ガリヴァー旅行記における日本 – Wikipedia

ガリヴァー旅行記における日本(Japan in Gulliver’s Travels)。

東方のラグナグ、バルニバービその他の土地とともに日本を示す地図(元の地図、『ガリヴァー旅行記』第3篇)

日本は、ジョナサン・スウィフトによる1726年の風刺小説『ガリヴァー旅行記』の中で言及されている。

『ガリバー旅行記』第3篇には、ガリヴァーの日本訪問の話がある。これは彼が訪れた唯一の実際の場所である。それは、その土地へのオランダ貿易業者らの諸行動に関するスウィフトの風刺の行為地として使用されている。彼の記述は、17世紀と18世紀前半のヨーロッパの知識の状態と、当時のイングランド人とオランダ人の間の商業的競争による緊迫状態を反映している。

日本は第3篇の冒頭の地図に示されており[1]、それはまた北に「”Yesso”」[えぞ?](すなわち北海道)、「”Stats island”」(択捉島)、および「”Companys Land”」(得撫島)の島も示している。この地図には、択捉水道と北知床岬も記されているが、これはサハリンの一部としてではなく、Yesso の北東岸に示されているし、これはスウィフトの時代にはほとんど知られていなかった。日本の島自体の地図には、「”Nivato”」(長門)、Yedo(江戸)、「”Meaco”」[ミヤコ?](京都)、因幡国および「”Osacca”」(大阪)が表示される。

このテキストは、ガリヴァーのラグナグ(Luggnagg)からの15日要した旅と「”Xamoschi”」(つまり下総[逆さ読みで])への上陸[2])を記述しており、「”Xamoschi”」は「北に向かって海の長い入江に通じる、狭い海峡の西部にあり、その北西部に大都市、江戸がある」(“on the western part of a narrow strait leading northward into a long arm of the sea, on the northwest part of which Yedo, the metropolis stands”)。この記述は、下総国が湾の西岸にではなく北岸にあることをのぞけば、東京湾の地理と一致している。

キリスト教は、ポルトガル人とスペイン人の探検家らや宣教師らとの初期の接触の後、16世紀と17世紀に日本で確立された。しかしながら、それはプレ将軍の時代の無秩序と戦争に巻き込まれ、徳川幕府の設立とともに禁止され、激しく抑圧された。

日本は門戸を閉じている政策を採り、ヨーロッパの貿易業者らは追放された。この時点で、「キリスト受難像を踏みつける」(“trampling on the crucifix”)という「e-fumi」(エフミ。踏絵)の習慣が、国内のキリスト教徒らとそこに到着する旅行者らの両方のテストとして導入された。ヒギンズ(Higgins)は述べている[3]、その『e-fumi』は「そうすることに何のためらいもないオランダの商人らの提案であった」(“was at the suggestion of Dutch traders who had no scruple about doing so”)と。

スウィフトはガリバーに、オランダ人であると主張しているにもかかわらず、ラグナグの王の支援を受けて、このテストから免除されるように要求させることによって、オランダ人の慣習を風刺している。彼は、天皇が「わたしがその点を平気でやるわが同郷人の最初であったために、これに少し驚いた」(“a little surprised at this, as I was the first of my countrymen to make a scruple of the point”)、彼は「わたしが本当のオランダ人だろうと疑い始めたが、しかしわたしがクリスチャンではないかと疑った」(“began to doubt that I was a real Hollander but suspected I might be a Christian”)、と報告したし、これは、自分は「クリスチャンでなくオランダ人」(“not a Christian but a Dutchman”)だと主張するオランダ貿易業者に対する風刺であった[4]。天皇はまた、もしこの秘密がガリバーの同郷人、オランダ人らによって発見されたならば、彼らは航海中に確実に彼ののどをかき切る、と警告した[5]

ガリバーは「”Nangasac”」(長崎)に到着するや、船の通路を見つけることができたし、スウィフトはこれをアムステルダムの『アンボイナ』(Amboyna)と名付けたし、これは1623年のオランダ人によるイギリス人商人10人の悪名高い虐殺の場所への言及である[6]

  1. ^ Gulliver’s Travels (GT), part III, ch I: Oxford World Classic (OWC) p140
  2. ^ OWC Notes p339
  3. ^ OWC Notes p339
  4. ^ GT pt III, ch 11: OWC p201
  5. ^ GT pt III, ch 11: OWC p201
  6. ^ OWC Notes p340
  • Jonathan Swift: Gulliver’s Travels Oxford World Classics (1986, reprint 2008) introduction by Claude Rawson, explanatory notes by Ian Higgins