リース函数 – Wikipedia

数学においてリース函数(リースかんすう、英: Riesz function)とは、リーマン予想との関係でリース・マルツェルによって定義された、次の冪級数で与えられる整函数のことを言う:

F(x)=12Riesz(4π2x){displaystyle F(x)={frac {1}{2}}{rm {Riesz}}(4pi ^{2}x)}

とすれば、双曲余接のゼロを中心としたローラン級数展開の係数としてそれは定義される。もし

であるなら、F は次で定義される。

ζ(2k) の値は k が増加するにつれて 1 に近付き、リース函数に対する級数を

x exp(x){displaystyle x exp(-x)}

に対する級数と比較することで、それは整函数を定義することが分かる。また F

で定義されることもある。

nk¯{displaystyle n^{overline {k}}}

はドナルド・クヌースの記法における上昇階乗であり、Bn はベルヌーイ数である。この級数は代替的な項の一つであり、函数は x が負の方向に増大するにつれて負の無限大へと発散する。正の x についてはより興味深く、繊細な問題となる。

リース指標[編集]

1/2 より大きい任意の冪乗 e に対して、次が成立する。

ただしこの右辺はランダウの記号であり、値は正および負のいずれの方向についても考えられている。リースは、上の式が 1/4 より大きい任意の e について成り立つことはリーマン予想と同値であることを示した[1]。ただしその同じ論文においては、やや悲観的な次の注釈も見られる «Je ne sais pas encore decider si cette condition facilitera la vérification de l’hypothèse»。

リース函数のメリン変換[編集]

リース函数は、メリン変換を介してリーマンゼータ函数と関連付けられる。今

とすれば、

(s)>1{displaystyle Re (s)>-1}

01Riesz(z)zsdzz{displaystyle int _{0}^{1}{rm {Riesz}}(z)z^{s}{frac {dz}{z}}}

は収束し、一方

(s)<12{displaystyle Re (s)<-{frac {1}{2}}}

であれば成長条件により

は収束することが分かる。これを組み合わせることで、リース函数のメリン変換は帯状領域

1<(s)<12{displaystyle -1

の上で定義されることが分かる。この領域上では、

Γ(s+1)ζ(2s)=M(Riesz(z)){displaystyle {frac {Gamma (s+1)}{zeta (-2s)}}={mathbf {M} }({rm {Riesz}}(z))}

が成り立つ。

するとメリン逆変換により、リース函数を式

で表すことが出来る。ここで c は -1 と -1/2 の間の値である。リーマン予想が真であるなら、この積分の直線を -1/4 よりも小さい任意の値へと移動することが出来る。したがってリース函数の成長率の 4 乗根と、リーマン予想との同値性が分かる。

J. garcia(脚注を参照)は、ボレル和英語版を使うことで

f(x){displaystyle f(x)}

に関する次の積分表現を得た。

ここで

ρ(x)=xx{displaystyle rho (x)=x-lfloor xrfloor }

は ‘x’ の小数部分である。

リース函数の計算[編集]

F のマクローリン級数の係数の絶対値は、40番目の項 -1.753×1017 において最大値を取るまで増加である。一方、109番目の項において絶対値は 1 よりも小さくなる。はじめの 1000 個の項を取ることで、

|z|<9{displaystyle |z|<9}

に対する

F(z){displaystyle F(z)}

の非常に精確な値を得ることが出来る。しかしこの計算を行う際には、次数 1000 の多項式を、大きな分子あるいは分母の係数に対する有理数演算か、100 位を超える浮動小数点計算によって求める必要が生じうる。いずれの方法も、数値計算的に簡単なものではない。

その他の計算手法として、収束加速法(acceleration of convergence)が挙げられる。今

である。ζ(2k) は k が増大するにつれて 1 に近付くため、この級数は

に近付く。実際、リースは次の式を示していた:

 n=1Riesz(x/n2)=xexp(x){displaystyle {sum _{n=1}^{infty }{rm {Riesz(x/n^{2})=xexp(-x)}}}}

収束加速法に対するクンマーの方法を使うことで、収束率の改善された

が得られる。

この手順を続けることで、収束に関するより良い性質を備える、リース函数に対する新たな級数を得ることが出来る:

ここで μ はメビウス函数であり、項の再構成は絶対収束によって正当化される。再びクンマーの方法を適用することで、

と表すことが出来る。この項は終局的には、n の 1/4 乗によって減少となる。

上述の級数は至る所で絶対収束し、したがって項毎に微分可能であるため、導関数に関する次の式が得られる:

この式は次のように整理できる:

マレク・ウォルフは [2] において、リーマン予想を想定しながら、十分大きな x に対して次の式を示している:

ここで

γ1=14.13472514…{displaystyle gamma _{1}=14.13472514…}

はゼータ函数のはじめの非自明なゼロ点の虚部である。また

const=7.7750627…×105{displaystyle const=7.7750627…times 10^{-5}}

および

ϕ=0.54916…=(31,46447){displaystyle phi =-0.54916…=(-31,46447^{circ })}

である。これは Herbert Wilf によって 1964 年に証明された [3] リース函数のゼロ点と一致する。

  1. ^ M. Riesz, «Sur l’hypothèse de Riemann», Acta Mathematica, 40 (1916), pp.185-90.». For English translation look here
  2. ^ M. Wolf, “Evidence in favor of the Baez-Duarte criterion for the Riemann Hypothesis“, Computational Methods in Science and Technology, v.14 (2008) pp.47-54
  3. ^ H.Wilf, “ On the zeros of Riesz’ function in the analytic theory of numbers“, Illinois J. Math., 8 (1964), pp. 639-641

参考文献[編集]

  • Titchmarsh, E. C., The Theory of the Riemann Zeta Function, second revised (Heath-Brown) edition, Oxford University Press, 1986, [Section 14.32]
  • Jose Javier garcia Moreta Borel Resummation & the Solution of Integral Equations Prespace time Journal Vol 4, No 4 (2013)Math Physics, Modified GR Solutions & Explorations of Natural Constants http://www.prespacetime.com/index.php/pst/issue/view/42