとんどの職員が殺害される。
オリバンダー杖店
紀元前382年創業の老舗の杖専門店。店主はギャリック・オリバンダー。
この店で販売されている杖の芯にはユニコーンの毛、ドラゴンの心臓の琴線、不死鳥の尾羽のいずれかが使われている。
フローリアン・フォーテスキュー・アイスクリームパーラー
アイスクリーム専門店。店主はフローリアン・フォーテスキュー。
第3巻では、ハリーがここのテラスで夏休みの宿題をする。その際、中世の魔女狩りについて非常に詳しい店主は、ハリーの宿題を手伝った上にサンデーを30分ごとにおごる。
第6巻で、店主が失踪したために閉店状態となる。
フローリシュ・アンド・ブロッツ書店
書店。魔法界のさまざまな書物を扱っており、ホグワーツの教科書もすべて揃っている(指定教科書に対応して品揃えを変更するためである。そのため、教科書によっては本の大量紛失によって赤字になるといった憂き目に遭う)。通販も受け付けている。
第2巻では、ギルデロイ・ロックハートのサイン会を行なう。
魔法動物ペットショップ
ヒキガエルやネズミなどのペット用魔法生物(ふくろうを除く)の店。ハーマイオニーの猫クルックシャンクスはここで購入。「ネズミ栄養ドリンク」も購入可能。
イーロップのふくろう百貨店
ふくろう専門店。ハリーのペットとなるヘドウィグは、ここでハグリッドが購入する。
高級クィディッチ用品店
一流のクィディッチ用具の販売店。ファイアボルトなどが売られている。
高級箒用具店
高級クィディッチ用品店とは別の店らしい。
ポタージュの鍋屋
魔法薬の調合に使う鍋を売る店。大小色々、銅、真鍮、錫、銀、自動かき混ぜ鍋、折り畳み式と品揃えは豊富。
薬問屋
悪くなった卵と腐ったキャベツの混じったような悪臭がする。いろいろな魔法薬の材料が売られている。
ギャンボル・アンド・ジェイプスいたずら専門店
魔法の悪戯(いたずら)道具専門店。
ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ
フレッド・ウィーズリーとジョージ・ウィーズリーが開業する悪戯専門店。ダイアゴン横丁93番地にある。商品は「ハリー・ポッターシリーズの用語一覧」を参照。
営業自体は以前から通販というかたちで行われていたが、店舗を構えるのは第5巻で二人がホグワーツを中退してからである。店舗を構えてからは、ますます繁盛しているらしい。ホグワーツではこの店の商品は全面禁止にされるが、ほかの悪戯道具の禁止令と同様に生徒に完全に無視される。WWWも通販では中身を偽装して、教師のチェックをすり抜けられる届け方をするというサービスがある。
ふたりに開業資金を提供したハリーはこの店で優待され、どこで手に入れたか宣伝するという条件付きで、無料で好きな商品を譲ってもらえる。
マダム・マルキンの洋装店
マダム・マルキンが経営する衣料専門店。普段着から式服まで扱っており、ホグワーツ魔法魔術学校の制服も購入できる。第1巻『賢者の石』で、ハリーがドラコ・マルフォイと初めて出会う場所でもある。また第6巻では、ハリーたちがドラコと母ナルシッサに出会い、口論になる。

ホグズミード村[編集]

イギリスで唯一、住民が魔法族のみという村。ホグワーツの生徒は3年生になると、保護者から許可証にサインをもらうことで、定められた日にこの村を訪れることが可能になる。6年生以上は姿現しの試験・練習場所としても使用する。

ハリーは、第3巻でダーズリー夫妻から許可証にサインをもらえず、3年生のときは正式に村を訪れることができない。しかし同巻終盤でハリーの後見人であるシリウス・ブラックが許可証にサインし、第4巻以降は正式に行けるようになる。

