中華人民共和国国務院 – Wikipedia

中華人民共和国国務院(ちゅうかじんみんきょうわこくこくむいん、簡:中国政府、英: Government of China)は、中国の政府。他国における内閣に相当する。国務院とも略称する。中華人民共和国の建国初期には政務院と称していた。中国において「国務院」、「中央人民政府」は行政府のみを指す場合が多いが、本項では立法府と司法府をまとめて解説する。

中華人民共和国憲法の規定によると、国務院は中華人民共和国の中央人民政府で、最高国家権力機関(全国人民代表大会および全国人民代表大会常務委員会)の執行機関であり、最高国家行政機関である。国務院は全国人民代表大会に対して行政上の責任を負い、業務を報告する義務がある(大会閉会中は全国人民代表大会常務委員会に対して責任を負い、業務報告の義務がある),最高軍事指揮機関は中央軍事委員会;最高司法機関は最高人民法院、最高人民検察院、国家監察委員会。

国務院の構成は「中華人民共和国国務院組織法」によって定められている。

1949年10月1日に中華人民共和国が建国され、その中央政府として、毛沢東を主席とする「中央人民政府」が発足した。国務院の前身である政務院は、中央人民政府の執行機関として設置された。政務院総理には周恩来が就任した。政務院はその職能において現在の国務院とほぼ同じであったが、国務院が最高国家行政機関であるのに対し、政務院は中央人民政府に直属する国政の最高執行機関と位置づけられたことに差異がある。また、政務院は軍事に関する管理権はなく、国防部(国防省)も設置されていなかった。

1954年9月20日に中華人民共和国憲法が制定されたことにより、9月27日、政務院は国務院に改組された。国務院は中央人民政府とされ、最高国家行政機関に位置づけられた。初代国務院総理には、周恩来が改めて就任した。また、軍事管理機関として国防部が設置された。

1982年12月10日、第5期全人代第5回会議によって改正された国務院組織法によると、国務院は国務院総理(首相)が主宰し、国務院副総理(若干名)、国務委員(若干名)、各部長(各省大臣に相当)、各委員会主任(庁長官に相当)、中国人民銀行行長、審計署審計長(会計検査長)、国務院秘書長により構成される。

国務院総理
国務院の首長。国務院の活動を指導し、行政全般を指揮・監督する。総理は中国共産党中央政治局常務委員から必ず選出されている。
国務院副総理
総理を補佐し、重要業務の責任者となる。総理の外遊などの間は常務業務担当の副総理が総理の職務を代行する。李鵬内閣(第7期)より、常務副総理(第一副首相)は中国共産党中央政治局常務委員から、その他の副総理は中国共産党中央政治局委員から選出されている。
国務委員
文化大革命後、復活した古参幹部に対して名誉職的に副総理職を乱発したことや、失脚前の地位に一気に復帰させたため、最終的に副総理が20人以上にまで膨れ上がった。この状況を解消するため、1982年5月4日の第5期全人代常務委員会第23回会議で国務委員が増設された。副総理と同様、重要業務の責任者となる。待遇は副総理と同級だが、序列は副総理の下。
秘書長
国務院の日常業務処理や国務院弁公庁(事務局)の業務の責任者。通常は副総理か国務委員が兼任し、副秘書長(若干名)が秘書長を補佐する。

国務院総理・副総理・国務委員・秘書長は次の通り。

閣議[編集]

国務院の重要政策に関する基本的な方針は、合議によって決定される。国務院組織法第4条によると、国務院の活動における重要問題は必ず国務院常務会議か国務院全体会議による討論を経て決定することになっている。国務院常務会議と国務院全体会議は、いずれも国務院総理が招集し、主宰する。

国務院常務会議
国務院総理・副総理・国務委員および秘書長により構成される。週1回開かれ、国務院の活動における重要問題について討論し決定するほか、法律案の討論や行政法規の草案の審議を行う。
国務院全体会議
国務院の全構成員が参加する。半年に1回開かれ、国務院全体の活動における重要問題について討論・決定するほか、国務院各部署の重要問題の討論と決定を行う。

