タイダル (アルバム) – Wikipedia

タイダル[6]』(Tidal)は、アメリカ合衆国のシンガーソングライター、フィオナ・アップルが1996年に発表した初のスタジオ・アルバム。

アップルの所属レーベルであるクリーン・スレイトのオーナー、アンドリュー・スレイターがプロデュースした。スレイターはアップルのデモ・テープを聴いて彼女に興味を持ち、後のインタビューにおいて「彼女はヒップホップに魅せられていた一方、クラシック音楽の作曲家にも通じていた。その上、彼女はエラ・フィッツジェラルドのようなオールド・スクールの歌手も愛していた。私は、そうした要素すべてを融合してみたんだよ」と語っている[7]

当時スレイターはザ・ウォールフラワーズ英語版のマネージャーも務めており[7]、本作のレコーディングには、当時ザ・ウォールフラワーズに在籍していたグレッグ・リッチリングも参加している。また、ザ・ウォールフラワーズのアルバム『Bringing Down the Horse』(1996年)でサポート・ドラマーを務めたマット・チェンバレンも起用され[8]、チェンバレンはアップルの次作『真実』(1999年)にも引き続き参加した。

反響・評価[編集]

母国アメリカでは、総合アルバム・チャートのBillboard 200で15位に達し、『ビルボード』のトップ・ヒートシーカーズでは2位を記録して[1]、1996年12月にRIAAによってゴールドディスクの認定を受け、1999年4月にはトリプル・プラチナの認定を受けた[9]。収録曲「クリミナル」は、1997年にBillboard Hot 100で21位、モダン・ロック・チャートで4位を記録するシングル・ヒットとなり、アップルはこの曲でグラミー賞最優秀女性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞した[1]

フランスでは1996年9月14日付のアルバム・チャートで初登場49位となり、11月9日には最高21位を記録して、合計10週トップ50入りした[2]

Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け、歌や演奏については「彼女の声は、10代としては驚くほどの豊かさとしなやかさに恵まれ、ジャジーで洗練されたピアノ演奏も年齢を感じさせない」と高く評価する一方、ソングライティングに関しては「深遠で重要なことを語ろうと努めているとはいえ、歌詞の大部分は決まり文句にとどまっている」と評している[10]。『ローリング・ストーン』誌が選出した「1990年代のベスト・アルバム100」では83位にランク・イン[11]

前曲ともフィオナ・アップル作。

  1. スリープ・トゥ・ドリーム – “Sleep to Dream” – 4:09
  2. 夜の果ての少女 – “Sullen Girl” – 3:54
  3. シャドウボクサー – “Shadowboxer” – 5:24
  4. クリミナル – “Criminal” – 5:43
  5. スロー・ライク・ハニー – “Slow Like Honey” – 5:57
  6. ザ・ファースト・テイスト – “The First Taste” – 4:46
  7. ネヴァー・イズ・ア・プロミス – “Never Is a Promise” – 5:54
  8. ザ・チャイルド・イズ・ゴーン – “The Child Is Gone” – 4:14
  9. ペイル・セプテンバー – “Pale September” – 5:50
  10. キャリオン〜愛はやがて朽ちてゆく – “Carrion” – 5:44

参加ミュージシャン[編集]

  • フィオナ・アップル – ボーカル、ピアノ、オプティガン
  • ジョン・ブライオン – ギター、キーボード、オルガン、タック・ピアノ、ヴィブラフォン、マリンバ、ハープ
  • パトリック・ウォーレン – ピアノ、キーボード
  • グレッグ・リース – ペダル・スティール・ギター(#2, #8)
  • ロブ・ローファー – ギター(#4)
  • ダン・ロスチャイルド – ベース(#1, #4, #8, #10)
  • グレッグ・リッチリング – ベース(#2, #3, #5)
  • サラ・リー – ベース(#6, #9)
  • マット・チェンバレン – ドラムス(#1, #2, #4, #6, #8, #9, #10)、パーカッション(#1, #6, #10)
  • ダニー・フランケル – ドラムス(#3, #5)、パーカッション(#6)
  • ジョージ・ブラック – ドラム・プログラミング(#6)
  • ヴァン・ダイク・パークス – ストリングス・アレンジ(#7)
  • ラルフ・モリソン – ヴァイオリン(#7)
  • クラウディア・パードゥッチ – ヴァイオリン(#7)
  • エヴァン・ウィルソン – ヴィオラ(#7)
  • ラリー・コーベット – チェロ(#7)
  • アンバー・マッガート – バッキング・ボーカル(#9)

脚注・出典[編集]