ホッグズ・ヘッド外観
ハニーデュークス外観
三本の箒
マダム・ロスメルタが店主を務める、明るく賑やかなパブ。ホグワーツの生徒や教職員もよく出入りしている。名物はバタービール。
ホッグズ・ヘッド
「三本の箒」に比べると陰気な印象のパブで、店頭にはイノシシの頭が飾られている。前科者やミイラ男、吸血鬼などが多数出入りしている。バーテンはアルバス・ダンブルドアの弟のアバーフォースである。店内にはアバーフォースの妹アリアナの肖像画が飾られている。第5巻ではダンブルドア軍団の結成の際に密会場所として用いられる。
ゾンコ
魔法の悪戯道具の専門店。フレッドとジョージはウィーズリー・ウィザード・ウィーズへの吸収合併を狙う。
ハニーデュークス
菓子店。マグルも知っている菓子から、百味ビーンズなど魔法界独自の菓子までが揃っている。ホグワーツ城4階の「隻眼の魔女」の像に隠された抜け道がこの店の倉庫に通じている。
マダム・パディフットの店
喫茶店。ピンクを基調とした店で、フリルでところ狭しと飾っている。カップルの溜まり場で、チョウ・チャンが気に入っている場所。
ダービッシュ・アンド・バングズ魔法用具店
魔法の機械などを扱う店。
スクリベンシャフト羽根ペン専門店
ショーウィンドーに、雉羽根のペンがスマートに並べられている。ここでハーマイオニーが新しい羽根ペンを購入する。
グラドラグス魔法ファッション店
魔法の洋服の買える店。金と銀の星が点滅する靴下や、あまり臭くなると大声で叫ぶ靴下もある。ロンドン店、パリ店も存在する。
ホグズミード郵便局
二百羽ほどのふくろうがみな棚にとまっている。郵便の配達速度によってふくろうが色分けしてある。
ホグズミード駅
ホグワーツ特急の発着場。
叫びの屋敷
人の気配がまったくないのに、満月の晩に不気味な叫び声が聞こえてくるという古びた屋敷。ホグワーツ城の「暴れ柳」の地下から通じている。
じつは、狼人間であるリーマス・ルーピンの入学に際して、変身したときにほかの生徒に危害を加えないよう用意された隔離施設。暴れ柳も、叫びの屋敷との行き来を防ぐために、彼の入学と同時に植えられたものである。
第3巻の終盤で、シリウス・ブラックが引き起こしたと言われている事件の真相が明かされる場所である。第7巻終盤でのホグワーツ最終決戦ではヴォルデモートが滞在し、セブルス・スネイプが最期を遂げる場所でもある(映画版ではボートハウスに変更されている)。

魔法省本庁[編集]

ロンドンの地下に存在する、魔法省の本庁。魔法でマグル(非魔法族)が侵入することは絶対にないようにしている。

アズカバン[編集]

北海の真ん中にある孤島に存在する、魔法界の刑務所。魔法使いや魔女のほか、屋敷しもべ妖精などの魔法生物も収監される。

吸魂鬼が看守を務めているため、囚人は生きる喜びや幸福を吸い取られ、しだいに食べる気力さえ失うようになる。そのため、脱獄は不可能とされるが、吸魂鬼をあざむいて脱獄に成功する者もいる(後述)。また獄死する者も多く、その場合は監獄の脇にある墓地に葬られる。

第5巻『不死鳥の騎士団』終盤、ヴォルデモートの要請で吸魂鬼がアズカバンを放棄したことが報道されるが、第6巻『謎のプリンス』ではなんらかのかたちで運営されている様子が描写されている。

