タノス – Wikipedia

タノス(Thanos)は後期白亜紀サントニアン期のブラジルに生息していたブラキロストラのアベリサウルス類。タノス・シモナットイ Thanos simonattoi 一種のみを内包する[1]。「サノス」とも表される。

発見と命名[編集]

2014年、アントニオ・セルソ・デ・カンポス教授古生物学博物館(“Prof. Antonio Celso de Arruda Campos”)の調査チームとセルジオ・ルイス・シモナット(Sérgio Luis Simonatto)はサーオ・ホセ・ド・リオ・プレト(São José do Rio Preto)で発見された獣脚類の軸椎骨を報告した[2] 数年後、ファビアーノ・ビドイ・イオリが同じ脊椎の後半部を出した[1]

2018年、模式種タノス・シモナットイがイオリらによって記載・命名された。その属名はマーベルコミックスのキャラクターサノスに因んでいる。そのキャラクターの名はギリシア神話の死神タナトスに由来する。種小名はシモナットへの献名である[1]

タイプ標本 MPMA 08–0016/95 は、バウル層群のサオ・ホセ・ド・リオ・プレト累層(サントニアン)で発見された(2014年の論文ではマーストリヒチアンとされていた)。それは間椎体と癒合したほぼ完全な軸椎骨で構成されている。前方、後方、側方の突起のいくつかを欠損している。その標本はブラジルのモンテ・アルト古生物学博物館(Museu de Paleontologia de Monte Alto, Brazil)に所蔵されている[1]

タノスの全長は約5.5〜6.5mと推定されている[1]

標本が不完全であるにもかかわらず、多くの固有の形質が確認できる。発達したキールが腹側表面で後方に向かって広く深くなる。中心部の各側面の比較的広い壁によって分離された側面の2つの小さな孔。これらの特徴を考慮すると、タノスは当時の他のアベリサウルスよりも派生していた可能性がある[1]

系統発生[編集]

2018年のイオリらの系統解析で、タノスはアベリサウルス科内で他のカルノタウルス亜科と共に大きなポリトミーを構成すると見なされた。以下はその解析結果を反映したクラドグラム:[1]

タノスはブラキロストラと派生形質を2つのみ共有する。軸椎骨の前方関節面が後方関節面の2倍以上の高さ。後面が75°未満の角度で前方に傾斜する[1]

古生態学[編集]

タノスは、イビラで脊椎発見されたメガラプトルと思われる不明の大型獣脚類(MPMA 08–0003 / 94)と共存していた。これはタノスが当時のその地域の頂点捕食者ではなかったことを意味する[1]

  1. ^ a b c d e f g h i Delcourt, Rafael; Vidoi Iori, Fabiano (2018). “A new Abelisauridae (Dinosauria: Theropoda) from São José do Rio Preto Formation, Upper Cretaceous of Brazil and comments on the Bauru Group fauna”. Historical Biology: 1–8. doi:10.1080/08912963.2018.1546700. 
  2. ^ Méndez A.H., Novas F.E., Iori F.V. 2014. “New record of abelisauroid theropods from the Bauru Group (Upper Cretaceous), São Paulo State, Brazil”. Revista Brasileira de Paleontologia. 17(1): 23–32