国務院総理は国家主席が指名し、全国人民代表大会の承認を経て国家主席が任命する。国務院副総理・国務委員は国務院総理が指名し、全国人民代表大会の承認を経て、国家主席が任命する。

国務院の任期は全人代の任期に相当する5年である。総理、副総理、国務委員は連続3選できない。

国務院以下の各部は日本の省に相当する中央政府機関であり、部長は各省大臣に相当するが、閣議に相当する国務院常務会議を構成するのは副総理や国務委員であることから、実質的には次官とも言える。国務院の各委員会は各部を超越して各種の政府活動を調整する機能を有する。委員会は主任が長である。なお、国務院に国防部が設置されているが、人民解放軍は中国共産党の軍事部門であって中央軍事委員会隷下にあり、国務院から独立しているので国防部は直接統帥していない。

各部・委員会責任者(日本の各省庁大臣・長官に相当)は以下の通り。

国務院特設直属機構[編集]

国務院直属機構[編集]

国務院直属事業単位[編集]

国務院弁事機構[編集]

国務院各部・委員会管理の国家局[編集]

国務院議事協調機構と臨時機構[編集]

歴代国務院常務会議構成員[編集]

第1期国務院[編集]

任期(1954年9月 – 1959年4月)

第2期国務院[編集]

任期(1959年4月 – 1965年1月)

  • 総理:周恩来
  • 副総理:陳雲、林彪、彭徳懐、鄧小平、鄧子恢、賀龍、陳毅、ウランフ、李富春、李先念、聶栄臻、薄一波、譚震林、陸定一、羅瑞卿、習仲勲
  • 秘書長:習仲勲(兼任)

第3期国務院[編集]

任期(1965年1月 – 1975年1月)

  • 総理:周恩来
  • 副総理:林彪、陳雲、鄧小平、賀龍、陳毅、柯慶施、ウランフ、李富春、李先念、譚震林、聶栄臻、薄一波、陸定一、羅瑞卿、陶鋳、謝富治
  • 秘書長:周栄鑫

第4期国務院[編集]

任期(1975年1月 – 1978年3月)

第5期国務院[編集]

任期(1978年3月 – 1983年6月)

1980年9月10日、第5期全国人民代表大会常務委員会第3回会議で趙紫陽内閣が発足

1982年5月4日、第5期全国人民代表大会常務委員会第23回会議で国務委員を新設

  • 総理:趙紫陽
  • 副総理:万里、姚依林
  • 国務委員:余秋里、耿飈、方毅、谷牧、康世恩、陳慕華(女)、薄一波、姫鵬飛、黄華、張勁夫 
    • 1982年11月に任命 張愛萍
  • 秘書長:杜星垣

第6期国務院[編集]

任期(1983年6月 – 1988年4月)

第7期国務院[編集]

任期(1988年4月 – 1993年3月)

第8期国務院[編集]

任期(1993年3月 – 1998年3月)

第9期国務院[編集]

任期(1998年3月 – 2003年3月)

  • 総理:朱鎔基
  • 副総理:李嵐清、銭其琛、呉邦国、温家宝
  • 国務委員:遅浩田、羅幹、呉儀(女)、司馬義・艾買提(ウイグル族)、王忠禹
  • 秘書長:王忠禹(兼任)

第10期国務院[編集]

任期(2003年3月 – 2008年3月)

第11期国務院[編集]

任期(2008年3月 – 2013年3月)

  • 総理:温家宝
  • 副総理:李克強(常務副総理、発展改革、財政、国土資源、環境保護、建設、人口、衛生担当)、回良玉(農業、民族、民政、宗教担当)、張徳江(工業、交通、人力資源、社会保障、企業改革、安全生産担当)、王岐山(商務、金融、市場管理、観光担当)
  • 国務委員:劉延東(教育、科学技術、文化・メディア、スポーツ、香港・マカオ担当)、梁光烈(国防動員担当)、馬凱、孟建柱(政法担当)、戴秉国(外交担当)
  • 秘書長:馬凱(兼任)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]