映画版では、海に直接建てられている。

収監者
アントニン・ドロホフ、ベラトリックス・レストレンジ、ロドルファス・レストレンジ、ラバスタン・レストレンジ、オーガスタス・ルックウッド、マルシベール、ジャグソン
以上7名は第5巻で脱獄するが、神秘部の戦いでベラトリックス以外のメンバーがアルバス・ダンブルドアに捕縛され、ふたたび収監される。
ルシウス・マルフォイ、ワルデン・マクネア、クラッブ、ゴイル、ノット、エイブリー
以上6名は新たに神秘部の戦いでダンブルドアに捕縛され、収監される。
スタン・シャンパイク
自分が死喰い人であると嘘の自慢話をし、それを偶然聞いた魔法省の役人により逮捕、収監される。
マンダンガス・フレッチャー
亡者に化けて銀行強盗を起こそうとして逮捕、収監される。
上記の人物は全員、第7巻時点で脱獄する。
ドローレス・アンブリッジ
ヴォルデモートの死後、マグル生まれへの迫害を糾弾され、収監される。
獄死者
クラウチ夫人
息子のクラウチ・ジュニアを脱獄させるため、ポリジュース薬の力で息子と入れ替わり、そのまま獄死する。
モーフィン・ゴーント
トム・リドル・シニアに蕁麻疹を発症させる呪文をかけた罪で3年間服役し、一度は出所するも、今度はリドル一家を殺害したトム・マールヴォロ・リドルに偽の記憶を植えつけられ、その記憶を魔法省の役人に自白、リドル一家の殺害犯として収監される。死に際にダンブルドアに真実の記憶を引き出されるも、釈放は間に合わず獄死する。
ホキー
ヘプジバ・スミスを毒殺したトム・マールヴォロ・リドルに偽の記憶を植えつけられ、スミス殺害の犯人として逮捕・収監される。死に際にダンブルドアに真実の記憶を引き出されるが、釈放は間に合わず獄死する。
パーシバル・ダンブルドア
娘のアリアナに暴行した3人のマグルの少年を報復として重症を負わせ、逮捕・収監された。投獄後しばらくして獄死する。
脱獄犯
シリウス・ブラック
第3巻『アズカバンの囚人』で、動物もどきを利用して脱獄。
バーテミウス・クラウチ・ジュニア
第4巻『炎のゴブレット』で、ポリジュース薬の力で母親と入れ替わり、脱獄したことが明らかになる。
ベラトリックス・レストレンジ、ロドルファス・レストレンジ、ラバスタン・レストレンジ、アントニン・ドロホフ、オーガスタス・ルックウッド、マルシベール
第5巻でヴォルデモートの手引きにより脱獄。
出所者
ルビウス・ハグリッド
第2巻『秘密の部屋』で、過去に「秘密の部屋」事件に関与していたために収監されるが、のちに疑いが晴れ釈放される。
イゴール・カルカロフ
死喰い人として逮捕されたが、魔法省との取引により釈放された。
スタージス・ポドモア
第5巻で、死喰い人に服従の呪文をかけられ、神秘部の探索と強盗未遂に及び逮捕。半年間服役する。
マールヴォロ・ゴーント
息子を守るために魔法省の役人を傷つけ、半年間服役。

リトル・ハングルトン[編集]

ヴォルデモートの父トム・リドル・シニアの生まれ故郷の村。ロンドンのプリベット通りからは約300キロメートル離れている。最寄村はグレート・ハングルトン。

首吊り男
小さなパブ。
リドルの館
村の頂上に位置する豪邸で、現在は廃墟と化している。もとはトム・リドル・シニアの実家で、シニアはメローピー・ゴーントを捨てたあとにここに戻り、両親と暮らしていたが、1943年にヴォルデモートにより全員殺害された。敷地内の小屋には、リドル家の庭番だったフランク・ブライスが住んでいたが、第4巻で殺害される。
ゴーント家
マールヴォロ・ゴーント、モーフィン・ゴーント、メローピー・ゴーントの三人が暮らしていたあばら家。外観は半壊しかけた粗末な小屋で、扉にはクサリヘビが打ちつけてあった。中も長年積もった塵やほこりで汚れ、とても人が健康に住めるような状態ではなかった。
教会墓地
ここにトム・リドル・シニアとその両親の墓があり、たくさんの草が生えている。第4巻でバーテミウス・クラウチ・ジュニアがハリーを「移動キー」でこの場所に連れてこさせ、ヴォルデモートの復活を果たす。その後、ヴォルデモートとハリーの決闘の舞台となる。なお、このときハリーとともに「移動キー」に触れたセドリック・ディゴリーもこの場所に飛ばされ、ピーター・ペティグリューに殺害される。

