ナンヨウカイワリ – Wikipedia
ナンヨウカイワリ(学名:Carangoides orthogrammus)は広い生息域をもつアジ科の外洋性海水魚である。インド洋から太平洋の熱帯域に広く分布し、分布域は西はインド洋西部のモザンビークやセーシェル、東はハワイやレビジャヒヘド諸島といった太平洋の東部、中央部にまで広がっている。大陸棚でみられるのは稀で、外洋の島のラグーンや岩礁、サンゴ礁でみられる。比較的大型の種で、最大で全長75cm、体重6.6kgに達した記録がある。細かい解剖学的特徴のほか、黄色の斑点などで他種から区別することができる。しばしば小さな群れをつくり、様々な小魚や甲殻類を捕食する。漁業における重要性は生息域の全域においてそれほど高くはないが、トロール漁や延縄漁、その他様々な方法による沿岸漁業で漁獲され、鮮魚や塩漬けとして販売される。 分類と命名[編集] ナンヨウカイワリはスズキ目アジ科のヨロイアジ属(Carangoides)に分類される[1]。 本種は1881年に、レビジャヒヘド諸島から得られた標本をホロタイプとして、二人のアメリカの魚類学者デイビッド・スター・ジョーダンとCharles Henry Gilbertによってはじめて記載された[2]。彼らは本種をCaranx orthogrammusと命名しギンガメアジ属(Caranx)に分類したが、のちにアジ科魚類の分類について再検討がなされた際、本種はヨロイアジ属(Carangoides)に移動された。本種は独立に複数回再記載され、他の種の亜種として記載されたことも二度あった。John Treadwell Nicholsは本種をC. ferdau jordaniとして記載し、クロヒラアジ(C. ferdau)の亜種とした。のちにこの学名は独立した種C. jordaniに移行された[3]。アンダマンアジ(C. gymnostethoides)の亜種として記載されたこともあった。その他、C. nitidusとしても記載されている。本種は現在では独立した種として認められており、亜種としての学名、およびC. orthogrammus以降の全ての後行シノニムは国際動物命名規約に基づき無効とされている。英名は本種が外洋性であることに由来する”Island trevally”で[4]、種小名の”orthogrammus“はギリシャ語で「真っすぐな線の」という意味である[2]。 厚い唇は本種の特徴である 比較的大型の種であり、最大で全長75cm、体重6.61kgに達した記録がある[5]。クロヒラアジと非常によく似る。しかし本種にはよく目立つ黄色の斑点がある一方、クロヒラアジは斑点はもつが目立たないため、両種は簡単に識別できる[6]。本種は側偏した楕円形の体型をもち、背側の輪郭が腹側の輪郭よりもふくらんでいる。吻はふつうわずかに丸みを帯びる[7]。背鰭は2つの部分に分かれており、第一背鰭は8本の棘条を、第二背鰭は1本の棘条とそれに続く28本から31本の軟条をもつ。第二背鰭の伸長部は若魚ではやや鎌状になるが、その長さは頭部の長さよりは短い。臀鰭には前方に2本の棘条が遊離して存在し、その後方に1本の棘条とそれに続く24本から26本の軟条が存在する。腹鰭には1本の棘条とそれに付属する21本から22本の軟条がある[8]。側線は前方でごくわずかに湾曲しており、直線部と曲線部の交点は背鰭の15番目から19番目の軟条の下部に存在する。側線曲線部には96から106の鱗が、一方直線部には20から30の鱗と21から28の稜鱗(アジ亜科に特有の鱗)が存在する[8]。胸部の腹鰭基部までの領域には鱗が無いが、その中でも腹鰭前方部にはしばしば鱗のある小さな領域が存在する。この鱗の無い領域の後方部は、胸鰭基部にある鱗の無い領域と、一本の鱗の帯によって隔てられている。成魚では唇がかなり厚い。両顎には幅の狭い絨毛状歯からなる歯列が存在するが、これは加齢に伴い退化する。鰓篩数は28から32、椎骨数は24である[7]。
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