ゴドリックの谷[編集]

イギリス西部にあり、マグルと魔法使いが混住している村。ゴドリック・グリフィンドールの出身地であり、村の名前はこれに由来している。ポッター家やダンブルドア家が暮らしていた場所で、スニッチが初めて鋳造されたことでも知られる。

記念碑
マグルには戦争記念碑にしか見えないが、魔法使いや魔女には、ジェームズとリリー、そして赤ん坊のハリーの像に見えるようになっている。
ポッター邸
ポッター一家が住んでいた家。ヴォルデモートに破壊され廃墟となっているが、ヴォルデモートによる蛮行の象徴として当時のまま残されている。マグルには見えないよう魔法がかけられている。
墓地
イグノタス・ペベレルをはじめ、ジェームズとリリーや、アルバス・ダンブルドアの母ケンドラ、妹アリアナなど、数多くの魔法使いや魔女が葬られている。
バグショット邸
魔法史家のバチルダ・バグショットが住んでいた。しかし、バチルダはヴォルデモートの蛇、ナギニに殺されたうえに肉体を乗っ取られ、第7巻『死の秘宝』ではハリーとハーマイオニー・グレンジャーをバチルダの姿で家まで誘い出して戦闘になる。同時にバチルダの家に残されていた写真から、ハリーは過去にグレゴロビッチのもとからニワトコの杖を盗み出したのが若き日のゲラート・グリンデルバルドであることに気付く。

ヌルメンガード[編集]

ゲラート・グリンデルバルドが、敵対する人物を投獄するためにオーストリアに築いた監獄で、グリンデルバルドの本拠地も兼ねている。しかし、グリンデルバルドはアルバス・ダンブルドアとの決闘に敗れ、みずからがこの牢獄に収容されることとなる。

アメリカ[編集]

イルヴァーモーニー魔法魔術学校[編集]

北アメリカに17世紀に創立した魔法魔術学校。グレイロック山の頂に立っていて、さまざまな強い呪文でノー・マジ(非魔法族)の目から隠されている。ときには呪文がうっすらとした雲の輪のように見えることがある。

イゾルト・セイア、チャドウィック・ブート、ウェブスター・ブート、ジェームズ・スチュワードによって創設。イルヴァーモーニー校は全世界の魔法の名門校のなかで一番民主的であり、エリート主義ではなかったことで知られている。また、ホグワーツと多くの点で似通っている。

ホーンド・サーペント(角水蛇)、ワンプス、サンダーバード、パクワジの四つの寮がある[1]

アメリカ合衆国魔法議会(MACUSA)[編集]

アメリカ合衆国の魔法界における政府機関。MACUSAは “The Magical Congress of the United States of America” の略で、 “Mah – cooz – ah” (マクーザ[2])と発音する[3]。セーレム魔女裁判を受け設立。ノー・マジ(非魔法族)のアメリカ合衆国議会よりもおよそ1世紀早く、1693年に設立された。北アメリカの魔法族が一体となって自分たちのための法を作り上げたのは、これが初めてのことである。これにより、ノーマジの社会の内部に魔法族独自の社会が存在するという、世界中の多くの国に見られるのと同じ構造が、アメリカにも誕生することとなった。1920年代には、MACUSAの拠点はニューヨークにあった。1892年に起こったサスカッチの大反乱のあとに、5回目となる移転によってワシントンから居を移していた[4]。ノー・マジが魔法界の存在にどれだけ気づいているか表す時計がある。通常、ノー・マジが入ることはできない。さらに、ノー・マジが入ったとしても、MACUSAは姿を現さない。

外部リンク[編集]